いつもgreenz.jpをご愛読いただき、ありがとうございます。そして、greenz peopleのみなさま、いつもNPOグリーンズとともに歩んでいただき、ありがとうございます。
季節は春。卒業や転職、引っ越し、出会いや別れなど、大きな変化の時期を迎えている方も多いでしょう。
実は、NPOグリーンズもそう。2012年に設立して以来の、ひとつの転換期をむかえているのです。
キーワードは、「『生きる、を耕す。』を実践するWEBマガジン」。
今回は、NPOグリーンズの第12期アニュアルレポート(年間活動報告)と、共同代表・植原正太郎、編集長・増村江利子、事務局長・小倉奈緒子の鼎談をお届けします。
第12期(2022年12月〜2023年11月)を振り返りながら、グリーンズが迎えようとしている変容について、あれこれと話しました。
グリーンズが12期に行ったことをかんたんに知りたい方は、「第12期 活動報告」と「実践と変容①〜③」を、グリーンズが今考えていることを知りたい方は「ソーシャルグッドなWEBマガジン」から脱皮したい」〜「読者やpeopleのみなさんと、楽しく踊りたい」、そして「グリーンズという焚き火の火を、持って帰ってほしい」をお読みください。
私たちといっしょに焚き火を囲んでいるような気持ちで、お付き合いいただけたらうれしいです。
(聞き手:生き方編集者・山中散歩)
NPOグリーンズ 第12期 活動報告
3期比較(左から第10期、第11期、第12期)
部門別売上
経常収益と経常費用
過去のアニュアルレポート
NPOグリーンズ 第11期 アニュアルレポート
NPOグリーンズ 第10期 アニュアルレポート
NPOグリーンズ 第9期 アニュアルレポート
「ソーシャルグッドなWEBマガジン」から脱皮したい
山中散歩(以下、散歩) どうですか、最近のグリーンズは。
植原正太郎(以下、正太郎) もう、今日は本音でいいですかね?
増村江利子(以下、えりこ) うん! いいと思う。
正太郎 よし! それじゃあ、包み隠さず言っちゃいましょう!
あのですね、「greenz people(寄付会員)」って、NPOグリーンズの通信簿だと思ってるんです。グリーンズが続いてほしいと思ってくれてる人の数でもあるはずなので。
小倉 奈緒子(以下、おぐなお) そうですよね。
正太郎 それが、しばらく減少し続けてたんです。
えりこ ここ最近は復調してきたけど、しばらく減ってたよね。
散歩 そうなのか! それは、なんでなんでしょう?
正太郎 世の中にソーシャルグッドなWEBマガジンがたくさん増えているから、「別にグリーンズじゃなくてもいいんじゃないか」って思われた可能性もあったり、読者に心から興味を持ってもらえる記事を届けられてこなかったり、いろんな理由が考えられると思う。
いずれにせよ、今グリーンズの存在意義が問われてると思うんです。
散歩 「このままじゃいけない」っていう危機感があるってこと?
正太郎 そうだね。グリーンズの役割を変えていかないといけない。「ソーシャルグッドなWEBマガジン」から、脱皮しなきゃいけないなと。
それで、創業メンバーが現場から卒業して、僕が共同代表になったり、えりこさんが編集長になったり、おぐなおさんが事務局長になったりと、組織のメンバーも大きく変えたんです。
グリーンズは、「実践するWEBマガジン」へ
散歩 「ソーシャルグッドなWEBマガジン」から脱皮して、どんな存在になるんだろう?
