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15周年、7000本! でも、まだ過渡期。2021年にグリーンズでヒットした記事から見えてきた、世界の暮らしの現在地と兆し。

みなさん、あけましておめでとうございます!
本年も、NPO法人グリーンズをよろしくおねがいします。

2020年にひきつづき、2021年も新型コロナウイルスが猛威をふるい、なかなか終息という先行きが見えない、不安を抱える日々が続きました。

グリーンズは15周年を迎え、総発信記事本数が7000本を突破する”ダブル・アニバーサリー・イヤー”でしたが、これまでの活動を祝福するというよりも、目の前の挑戦に専念する気分だったと思います。

そして年末には、グリーンズの経済的ピンチをみなさんに救っていただいたことに、改めて感謝いたします。「延命」させていただいた私たちは、社会に対してどんな価値を提供し貢献していけるだろう。そう考え、2022年の記事製作・スクールプログラム・企業自治体とのコラボレーションに取り組んでいきます。

今日は新年1本目の記事。2021年をgreenz.jpの記事を通して振り返り、2022年を模索するという内容でお届けします。ヒットしたあらゆる記事、アクセスが急上昇した過去記事、そして編集部スタッフの解説をお楽しみください!

2021年のインタビュー・コラム記事のトップ3!

やっと見つけたコインランドリーの裏口。秘密の扉を開け、階段を登った先にある小さな空間「ニカイ」って? #場づくりという冒険
藤本遼 / 場づくりという冒険 いかしあうつながりを編み直す

たぶん「ニカイ」というからには2階にあるのだろう、と思って探すけれどなかなか見つからない。

やっと見つけたコインランドリーの裏口から入り、階段を登った先にあるその小さな空間は、しかし綺麗に整頓がなされていてとても居心地がよかった。真ん中には大きなテーブル。壁には「ニカイ」を訪れたことのある人たちの名刺がずらり。さまざまな書籍も本棚に並んでいた。(⇒続きは、こちら!

今、大地が呼吸不全を起こしている。未曾有の被害を受けた林業会社が乗りだす、自然みずから蘇る力を生かした開発
甲斐かおり / キノマチ会議

「1時間に120ミリの雨が降って電気も止まるし、道も全部だめになりました。4ヶ月たっても山に入れない。木が出せないので収入ゼロです。」

田島山業株式会社の田島信太郎社長は、一息にそう話した。

国内屈指の木材の産地、大分県日田市中津江村。田島山業の前身である田島家は、鎌倉時代からこの地で林業を営んできた。市場を通さず独自の販路を開拓するなど新しい林業の方法を模索し続けてきた会社である。(⇒続きは、こちら!

マガジンハウス社員からホームレス編集者へ。居候生活と禅修行で始まったひとりベーシックインカム制度。4年間のわたしの“家賃ゼロ”という生存計画について(前編)
土居彩 / supported by greenz people

これは、稼いだ給料を使い切る会社員生活、お金を受け取らずに奉仕するアメリカの山ごもり禅修行、そしてアメリカ・日本での居候をベースにした暮らしを経たわたしが、お金と人生、豊かな社会についてゼロから考えた4年間の記録です。

それは、予期せず始まったひとりベーシックインカム制度、“家賃ゼロ”という生存計画でもあります。(⇒続きは、こちら!

2021年のアイデア記事のトップ3!

もう「くさそう」「使いにくそう」とは言わせない! 電気不要、循環は豊潤。個性豊かなコンポストトイレを集めました。
中鶴果林 / greenz challengers community works

生ゴミに限らず、「排せつ物」から「人間の身体そのもの」まで、無限大の可能性を秘めているコンポスト。自然界と人間の暮らしがうまく循環した持続可能なつながりを実感できるからこそ注目されているようです。

そんななか、実は、世界中では個性豊かなコンポストトイレがたくさん生まれています。「くさそう」「使いにくそう」「面倒くさい」を覆してくれる、グリーンズおすすめのコンポストトイレを寄せ集め、こうして記事をつくることに。それでは、ひとつひとつ紹介していきましょう!(⇒続きは、こちら!

