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NPOグリーンズ 第11期 アニュアルレポート

いつもご愛読いただきありがとうございます。
季節はすっかり春に入り、花粉症に悩んだり、卒業・入学・転職などライフステージの変化を過ごしたり。それぞれ季節の変化を感じていることでしょう。

今回は、NPOグリーンズの第11期アニュアルレポートをお届けします。アニュアル(年間)の活動報告書です。NPOとしてウェブマガジン、学校、会員、企業・自治体連携など日々さまざまな活動を展開していますが、第11期=2021年12月〜2022年11月の期間に具体的にどのような成果を出すことができたのか、ご報告させてください!

NPOグリーンズ 第11期 活動報告

・3期比較(左から第9期、第10期、第11期)

11期会計報告

・部門別売上

・経常収益と経常費用

greenz peopleのみなさまへ

鈴木菜央 NPO法人グリーンズが、存在する理由がある。それは一人ひとりが生き生きと生きることができる、人間が存在することで、あらゆる命がいかされる、そういう世界を目指していることにある。そんな世界について、見て考えてみんなと一緒に作る提案をするというのが、グリーンズだと思っている。

それこそがみなさんがグリーンズを応援してくれている理由だと思うし、グリーンズが頑張っていける原動力にもなっている。(そんな世界を、僕らは「いかしあうつながり」という言葉で表現している)

今期(11期)を振り返ってみると、それができた部分もあるが、なかなかうまく進まなかった部分も多かったように思う。うまく進まなかった原因のひとつは、経済的に成立させることに苦労した部分がある。短期的には今年度の黒字ラインを越えていくために、中長期的には、累積の借り入れを返済しつづけていける体制をつくるために(時には心やからだの健康に影響があるレベルで)頑張らなきゃいけない場面があった。

もう一つの要因は、人間関係にあった。お金の圧力がかかり、それが忙しさにつながり、心からの信頼関係をつくり、維持する(そしてそれはめちゃくちゃ手間がかかる)ことにエネルギーを向けきれなかった。メンバーの中には、苦しみ、違和感や恐れ、不信感を感じた人たちがいたことを僕らは認識している。

とはいえ、これらの問題について僕らは(もっとやっていく必要はあるが)ちゃんと向き合って、話し合ってきたし、少しずつではあるが、乗り越えてきたと思っている。そしてそれを、僕はうれしく、誇らしく思う。

なぜ報告書でこんな赤裸々なことを書くのかといえば、こういうことこそが、あらゆる個人にも組織でも起こっていると感じるからだし、これこそ僕らの社会が「生き生きとできない社会」となってしまっている理由だと思うからだ。

グリーンズ自身の苦しみとそれを乗り越えようとする動きは、僕らが目指す、一人ひとりが生き生きと生きることができる社会をつくることそのものだと思う。僕らがどういうふうに乗り越えてきたか、いくか、ということはとても重要な学びのプロセスだし、それを活かして今後のグリーンズのあらゆる活動を行なっていきたい。

繰り返しになるが、NPO法人グリーンズには、存在する理由がある。それは一人ひとりが生き生きと生きることができる、人間が存在することで、あらゆる命がいかされる、そういう世界を目指していることにある。

今期も、ご支援ありがとうございました。

鈴木菜央(すずき・なお)

鈴木菜央(すずき・なお)

NPOグリーンズ代表 greenz.jp編集長 2006年にウェブマガジン「greenz.jp」を創刊。いすみローカル起業プロジェクト、いすみコミュニティベンチャースクール、いすみ発の地域通貨「米(まい)」、パーマカルチャーと平和道場、トランジションタウンいすみなどを共同で立ち上げ、千葉県いすみ市での持続可能なまちづくりに取り組む。

グリーンズ各部署の報告

メディアチーム(greenz.jp編集部)

スズキコウタ 第11期(2021年12月-2022年11月)の獲得読者数は、234万PV、216万UUでした。前年より読者が減ってしまったのは、グリーンズに限らずメディア全体で「媒体読み」をする読者の減少傾向や、動画等マルチメディアを通じての情報収集が進んでいることなど、さまざまな社会背景・要因を考えているところです。

この読者減少傾向は、NPOグリーンズの創業・基幹事業として危機感を募らせることでもあり、少しでも改善していくべく、さまざまな施策に取り組んでおりますが、大きなところとしては「Article Optimized Remaster = AOR = 過去記事最適化」というものがあります。これは、過去に公開した記事を現在のデバイス、画像の解像度、一部本文の現在の社会状況への最適化など編集を施して、再度公開するという仕組み。トレンドやその瞬間の社会状況だけでなく、長期的目線で記事をつくってきたグリーンズだからこそできるものです。

この通称「AOR」が始動してからは、読者数は回復傾向にあり、2022年9月は、読者がピークに多かった2016年当時に迫る数の月間PV / UUを記録しました。

したがって当該期間における記事アクセスランキングを割り出すと、多くの過去記事が上がってくる状況にありますが、過去・新作両方に共通する傾向として、省察する機会、持続可能なエネルギーの使い方・つくり方をテーマにしたものが読まれる印象がありました。(ちなみに前年は循環。電力逼迫警報などもあり、エネルギーに集中していったのかもしれません)

また今期は、副編集長(当時)のスズキコウタが岐阜市「みんなの森 ぎふメディアコスモス」で、これまで展開してきた「作文の教室」をアップデートした「メディコス編集講座」を展開。これは、岐阜市のシビックプライド事業に関連したスクールですが、市民のまちへの誇りを発信し、観光客と接続するための仕組みで、僕らが16年かけて培ってきた「社会とつながるために書く」ことをフル活用したものです。

