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私たちは想像以上の金額を包装材に払っている。チリ発、三輪自動車で量り売りの訪問販売を展開する「Algramo」

「大容量がお得!」
そんな売り文句に魅かれて、必要以上に日用品を買ってしまった経験ありませんか?

2060年までに原材料消費量が現在の約2倍になると予測される中、プラスチックごみ問題を解決するべく、サーキュラーエコノミーの考え方を取り入れたプロジェクトが世界中に広がっています。日本でも以前にgreenz.jpでご紹介した、パスタから調味料まで詰め替え可能な徳島の「上勝百貨店」などの活動に注目が集まっています。

私もサステナブルな生活をしたい! と思う反面、つい、オンラインショッピングや近所のスーパーなどで手軽に済ませてしまうのも事実。

そんな日常生活でも、日用品を詰め替えに、三輪の電気自動車で自宅を訪問してくれる、チリ発の「Algramo」をご紹介します。

[Photo: Algramo] Brian Bauerさんと三輪電気自動車内の自動販売機。

2012年に設立された「Algramo」は、これまで自動販売機での詰め替え販売を展開していましたが、今年の5月から大手消費財メーカーUnileverと提携して、三輪電気自動車を活用し、石鹸と洗濯洗剤の中身のみの移動販売を試験的に導入。今秋にはさらに9台に拡大する予定です。

販売車には、自動販売機が搭載され、再利用可能なペットボトルへの詰め替えを提供。1週間に市内の決まったルートを巡回し、週末にはリサイクルセンターなど特定の場所に設置されます。

使用法は簡単。
「Algramo」サイトでアカウントを作成し、金銭のやり取りはオンラインのみ。登録した口座に入金すると、容器に記載されているRFタグにリンクされた登録口座から購入した分量に合わせて支払いができます。

[Photo: Algramo] RFコードを搭載した再利用可能なプラスチック容器。

パッケージに導入されたRFIDシステムは、日本でもSuicaや電子マネーにも使われている情報の「入力」「消去」「書き換え」ができるシステム。

この技術により、パッケージや流通にかかる費用が削減できる上、現金のやりとりがないため、盗難やスタッフへの損害リスクが少ないことで人件費を最小限に抑えているのです。消費者は店頭よりも30%安く製品を購入でき、さらに容器を再利用することで、11%の割引が受けられます。

「Algramo」でサーキュラーエコノミーと戦略的提携を担当する、Brian Bauerさん(ブライアン・バウアー、以下、ブライアンさん)が言うには

一般的に、容量が小さければ小さいほど、パッケージ費用は高くなります。極端な場合、製品全体の最大50%を占めることもあります。

[Photo: A clever solution to the “poverty tax” by José Manuel Moller ] 同量の製品を小容量容器で購入した場合、大容量容器で購入するよりも、一般的に40%以上余計に支払っていることになる。

この課題に気づいたのは、「Algramo」創設者のJose Manuel Mollerさん(ホセ・マヌエル・モーラー、以下、ホセさん)がMBAの学生で限られた予算内で生活していた時。

大容量製品を購入する余裕がない低所得者層は、お得なサイズと同量の製品を小さなパッケージで買う時に比べて、最大で50%を余計に支払っていたのです。ホセさんはそれを「貧困税」だと言います。

[Photo: Forbes] 創設者の創設者のJose Manuel MollerさんとAlgramoの自動販売機の数々。

消費行動による貧富の差を解決するべく6年前に設立されたのが、スペイン語で”グラムで”を意味する「Algramo」。地域の店舗に自動販売機を設置し、再利用可能な容器を使って、食品や日用品などを消費者が必要な量だけグラム単位で購入できるようにしました。

その後、このシステムはサンティアゴ内の約2,000店舗にまで拡大し、再利用率は約10%から80%以上に上昇。この成功は、プラスチック削減に取り組んでいるUnileverの関心を引き、今回の試験的導入につながったのです。

[Photo: elpuclitico.cl] サンディアゴのローカルビジネスを中心に拡大した「Algramo」のビジネスモデル。

「Algramo」は今後、スタートアップ向けの新たな投資を受け、米国へ事業を拡大し、高層アパートや小売店での詰め替えシステムの提供を計画しています。

ブライアンさん曰く、

私たちは、できるだけ多くの製品をシステムに組み込みたいと考えています。そうすることで、価値を創出し、プラットフォーム全体に良いネットワーク効果を生み出せるのです。

使う人の視点から解決策を模索する。
そんな姿勢がサステナブルな世界の第一歩なのかもしれません。

あなたも日常の”あたりまえ”を見直して、身の回りにある包装材の使い方を見直してみませんか。

[via fastcompany.com, Algramo.com, Youtube.com, Forbes.com, elpuclitico.cl]

(Text: ナカオカヅキ)