そんな大胆発言をしたのは、多数国で電気自動車用のネットワーク整備を進めるBetter Place社のShai Agassi氏。そのとき彼はビーチリゾートにいたが、酔っ払って口を滑らしてしまったわけではない。「Brainstorm Green Conference」というグリーン会議での一場面だ。
グリーン会議というと、環境NGOやグリーン企業の交流の場を想像してしまいがち。でも、「Brainstorm Green Conference」の主催は、あのFortune誌。そこには、元米国大統領や大企業CEO、そしてホワイトハウス特別顧問まで、米国の各界著名人が勢ぞろいしていた。2日半にわたって開催された会議の話題は、グリーンビジネス、グリーンビルディング、スマート・グリッド、バイオミミクリ、原子力発電、太陽光発電、熱帯雨林保全、燃料電池、トレーサビリティとサプライチェーン、カーボンファイナンス、e-waste、グリーン雇用など、もりだくさん。
電気自動車の可能性を強く信じるAgassi氏に対して、真っ向から異論を唱えたのは、トヨタのBill Reinert氏。彼いわく、電気自動車には天候の変化に弱いという課題が残る。
とはいっても、やはり電気自動車は魅力的らしい。Fortune500に名を連ねる大手エネルギー企業、NRG Energy社のDavid Crane氏も、こんな発言をして、電気自動車への期待を表明した。
アメリカで導入が検討されているCap-and-Trade (排出権取引)について語るクリントン氏
必要であれば政府や大企業への宣戦布告も辞さず環境や社会のために活動するNGO、新しい技術やビジネスモデルを取り入れることで環境への悪影響を抑え営利活動をするグリーン企業、そしてこれまで環境を破壊することで大きな利益を得てきたエネルギー業界や自動車業界の大手企業。そんな面々が集まってビジネスと環境について話し合えば、意見が対立して出口のない議論になってしまいそう。でも、「Brainstorm Green Conference」の関連記事を読む限り、ピリピリとした空気は感じられない。むしろ、親密で打ち解けた空気を感じる。それはもしかしたら、どのような立場であれ、もはや環境問題を無視してビジネスを継続することはできない、というコンセンサスがあったからなのかもしれない。
(by 今では環境NGOや環境コンサルタントと共に仕事をしているFord社のBill Ford氏)
(by スマートグリッド企業GridPoint社のCEO)
(これまで環境について語る場に姿を現さなかったのは、)グリーンウォッシュだと責められることへの恐怖心からさ。やるべきことが山ほどあるよ。
(by ティファニー社のCEO)
というような発言からも、企業の姿勢の変化を感じる。
「Brainstorm Green Conference」から、何か具体的な対策案が生まれたわけではないだろう。でもそこには、今後のビジネスのあり方についてのヒントや、新たなパートナーシップのタネが散りばめられていたように思う。
Brainstorm Green動画をチェックしよう。