人間もコンポストできる! 自然界の循環を活用して約30日間で土に還る。新しい葬儀の選択肢「堆肥葬」って?
茂出木美樹 / greenz challengers community works

生ごみを捨てる手間がなくなり、作物を育てる時に活用することができる堆肥を得られるコンポスト。生ごみを焼却処理する際のエネルギーの節約や、二酸化炭素の排出量を減らすことができたりと私たちにとっても、環境にとってもいいことがたくさん!

そして人間も自然の一部。そのため、人間だってコンポストと同様の仕組みで堆肥化できるんです! そこで今回は、アメリカで始まった、環境への負荷が少ない、自然界の働きを活用した新しい葬法をご紹介します。(⇒続きは、こちら!

これは、感謝じゃなく最終通告だ。渋谷に掲げられたヒアリからの手紙を、私たちはどう受け取ったか。
greenz challengers community / greenz challengers community works

2021年10月、渋谷の広告スペースに届いた1通の手紙。その差出人はヒアリ! グリーンピースが展開した「危険生物から感謝の手紙」というキャンペーンです。

気候変動や海水面の上昇により、本来日本ではあまり確認されていなかった危険生物にとっては快適な環境になっている。そんな皮肉な状況をユーモアで表現しているのです。(⇒続きは、こちら!

2021年のグリーンズジョブ記事のトップ3!

全国初の「地域プロジェクトマネージャー」募集中! 福岡県赤村で活動する“ローカル施設再生請負人”の仕事とは?
山中康司 / グリーンズジョブ

「企業のミドルマネージャーとして培った経験を、地域でいかしたい」
「行政と民間の関係調整をいくつも経験してきたけど、一箇所に腰を据えて取り組んでみたい」
「地域おこし協力隊として活動してきたけど、マネージャーの立場にチャレンジしたい」

そうした方のキャリアの選択肢として、「地域プロジェクトマネージャー」という働き方が生まれようとしています。

その先駆けとなるのが、福岡県赤村にあるキャンプ場・温泉・自然体験などの複合施設「源じいの森」の、“ローカル施設再生請負人”とも言える仕事。以前グリーンズ求人でもご紹介した改革再生プロジェクトに取り組む「再生&運営プロジェクトマネージャー」の募集です。(⇒続きは、こちら!

“等身大でクリエイティブなまち”が、栃木にあった!下野市で関係性づくりに取り組む「コミュニティエディター」の意義とは?
山中康司 / グリーンズジョブ

下野市では今、地域おこし協力隊の制度を活用して、まちの魅力を伝えて地域外の人とのつながりづくりに取り組む「コミュニティエディター」を募集しています。

今回グリーンズ求人では、「等身大で、クリエイティブ」な取り組みが次々に生まれている下野市の特徴や、「コミュニティエディター」の仕事についてご紹介します。(⇒続きは、こちら!

人口約1万1千人のまちを、環境先進都市に! 長野県小布施町が募集する「ゼロカーボン推進員」「ゼロウェイスト推進員」の仕事とは?
grennz.jp編集部 / グリーンズジョブ

今回ご紹介するのは、長野県小布施町で「ゼロカーボン推進員」「ゼロウェイスト推進員」として活動する地域おこし協力隊の求人。長野県北部に位置し、県内最小の約19㎢の面積の中に人口約1万1千人が暮らす小さな町で、環境先進都市への転換の鍵となる役割をになう仕事です。

政府が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを打ち出すなど、日本国内で環境問題に関わる取り組みが今後さらに加速していくことが予想されます。そんななか、募集が始まったこの仕事。いったいどのようなものなのでしょうか。(⇒続きは、こちら!

2021年に急上昇した過去記事のトップ3!

20秒でゴミ袋に。脱プラスチックの新しい生活様式は「読んだら折る」。新聞ゴミ袋のつくり方。
やなぎさわまどか / いかしあうつながりのレシピ

2020年7月1日からレジ袋が原則有料となりました。一方で、これまでレジ袋を家庭ごみやキッチンの生ゴミ用に活用していた方は「ゴミ袋が少なくなって困った」という声もあるようです。そこで今日は、レジ袋を買わずとも「新聞紙でつくるゴミ袋」についてご紹介します。(⇒続きは、こちら!

