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7 years ago - 2009.02.10

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サステナブルなアイデアは自然界から学ぶ。バイオミミクリのオンラインデータベース「Ask Nature」

AskNature

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アフリカやオーストラリアに、冷暖房装置なしで快適な室内温度を保ってしまう環境配慮型の巨大な構造物がある。手掛けたのは、無名のデザイナー。気になる外観は、コチラ↓。

greenz/グリーンズ termite mounds
Creative Commons, Some Rights Reserved, Photo by Kirsty S

そう、これはアリ塚。分厚い外殻、上下に伸びた空気ダクト、そしてそのダクトにつながった通気穴などが塚の中の温度や空気循環を保っている。外気の温度は2℃から40℃まで変化するのに、塚の中の温度は常に30℃前後をキープ!この30℃という温度は、シロアリが育てているキノコ類の栽培に最適の温度だ。

アリ塚以外にも、自然界はすぐれた構造物や素材で溢れている。たとえば、蛾や蝶の羽や植物の葉の表面は、掃除をしなくても一向に汚れない構造になっている。表面が水に濡れると、その細かい凸凹が疎水性を発揮して、水と一緒に汚れを流してしまうのだ。

greenz/グリーンズ droplets_on_a_leaf
Creative Commons, Some Rights Reserved, photo by poppy2323

このような生物の生体機能を活かしたものづくりを、バイオミミクリbiomimicry=生命体を真似る)という。アリ塚の構造はエネルギー効率の良い建物づくりに活かされ、蝶の羽の構造は自己洗浄性にすぐれたタイルコーティング料づくりに活かされてきた。

バイオミミクリという言葉が普及したのは、つい最近のこと。でも、身近な自然から学ぶ技術開発の歴史は長い。たとえば、あのレオナルド・ダ・ヴィンチ鳥の翼の観察をとおして飛行力学の知識を得たのは、もう500年も前のことだ。

それだけ長い歴史があるということは、バイオミミクリの知識は世の中にあふれているはず。では、その知識を共用して、サステナブルなものづくりを促そう、ということで立ち上げられたバイオミミクリのデータベースサイトが、Ask Natureだ。

greenz/グリーンズ Ask_Nature_search
Ask Natureの検索ページ。バイオミミクリ、バイオミミクリから生まれた技術・商品、情報提供者などを検索できる。

Ask Natureを運営しているのは、The Biomimicry Institute。1997年にバイオミミクリというコンセプトを発表したJanine Benyusが設立した非営利組織だ。ミッションとして、自然界から学び、自然界を見習い、自然を守る人々を育て、より健康でよりサステナブルな社会づくりを掲げている。

ところで、バイオミミクリが何故、サステナブルな社会づくりにつながるのだろう?

その答えは、The Biomimicry Instituteのウェブサイトに見つけた。The Biomimicry Instituteによると、バイオミミクリにおいて大切なのは、自然界をモデルメンター、そしてものさしとして捉えることだという。

モデルとしての自然界

バイオミミクリとは、自然界のモデルを学び、人間が抱える問題をサステナブルに解決するためのデザイン、プロセス、しくみ、戦略のヒントを得るための新しい科学である。

メンターとしての自然界

バイオミミクリとは、自然界を新しい角度から観察し価値を見出すことである。それは、自然界から搾取する時代から、自然界から学ぶ時代に移行することである。

ものさしとしての自然界

バイオミミクリとは、私たちのイノベーションの持続可能性を測る際の生態学的な基準である。自然界は、38億年の進化を経て、何が機能して何が持続するのかを学んできたのだから。

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この3つのポイントを頭の隅において生活をすると、たとえ大きな発明にはつながらなくても、心豊かにロハスな日々を過ごせそうだ。

writer ライターリスト

熊谷 桃子

熊谷桃子(Momoko KUMAGAI)。子供の頃の夢は獣医になること。その夢の実現を目指して15歳でオーストラリアに単身留学。大学入学後、自分は理系ではない、と悟る。同時に、環境・社会問題に興味があることに気づき、環境生態学を学ぶ。卒業後帰国し、国連大学インターン、国際協力NPO職員、環境・CSR経営コンサルタントなどを経験。2006年末、チェコ共和国の世界遺産都市チェスキー・クルムロフを訪れ、その美しい街に恋に落ちる。帰国直後に見つけたチェコ共和国大使館の奨学金に応募・合格し、2007年10月よりチェコ共和国カレル大学に留学。チェスキー・クルムロフにおけるコミュニティ発展および欧米におけるコミュニティ・スクール活動について学ぶ。現在に至る。帰国後は、『地域』を『コミュニティ』に変える組織の設立を目指す。人生の目的は、自分の強みを活かして社会に貢献すること。

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