\先着300名無料/10/29 キノマチ大会議~流域再生で森とまちをつなげるオンラインカンファレンス

greenz people ロゴ

人間もコンポストできる! 自然界の循環を活用して約30日間で土に還る。新しい葬儀の選択肢「堆肥葬」って?

最近、コンポストを始めた、あるいは関心があるという方も多いのではないでしょうか。

生ごみを捨てる手間がなくなり、作物を育てる時に活用することができる堆肥を得られますよね。そして、生ごみを焼却処理する際のエネルギーの節約や、二酸化炭素の排出量を減らすことができたりと私たちにとっても、環境にとってもいいことがたくさん!

そして人間も自然の一部。そのため、人間だってコンポストと同様の仕組みで堆肥化できるんです! そこで今回は、アメリカで始まった、環境への負荷が少ない、自然界の働きを活用した新しい葬法をご紹介します。

世界初の「堆肥葬」がアメリカでスタート!

世界初の「堆肥葬」のサービスは、ワシントン州ケントで2020年12月に開始されました。

人間の堆肥化とは、いったいどういうことなのでしょうか?

堆肥化のプロセスにおいて、遺体はウッドチップ、マメ科の多年草であるアルファルファ、藁とともに専用の容器に入れられます。微生物による分解を促すためゆっくりと回転させられ、およそ30日後には、骨や歯などを含め、微生物によって土壌に再構成されていくそう。その後、数週間置くと、堆肥として利用できる状態になるんです!


遺体は六角形をした埋葬容器に入れられ、堆肥化のプロセスを経る。容器は、長さ約2m50㎝、高さ約1m20㎝。

ちなみに、アメリカで行われる火葬からは年間で合計約27万トンという大量の二酸化炭素が排出されているんです。(出典元

一方、火葬と比較して堆肥葬は、燃料などのエネルギーを8分の1しか使用せず、大気中に排出される二酸化炭素を一人当たり計1.4トン減らすことができるんだとか。そして、墓石や棺の作成とその輸送を考慮すると、土葬(※)と比較しても同様の効果があるんだそう。

※土葬:棺に遺体を入れ、土中に埋葬する葬法。棺に入れずそのまま土中に埋葬する方法もある。

ちなみにでき上がった堆肥は、親族や友人などが受け取り、庭や家庭菜園などに利用することもできますが、ワシントン南部のベルズマウンテンの森に寄付することも可能です。


実際に堆肥が寄付されるベルズマウンテンの森の様子。

それぞれの価値観に合った埋葬を

サービスを開始した「リコンポーズ(RECOMPOSE)」の最高経営責任者で創設者のカトリーナ・スペード(Katrina Spadeさん)は、世間の人々の認識について、こう語ります。

多くの人々は、人生を自分の価値観に従って生きていきたいと考えています。そして、自分の生き方に沿う形で埋葬方法も選択したいのです。

このようにカトリーナさんは、都市における葬儀には火葬や土葬など環境に負荷をかける選択肢しかないことから、土地が不足することが多い都市における葬法として、人間の遺体を堆肥化することを考え出しました。

「リコンポーズ」創設者のカトリーナ・スペードさん。https://twitter.com/KatrinaSpade/status/1120425323198320641/photo/


https://www.instagram.com/p/COliYGJl-qI/

埋葬の方法を変えるだけで、環境への負荷を減らせ、自然界の循環を感じることができ、なおかつ都市の土地不足まで解決できる。一つの事柄を変えるだけで、たくさんの問題を解決できるんですね!

ぜひあなたも自然界の働きを最大限に活用して、日常をより快適にするような工夫をしてみてはいかがでしょうか?

[via BBC News, BBC News, Bloomberg CityLab, Recompose, @recomposelife ,TED Talk]

(Text: 茂出木美樹)
(編集: スズキコウタ)

– NEXT ACTION –

生活の中で、自然界の働きを活用する方法を考えて、試してみよう!