このような編集部スタッフが地方へ足を運び、地域や社会の発展に貢献するために学びの場をつくることは、更に増やしていきたいと思います。

スズキコウタ

スズキコウタ

greenz.jp副編集長。日々のメディア運営の傍ら、ゼミクラス「作文の教室」を各地〜オンラインで展開。2020年、greenz.jp第2編集部として「greenz challengers community」を結成。

ビジネスチーム(社会変革事業)

国内スタートアップ初のB Corpを取得した「ファーメンステーション」の求人記事のために岩手県奥州市で取材しながら、社員のみなさんに混ざってひまわりの収穫をお手伝いさせていただきました(写真:山中康司)

正太郎 NPOグリーンズの資源をいかして企業・自治体の事業支援を行う「社会変革」事業部では、第11期に計33の企業・自治体を支援しました。様々な分野のステークホルダーのみなさんと協働してプロジェクトを展開することの多い1年でした。

生団連、日本財団、武蔵野大学といった団体や教育機関。大阪ガス、竹中工務店といった大企業。千葉県いすみ市、沖縄県うるま市といった地域。よりよい社会をつくるためにセクターにとらわれることなく協働し、greenz.jp読者のみなさんともコラボレーションしていく。改めてgreenz.jpは「社会的な媒体」という役割を認識する機会となりました。

昨期にリニューアルした採用&キャリア支援事業「グリーンズジョブ」は2年目に突入し、トランジションを応援しあうオンラインコミュニティは参加者は約500名まで増えました。求人記事数は年間15件。記事をきっかけに実際に転職したり、移住する方が生まれる結果にも繋がっており、その人の人生に関わる仕事だからこそより一層、来期も真剣に事業に取り組んでいきたいと思っています。

植原正太郎(うえはら・しょうたろう)

植原正太郎(うえはら・しょうたろう)

NPO法人グリーンズ 共同代表
NPOグリーンズで健やかな事業と組織づくりに励む。2021年5月に熊本県南阿蘇村に移住。暇さえあれば釣りがしたい一児の父。

グリーンズの学校チーム(環境教育事業)

YOSH 第11期は「サステナビリティカレッジ」「いかしあうデザインカレッジ」につづき、人気クラスだった「コミュニティの教室」をリニューアルする形で「コミュニティのカレッジ」をスタート。サスカレの70名を筆頭に、3クラス合わせて平均在籍者数140名となりました。

また、「シチズンサイエンスの教室」や「シティズンシップの教室」など、これまでになかったクラスも含めて、13回のクラスにのべ445人が参加。年間売上も1177万円となり、自主事業として一定の目標を達成できました。

一方で、ウィズコロナの時代の中でオンラインの学びへのニーズは高まったものの、徐々にアフターコロナに向かうなど、外部環境の変化もあり、「beカレッジ」の終了や、価格や内容の見直しなど、試行錯誤を続けた一年でもありました。

11期中には山中康司さんの「ほしい家族をつくる」連載に合わせて、スクールチーム主催で対話会を実施してきましたが、来季以降はウェブマガジン「greenz.jp」全体のリニューアルに合わせて、greenz.jp×グリーンズの学校×グリーンズジョブ×greenz people、すべてのリソースをいかしたクラスづくりに、さらに取り組んでいきたいと思います。

兼松佳宏(かねまつ・よしひろ、YOSH)

兼松佳宏(かねまつ・よしひろ、YOSH)

元greenz.jp編集長。16年より京都精華大学特任教員として、ソーシャルデザイン教育のプログラム開発を手がけた後、21年より「グリーンズの学校」編集長。

greenz peopleチーム(会員・寄付事業)

YOSH グリーンズをともにつくる寄付会員「greenz people(ピープル)」。第11期は760名の方がご参加くださり、寄付により公開できたgreenz.jpの記事数は54本でした。

ランディングページをわかりやすくリニューアルするなど、さまざまな改善に取り組みましたが、昨今から続く減少傾向は変わらず、前年比88名減、寄付収入も目標(1006万円)は達成できず、834万円に留まる結果となりました。

11期としての大きな挑戦は、FacebookからSlackへと活動の場を移し、一緒にいかしあう社会をつくるコミュニティをつくることでした。そのため、コミュニティマネージャーを採用し、前半は週に一度以上の頻度で開催してきましたが、想定していたよりは参加者もそれほど多くはありませんでした。

ピープル同士の関わり合いを増やす「コミュニティ化」という挑戦がピープルのニーズに叶っているのか、あるいは、どのようなテーマであればあれが可能なのか、議論を重ねてきましたが、いま必要なのは表面的な対応ではなく、ウェブマガジン「greenz.jp」、グリーンズの学校、グリーンズジョブなどNPO法人グリーンズとして、ひとつのチームとして、greenz peopleの位置づけを再定義していくことだと強く感じています。

12期に入り、少しずつその挑戦が始まっています。なにか関われそう、と感じた方は、ぜひ参加をお待ちしています!

兼松佳宏(かねまつ・よしひろ、YOSH)

兼松佳宏(かねまつ・よしひろ、YOSH)

元greenz.jp編集長。16年より京都精華大学特任教員として、ソーシャルデザイン教育のプログラム開発を手がけた後、21年より「グリーンズの学校」編集長。

今後とも、グリーンズをよろしくおねがいします!

– 過去のアニュアルレポート –

第10期アニュアルレポート
第9期アニュアルレポート
第8期アニュアルレポート

– INFORMATION –