えりこ ちょうどこの前、グリーンズをSNSで紹介するときに、「『生きる、を耕す。』を実践するWEBマガジン」って言葉を使ったんですよね。
散歩 ほー! 「実践するWEBマガジン」って、あんまり聞いたことないですね。
えりこ 「実践」って言葉を入れるの、けっこう勇気が必要だったんだよね。でも、他のWEBマガジンにはできないことが絶対にあると思って。
正太郎 うん。さっきも言ったように、WEBマガジンってめっちゃ増えたじゃないですか。環境問題とか、ローカルの問題を扱うメディアも増えた。だけど、「情報を出して終わり」のメディアが多いなって思っていて。
散歩 そうだね。
正太郎 でも、情報を出しておけば、個人や社会が変わるかっていったら、それじゃ足りない。個人や社会を変えようと思ったら、メディアを運営する人たち自身が実践すべきだと思うんですよ。
散歩 たとえば記事で移住を促してても、自分たちが移住してなかったら説得力がないよね。
正太郎 そう。その点グリーンズのスタッフは、僕も熊本の南阿蘇に移住して近所の畑で不耕起栽培をやってみたり、えりこさんも八ヶ岳のふもとの9坪ぐらいの小屋でミニマリストとしての暮らしを実践していたり、おぐなおさんも…。
おぐなお はい。グリーンズで紹介された「ハンディハウスプロジェクト(※)」さんと一緒に家をつくったり、最近だと、パーマカルチャーを目指しているほったらかし農園をやっていたりしますね。
※ハンディハウスプロジェクト
解体から仕上げまで、家づくりのすべてを住み手と一緒に行い「世界にひとつだけの家」をつくるプロジェクト。くわしくはこちらの記事で。
正太郎 そう。そういうふうに、みんな実践してる。「実践しようよ」って言うだけじゃなくて、「自分たちが実践者である」のは、グリーンズの哲学なんじゃないかな。つまり、「言行一致」だよね。
散歩 言ってることとやってることを矛盾させない、ってことか。
えりこ それって、私自身の哲学なんだよね。言行一致。
おぐなお うん、めっちゃ大事なことですよね。
読者やpeopleのみなさんと、楽しく踊りたい
散歩 あえて聞くけど、なんで実践が大事なんですか? だって、大変じゃないですか、畑とか、移住とか、家を自分でつくるとか。
おぐなお 単純に自分たちが楽しいからっていうのもありますよね(笑)
正太郎 そう、楽しい(笑)
それと、前提として、グリーンズが大事にする成果って、メディアのPVとか、イベントや講座の参加者数じゃないと思ってるんですよ。
本当に大事にしたい成果は、「個人の実践と変容」なんです。
散歩 「個人の実践と変容」。
正太郎 どれだけ個人の意識が変わって、実践につながったか。そういう変容がたくさん生まれたら、地域やコミュニティや社会が豊かになるはず。だから、どれだけ「実践と変容」を起こせたのかが、グリーンズが大事にしたい成果なんです。
えりこ そう考えると、客観的に記事で伝えてるだけじゃ、変容って起きないんだよね。実践を通してしか、人は動かされないと思う。
散歩 実践を通してしか人は動かされない?
えりこ なんていうのかな… 誰かが実践してる姿に触れてこそ、人は心を動かされるんじゃないか、って思うんです。もう概念じゃなくて、実践が必要だってそろそろみんな気づき始めているんじゃないかな。
おぐなお あ! それを聞いて思い出したんですけど、「グリーンズって、楽しく実践してる人の集まりだな〜」って思うことがあるんですよ。
散歩 ほぉ! というと?
おぐなお 「やるべきだよ」じゃなくて、「楽しいから一緒にやろうよ!」って呼びかけてる、みたいな。
散歩 あー、なるほど。なんか、以前TEDで起業家のデレク・シヴァーズという方が、「社会運動の始め方」ってトークで紹介してた動画を思い出しました。
正太郎 いきなり裸で踊る人の動画ね。
散歩 そうそう。公園みたいな場所でひとりで踊り出した人がいて、はじめは嘲笑される。だけど2人目のフォロワーが踊りに加わることで、ほかの人も次々と踊り出して、最終的に大勢の踊りが生まれる。デレク・シヴァーズいわく、この2人目が社会運動を起こすためにすごく大事なんだと。
えりこ 2人目が楽しく踊り出すことで、1人目が変人じゃなく、社会運動のリーダーになるってことだよね。
おぐなお おもしろいですね。グリーンズは、ひとりで踊り出す人を見つけて踊りだす、2人目の人みたいな存在なのかも。
散歩 うん。その姿を見て「踊りたい」って思う人も増えて、さらに輪が大きくなるかもしれない。そう考えると、読者のみなさんやgreenz peopleのみなさんも、一緒に踊る人なのかな?
おぐなお そうですね! 一緒に楽しく踊りたい。
正太郎 そうなったらいいですよね。
実践と変容①greenz peopleと一緒につくる連載「暮らしの変人」
正太郎 でも、「どれぐらい人生が変わったか」みたいな成果って、ぶっちゃけ数字じゃ追えないじゃないですか。だから、活動報告で何を伝えるかも、むずかしいんだよね。
散歩 たしかに。PVやイベント数よりも「どんな実践と変容が生まれたか」っていうストーリーが大事なのかもしれない。
そういう意味で、12期に生まれた実践と変容って、なにかありますか?