草刈りしちゃうその前に。ドクダミを活かす「虫除けスプレー」のつくり方
やなぎさわまどか / いかしあうつながりのレシピ

5月に入る頃、ハートの形をした濃い緑色の葉っぱに白くかわいいお花がついたドクダミが各地で顔を出します。かわいさの反面、生きる強さとたくましさを持ち合わせたドクダミは、10種類以上の効能が”十薬”と呼ばれることもある身近な薬草。特にお花には肌を整える成分があるんだとか。

草刈りする前に、夏を快適に過ごすための「虫除けスプレー」をつくってみましょう。(⇒続きは、こちら!

10日間、オーガニック食品だけで生活! 身をもって体験したヒルカワさんが感じた暮らしの変化とは?
村山幸 / supported by greenz people

オーガニック食品に関心を持っている人は多いはず。すでに毎日の食事に取り入れている人もいるかもしれません。けれども、全ての食品をオーガニックにするのは、今の日本では、オーガニック食品の扱いは非常に限られていてとても難しそうです。

けれども、オーガニック食品だけで生活できたら、いろいろな変化をもたらしてくれそうです。もちろん体にもいいはずだし、大量に農薬が使用されている農業の現状を変えることにつながるかもしれません。

では、実際に10日間すべての食品をオーガニックにしたら、どんな変化が生じるのでしょうか。(⇒続きは、こちら!

2021年を振り返ってみた!

発言者
鈴木菜央(編集長・共同代表)
スズキコウタ(副編集長)
廣畑七絵(編集デスク)

コウタ グリーンズの記事のすべてに関わっている僕が、今年特に感じたのは、社会の大きな動きを感じる中で、その変化を見届けるのでなく、ひとりひとりが主役・創造者になるためのヒントに関心が集まったということです。

菜央 お金から自由になる。ギフトエコノミー。今の時代と違った価値観が求められているのかもしれないね。

コウタ そうですね。コンポストをやってみよう。新聞紙を活用してみよう。地域に飛び込むべく、グリーンズジョブを読んでエントリーしてみよう。などなど。

七絵 求人記事の内容が濃くなってきていますよね。

コウタ 「読んでおしまいのものはつくらない」が重要な編集方針であるグリーンズとしては、この実践〜創造へのシフトは気持ちのいい感覚であります。

菜央 今回のランキングにも入った土居彩さんの記事は長いけれど、たくさん読まれたのがうれしいね。他にも今回入らなかったけど、ソーヤー海くんや、「廃材エコヴィレッジゆるゆる」傍嶋飛龍さんとの記事もボリュームあるのにヒットしました。

コウタ 最後に。この場を借りて、日頃、グリーンズに素敵な記事を書いていただいているライターさん、編集をしてくれるエディターさん、写真を撮影してくれるフォトグラファーさん、その他多くの関係者のみなさんに感謝いたします。

2022年のgreenz.jpはどうなる!?

つづいて、2022年にグリーンズはどんな活動を展開していくのでしょう? 注目している分野、進めていく実験、取り組んでいく挑戦。仮説や願望も含め、同じく編集部の3人に聞いてきました。

菜央 「ホリスティックに見て、考え、動く

来年はホリスティック(※)なものの見方を深めていきたいと思ってます。分野としては、とくにシステム思考をの学びを深めていきたい。

※ 全体性。すべての物(人、細胞、分子、人工物など)は関係性の中に存在し、影響を与えあっており、孤立に存在することはできないという捉え方。

これが、めちゃめちゃおもしろいです。最近の話題だと、ウイルス。ウイルスは地球上で最も種類も数も多い生命(または存在。科学者でもウイルスが生命と言えるのか、意見が分かれる)で、1gの土、1ccの海水に、10の11乗のウイルスが入っているそうです。最古の生命体だと考えている学者もいて、ウイルスは自然界のバランスを保つ調整役としてとても重要な働きを受け持っている。ウイルスなしには、生態系全体の健全性は保てないらしい。このとてつもない生態系のつながりの一部である人間は、コロナウイルスを「撃退」しようとしていますが、とんでもない。無数の生命たちのつながりの世界のデカさと深さの前に、人間は負けを認めて、そこから社会をつくり直すべきだと思いますね。

