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年間10万円の食品を捨てている現在。ただレシピだけが載ってる料理本は、もう時代遅れ? フードロスと食育を学べる美味しい一冊を見つけました!

あなたは「料理をつくって食べること」について、どんな思いを抱えていますか?

美味しくてフォトジェニックな料理をつくりたいと思う一方で、何かと忙しい私たちは、できるだけ手軽に調理したいとも思っている。子どもを育てている家庭であれば、食習慣も身につけたいけど、日々のご飯をつくるので精一杯で、食育までは手が回らないとか、全てを叶えることに難しさを感じている人も多いのではないでしょうか。

そんな私たちの食に関するワガママを叶えつつ、社会課題でもあるフードロスまでを取り入れたレシピ本を発見しました。それが今回ご紹介する、『Rock What You’ve Got:Recipes for Preventing Food Waste』。カナダのグエルフ大学の「Guelph Family Health Study(GFHS)」チームが、家庭の食べものの無駄を減らし、食事を楽しめる栄養価の高いレシピを誰もがダウンロードできるように、PDF形式でインターネット上に公開しています。

レシピブックは、残った料理を新しい料理に変換する2-in-1レシピ、さまざまな食材を使い切るための冷蔵庫の掃除レシピ、野菜のすべての部分を使い切る「廃棄物ゼロ」レシピの3つのカテゴリに分けらていて、調理にかかる時間も30分前後とスピーディにつくることができます。その他、しなびた野菜を復活させる方法や、ハーブ類を上手に使って食べきること、子どもを料理づくりに巻き込むTIPSなども紹介しています。

また、1週間の家族の食事の計画を立てるためのテンプレートがあり、買い物や冷蔵庫にあるものなどもリスト化することもできます。

photo:courtesy Rock What You’ve Got:Recipes for Preventing Food Waste

ローストチキンの2-in-1レシピ。

ホールチキンに下味をつけた後、野菜とスパイスを一緒に置いて、オーブンで60分焼く。下準備には10分。

photo:courtesy Rock What You’ve Got:Recipes for Preventing Food Waste

そうしてつくったローストチキンを使ったサンドイッチ。レタスとチキンをを細かく刻んで、ディップをブレンダーでつくって、パンを焼く。所要時間10分。

photo:courtesy Rock What You’ve Got:Recipes for Preventing Food Waste

冷蔵庫の掃除レシピ。

翌週の買い物に行く前に、これらのレシピを使ってさまざまな食材を使い切りましょう。
ベジタリアンのためのフリッター。ズッキーニ、ニンジン、玉ねぎ、じゃがいもなどをすりおろし、卵、小麦粉、塩などを加えて焼く。ヨーグルトを添えて食べます。準備に20分、調理に10分。

photo:courtesy Rock What You’ve Got:Recipes for Preventing Food Waste

ゼロ廃棄レシピ。

クイックフレッシュサルサ。トマトに、玉ねぎ、コリアンダー、にんにくを細かく切って混ぜる。ライムジュースとクミンを使って酸味と辛味のバランスを整える。そのまま食べても、トルティーヤチップスと合わせても。調理時間は10分。

photo:courtesy Rock What You’ve Got:Recipes for Preventing Food Waste

メープルマスタードのフィッシュパンシートディナー。忙しい夜にオススメしたい10分の準備でできるレシピ。ボウルにマスタード、レモンレモンジュースなどを入れた調味料に、野菜と魚の切り身を入れ、オーブンで15分焼く。

photo:courtesy Rock What You’ve Got:Recipes for Preventing Food Waste

このレシピブックがつくられた背景には、成長期にある子育て世帯が、毎週3kgの食品を無駄にしていて、年間では1000ドル(約10万9千円)以上の金額をゴミ箱に投げているというデータがあります。それらの多くが腐って食べることができなくなった果物や野菜かと思いきや、60%以上が食べることができたのに捨てられたものなのだとか。(出典元: Guelph Family Health Study

これでは、子どもにも大人にも不足しがちなビタミンやミネラル類を摂取できる機会を捨てているとも言えますね。

研究チームは、就学前の子どもを育てる家庭の、食事や活動、睡眠、学習について、良い習慣が身につくことをサポートし、将来の子どもたちの健康を助けることを長期的に追跡しています。GFHSの共同ディレクターである、Jess Haines(ジェス・ヘインズ)さんは、「私たちの目標は、家族が人生の早い段階で健康的な習慣を身につける方法を最もよく理解することで、働く家族は食事の改善に特に協力を求めている」と話しています。

日本でのフードロスは年間で643万トン(2018年)で、その内訳は規格外や売れ残りなどで352万トン、一般家庭からの食べ残しや廃棄などで291万トンになっています。(出典元: 農林水産省HP

食育はもちろん、食材を使い切るという点では、子育て世帯にも一人暮らしにも嬉しいレシピブック。美味しい、健康的、あるいはダイエットにつながるようなレシピ本は多く出版されていますが、フードロスや食育についても学び、子どもと一緒に料理をすることができる一冊。まだ日本語版はできませんが、辞書を片手に週末に挑戦してみたら楽しいかもしれません。

[via Guelph Family Health Study(GFHS)treehuggerguelphtoday]

(Text: 山崎久美子)