おぐなお あー、それでいうと、「ピープル編集部」が始まったことは大きいかもしれないですね。
散歩 ピープル編集部?
正太郎 今までグリーンズで一番、「実践と変容」をしてきたのって、ライターさんや僕らスタッフだったと思うんですよ。最前線で社会をつくっている人たちの話を生で聞けたり、現場に足を運んだりしてきて、そこで得た気づきをもとに、僕ら自身が変容していくっていう。
散歩 うん、うん。僕もグリーンズにライターとして関わっているので、わかります。
正太郎 そうだよね。それで、これまではgreenz people、つまり寄付会員の方は、それを寄付でサポートしていただくっていう関わりしかなかったんです。
おぐなお そうそう。私たちも、greenz peopleや読者のみなさんに、「グリーンズを、自分のやりたいことのために使ってください!」ってずっと言ってきたんです。でも、具体的な使い方を提案できてなくて。
散歩 読者的には、「使ってと言われても…」と。
おぐなお たぶんそうなんですよね。だから、どんな仕組みがあったらグリーンズを使いやすくなるだろう?って考えて、始めたのが、ピープル編集部です。
散歩 どういう取り組みなんですか?
おぐなお 連載を、greenz peopleのみなさんと一緒につくっていく取り組みです。
散歩 連載を一緒につくる!
おぐなお はい。「暮らしの変人」っていう、あたり前だとされてきた価値観や暮らしをくつがえすような実践をしてる方を取材する連載を始めたんですね。その連載は、ピープル編集部のみんなで企画会議をしたり、一緒に取材に行ったり、Slackコミュニティでやりとりしたりしながら、記事を一緒につくってます。
散歩 どういう流れで記事づくりが進むんですか?
おぐなお えっと、まずは取材にいく前に企画会議をします。「そもそもあなたにとって変人ってなんですか?」とか、そういう問いから始めて。
会議に参加する人には、プロの編集者の方とか、障がい者福祉に携わっている人とか、ほんといろんなバックグラウンドの人で。それぞれの観点から、「こういう人に取材したらいいんじゃないか」みたいな、私たちだけじゃ思いつかなかったようなアイデアが出てくるんですよ。
散歩 楽しそうですね〜。どれくらいの方が参加してるんですか?
えりこ 会議に参加するのは10人くらい。ピープル編集部のSlackチャンネルには、48名が参加してます。
で、希望者を募って一緒に取材ツアーに行って、ツアーの最後にはみんなで感想を共有して… 取材後にもオンラインで振り返りをするよね。
おぐなお うん。で、次の記事どうしようかみたいな話を、またしていく。
散歩 これまで何回取材したんですか?
おぐなお 2023年5月に、熊本にある「エコビレッジ サイハテ」に行ったのが初回で、これまでに計4回ですね。
散歩 2回目の糞土師の記事は、めちゃくちゃ読まれてましたよね。
えりこ そうですね。2023年11月から3月上旬で4.3万PVかな。タイトルを世に出すのに結構勇気がいりましたよ、これ。
散歩 「「食は権利、うんこは責任、野糞は命の返しかた」糞土師・伊沢正名さんが50年続ける信念の野糞」。これ、タイトルに「うんこ」「糞」っていう言葉が4回でてくる(笑)
えりこさん ね(笑) 「本当にいいのか」と何度も自分に問いをたてて。批判的な意見も出るかもしれないじゃない? でも、全然なかった。本気さって伝わるんだ、とあらためて思った。
おぐなおさん うん、批判は全然なかったですね。
散歩 数値では測れない、ピープル編集部の成果みたいなものは感じましたか?
えりこ そうですね。会議に参加している私たち自身もなんだけど、「このインタビューでどんな学びを得たか」を、みんなと話すことで、言葉に落とせるんだよね。それはすごく、尊い時間だなと感じました。
散歩 みんなで記事をつくるからこそ、学びが深まるというか。
えりこ そう思います。自分自身の学びを共有して、ほかの誰かの学びも共有されることで、学びが一段と深くなる。
散歩 参加した方もきっとそうなんでしょうね。実践から学び合って、これから変容につながる人も出てくるかもしれない。
実践と変容②学びの場づくり
正太郎 僕もやっぱり、現地で五感を通して得た学びが変容に繋がるんじゃないか、っていうことは思っていて。記事だけじゃなく「学びの場づくり」も、「実践と変容」を生み出すために大事だと思うんです。
おぐなお たとえば「リジェネラティブツーリズム」とかね。
散歩 「リジェネラティブツーリズム」っていうのは?