そんなこと学校で習わないし、実生活でも洞察を得る機会もないし、学びを深めるチャンスもないんだよね。だから、みんなでシステム思考とか、ホリスティックなものの見方を学びたいなと。自然の叡智から、ビジネス、環境問題、個人の人生の生き方まで、領域は広大だから、みんなで学びながら記事にして届けていきたいです。

すべてはつながっていて、すべてが影響し合っている。自分と関係ない人のことを考えることが自分の子孫のためにもなる。そこを深いところで理解している若い世代が、あたり前のように行動を起こしているところにも注目したいですね。

コウタ 「僕らは飽きてきている

2021年は、個人的に激変の1年でした。

特にインパクトが大きかったのは、ファッションデザイナーのヴァージル・アブローが急逝したこと。ルイ・ヴィトンの黒人初のデザイナーになり、人種や性の差別に対するメッセージを含んだデザインや、行き過ぎた消費社会への警鐘を鳴らすアート作品の発表まで、勝ち取った評価・支持は絶大でした。(ハイブランドのデザイナーとしてはかなり社会変革者。この機会に調べてみてください。)

だけど、彼が登場し出世し、早逝するまでの期間は10年に満たなかったんです。

ヴァージルと僕を比べるのは恐れ多いんですが、僕もそろそろグリーンズに参加して10年。これまでを振り返り、そろそろ次の大きな挑戦をせねばとプレッシャーを与えながら、自分のキャリア・社会インパクト・経済基盤を見つめ直しています。

グリーンズで取り組む2022年の挑戦は、僕らが長年続けてきて“飽きてきている“ことを早々に畳んでいく。そのうえで、新しい型を見つける実験に取り組むことでしょうね。

大きくポイントをお伝えすると、こんな感じ。

(1)カウンター〜サブに近寄りすぎたグリーンズを、もっとメジャーな立ち位置に移動してあげる。
(2)ポップさを意識する。ポップは入口の広さであり、生きる肯定の態度であり、伝染強度を高める手法である。
(3)実験と盤石を行き来する。実験=記事手法の実験、概念の発展途上(まだ確立していないこれからのヒト・モノ・コト)

実験として打ち出していくのは、「greenz.jp」というウェブマガジンを「物語により人の心を動かして社会変革の主人公にするという記事の発信拠点」から、「探求や仮説の機会提供により読者と編集者が一緒に成長していく場」に変えていくことを考えています。

そのトランジションと同期するように、よりポップでメインストリームな空気感をつくることにも取り組みたい。心が弾む雰囲気、先鋭さ、深淵さが三角形でいいバランスを成り立たせている状態が目標です。まさに、これはヴァージル・アブローから学んだことでした。

このウェブマガジンの変革は、僕らだけでなく、ライターさん・エディターさん・ピープル・読者のみなさんとの取り組みになっていきます。編集部だけで実現できないことです。これまでのサポートにも大感謝ですが、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくおねがいします!

七絵 「ライター × 〇〇

今年のグリーンズは、各部署で新しいチャレンジが動いていく年になりそうです。その中で編集部が連携することで動きを加速したり、各部署でライターさんやエディターさんのスキルがいかされたりしていくと思うので、そこに前のめりに関わっていきたいですね。

グリーンズには素敵なライターさんやエディターさんが本当に多くいて、私自身、その皆さんの学びや感動がつまった記事を読むことが幸せで。きっと読者のみなさんもそこは同じだと思います。

その記事の形もストーリーだけでなく、レシピやコラム、対談などいろいろな形を試すなかで、たとえば軽めに仕立てるからこそ届くメッセージもあるという気づきがあったり。またアウトプットが記事でなくて、スクールやスタディーツアーであっても取材力や編集力はいかされたり。

15年かけて培ってきた土台と信頼があればこその、新しいかけ合わせを試してみたいです。

2022年も、グリーンズをよろしくおねがいします!

昨年、沖縄県うるま市との共同企画で、現地視察とワーケーションをしたときの写真。2021年にグリーンズスタッフがリアルで集まった唯一の時間でした。その様子は近日、greenz.jpで記事が公開になるのでお楽しみにしていてください!