正太郎 これからグリーンズが探究していきたい「リジェネラティブ (環境再生型)デザイン」を学ぶツアーを開催することにしたんです。それで、まずは2023年の8月に、モリウミアス(※)に行こうと。
※モリウミアス
宮城県石巻市雄勝町にある、こどもたちのための複合体験施設。東日本大震災により町の8割が壊滅してしまった地域で、2015年に廃校を再生し、こどもたちが森と海とつながりながら生きる力を育む学びの場として運営されている。
散歩 モリウミアスは、元中学校跡地でリジェネラティブ農業(環境再生型農業)を始めたよね。
正太郎 そうそう。記事でも紹介したけど、その現場にツアーの参加者の皆さんと伺って、モリウミアスでの体験宿泊と、雄勝町の地域見学をしつつ、土壌再生のための「ソルガム」っていう緑肥の刈り取りワークショップをやりました。めちゃくちゃ炎天下の中で(笑)
散歩 実際に行ってみて、どうだった?
正太郎 僕もモリウミアスのことは知っていたけど、行くのは初めてだったんだよね。実際に足を運ぶと理解度が変わるし、モリウミアスがやろうとしてるリジェネラティブ農業のことも、ようやく本当の意味で理解できた気がする。参加者の方からも「巨大な防潮堤を目の当たりにして衝撃を受けたけど、そこで自然との調和を目指した活動が行われてることに希望を感じた」っていう声があったし、行ってよかった。
おぐなお あと、「学びの場づくり」っていう意味では、福島12市町村との取り組みもそうですよね。
正太郎 まさにですね。
散歩 詳しく教えてもらってもいいですか?
正太郎 福島12市町村(※)って、東日本大震災と原発事故で大きな被害を受けたエリアなんだけど、今では避難解除が進んで住民が戻ってきてるだけじゃなく、若手プレイヤーたちが移住して多くの事業を立ち上げてるんだよね。
※福島12市町村
福島第一原子力発電所の事故により避難指示等の対象となった、南相馬市、田村市、川俣町、浪江町、富岡町、楢葉町、広野町、飯舘村、葛尾村、川内村、双葉町、大熊町を指す
散歩 そうなんだ!
正太郎 そういう、地域資源をいかして生業をつくる「ローカル起業」の動きを記事で伝えて、さらに新たに起業・開業を目指す人を集めるためのスタディツアーもやったんです。
散歩 実際に、なにか変容につながった?
正太郎 それが、けっこうつながりそうなんだよね。スタディツアーのあとに創業ワークショップを開催したんです。10名申し込みがあって、本当に起業か開業をしそうな人が5、6人現れました。
散歩 おお! 5、6人が起業か開業するって、地域にとってはけっこうインパクト大きいよね。
正太郎 そうなんだよね。なかには、「いつかお互いの地元の福島に帰りたい」って話してた夫婦が、ワークショップに参加したら「地域資源もあるし、支援制度もあるし、ここでやるわ!」ってスイッチが入ったりとか。まさに、個人の変容だよね。
実践と変容③求人による個人と地域、組織の変容
正太郎 企業の採用支援と個人のキャリア支援事業に取り組んでる「グリーンズジョブ」でも、変容が生まれてる気がする。
散歩 たしかに! 編集を担当してる僕から話すと、たとえば福岡県赤村はかれこれ4年くらい、求人でご一緒させてもらってます。
「源じいの森」っていう、半民半官で運営しているキャンプ場や温泉や研修施設がある複合施設があるんだけど、一時は訪れる人がかなり減って、危機にあったんだよね。
それで、なんとかしなきゃいけないということで、地域おこし協力隊として「キャンプライフ・コーディネーター」を採用したり、全国初の地域プロジェクトマネージャーとして支配人を採用したりしてきて。
僕、毎年求人記事の取材で赤村に通ってるんだけど、行くたびに進化してるんですよ!
おぐなお へえ〜!どんなふうに?
散歩 それまでは、わりと地味な施設だったのが、キャンプライフ・コーディネーターがデザインしたおしゃれなロゴとか看板ができたり、アウトドア系のインフルエンサーとイベントやってたり、どんどん面白い変化が生まれてきていて。
なんか求人って、 個人の変容もだし、その地域とか組織の変容にもつながるんだなって、すごく感じてます。
正太郎 そうなんだよね。だからグリーンズジョブはグリーンズとしてもすごく大事で、いいプロジェクトにしていきたい。だから今、事業のリニューアルを進めてます。
散歩 うん。大事なニュース。
正太郎 これまでは求人記事とイベント開催っていうふたつのサービスだったけど、それだけじゃなく、「人と地球にいい仕事」に出会えるプラットフォームになっていこうと。13期にお披露目なので、楽しみにしててね、という感じですね。
グリーンズという焚き火の火を、持って帰ってほしい
散歩 話を聞いてて、グリーンズって「WEBマガジン」として捉えると、本質捉えきれない気がして。なんなんだろう、グリーンズって(笑)
正太郎 なんだろうなぁ。関われば関わるほど、自分自身が変容する“何か”。うーん、それじゃ伝わらないか…。
おぐなお よく、「グリーンズはコモンズ(※)でありたい」って、スタッフで話してますよね。
散歩 コモンズ?
おぐなお 「グリーンズは別にスタッフのものじゃないよね」って。読者やgreenz peopleのみなさん含め、みんなが自分のやりたいことを実現するための共有資源だから、「どんどん使ってください!」って、よく言ってます。
※コモンズ(commons)
日本語でいえば「共有資源」。 特定の人や団体が所有することなく、誰でもが自由に利用できる場所やモノ、サービスのこと。
散歩 ああ〜、「グリーンズは共有資源」って、しっくりくるかも。その共有資源を使う方法として、記事を読んだり、ピープル編集部に参加したり、ツアーに参加したり、仕事探しをしたりすることがあるってことですね。
おぐなお うん、うん。そうですね。しかも、グリーンズっていう共有資源は、使ったら減るようなものじゃない。むしろ使えば使うほど、家族とか地域の人が幸せになったり、社会が良くなる実践が生まれて、それが新しい知恵になって蓄積されていくようなイメージ。だから、どんどん使ってほしいんです。
散歩 そう考えると、greenz peopleも「寄付会員」って呼んでるけど、かならずしも「グリーンズを応援したいからお金を出すよ」って気持ちじゃなくてもいいのか。
正太郎 そうそう。この共有資源を一緒によくしていくために、みんなでお金を出し合う、みたいなイメージでもいいかもしれない。
えりこ 共有資源の話で思い出したけど、この前のグリーンズの合宿で、「グリーンズは焚き火みたいだね」って話をしたんだよね。
おぐなお あー、しましたね!
散歩 たしか、もともと「グリーンズって灯台みたいだね」って話してた気がします。未来を「こっちだよ」って照らす存在だね、と。
おぐなお そうですよね。
散歩 灯台じゃなく、焚き火のほうが今のグリーンズっぽい?
おぐなお うん。今や誰も、未来がどうなるかなんてわからない時代じゃないですか。だからこそ、一人ひとりが実践して、その人なりの知恵を身につけていくことが必要だと思うんです。
そのとき、グリーンズの役割は先を照らすことじゃなくて、みんなが実践を続けられるようにすることだなって。
えりこ そう。グリーンズのスタッフは、焚き火の火を絶やさないようにするのが役割。だから、greenz peopleや読者のみなさんは、どうぞ火を持って帰ってください、って呼びかけたいですね。
散歩 そうか。一人じゃ実践の火を灯し続けられないかもしれないけど、かならず火が灯り続けてる場所があれば、火をもらうことができる。
そしてその火が広がれば、いつかグリーンズや、ほかの誰かが、そこから火をもらいにいくこともあるかもしれないですよね。
正太郎 そう。だからこそ、記事を読んでほっこりした、で終わらせずに、火を持って帰って、それぞれの暮らしのなかで実践してほしい。
そういう「個人の実践と変容」を、これからムーブメントとして広めていきたいと思ってます。
– INFORMATION –
さまざまな社会実験を探究するシリーズ本『生きる、を耕す本』が完成しました! 第一弾は、日本各地でなぜか立ち上がりつつある「エコビレッジ」の動きに迫ります。グリーンズの寄付会員「greenz people」だけが読める限定本! この機会にぜひ、greenz poepleの仲間になりませんか?