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辻信一とソーヤー海が組んでクラウドファンディングに挑戦! ふたりが日本に広めようとしている「しあわせの経済」って?

環境活動家で文化人類学者の辻信一さんと、千葉県いすみ市を拠点に「東京アーバンパーマカルチャー(TUP)」の主宰を務めるソーヤー海さん。greenz.jpでは度々取材をさせていただいているお二人ですが、彼らはいま今年11月9、10日に明治学院大学横浜キャンパスで開催される「しあわせの経済」国際フォーラム2019に向けて、クラウドファンディングに挑戦中です。

お二人が取り組んでいる「しあわせの経済(Economics of Happiness)」とは、世界各地でムーブメントとなっている「ローカリゼーション」を推進する活動のこと。

と、ここまで読んで「しあわせの経済」も「ローカリゼーション」に対しても頭の中で「?」が浮かんだ方も多いはず。彼らの挑戦をサポートする記事を書くことになった筆者も、実はこの記事を書くまでその一人でした。

そんな人にこそ、この記事が彼らの取り組みを応援するキッカケになったらいいな。

そんな思いから、「ローカリゼーションって何? 国際フォーラムって何?」というシンプルな問いから出発し、なぜいま辻さんと海さんがクラウドファンディングに挑戦するのかを紐解いていくことにしました。

しあわせの経済=?

辻さんや海さんが広めようとしている「しあわせの経済(=ローカリゼーション)」とは一体何なのでしょう。

この活動の提唱者であるHelena Norberg Hodge(ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさん)、そして彼女の活動を後押しする主催団体「Local Futures」の考え方を紐解いてみると、その核には、経済の急速なグローバル化、利益を追求し続ける消費社会の仕組みによって生じた様々な”歪み”に対して「NO」を示すというマインドセットがあることが分かります。

安価な商品の大量生産、消費によって引き起こされる環境汚染、気候変動、貧富の格差増大……。国と国の境目がなくなり、あらゆるリソースが世界中を駆け巡るようになったことで、わたしたちの生活は多少便利になったかもしれません。ですがそれによって様々な弊害が生じているのも事実。

そんな状況に対して、逆に地域(ローカル)ならではのリソースや文化に目を向け、人々がしあわせになるための道を模索していこう、という考え方がローカリゼーション=「しあわせの経済」なのです。

たとえば、チェーン店ではなく街に昔からあるお店で食事や買い物をしたり、輸入野菜ではなくその土地で採れた野菜を食べたりすることだって、立派なローカリゼーションのひとつなのです。

「国際フォーラム」はなぜ必要?

「しあわせの経済」の意味は、ざっくりと理解することができました。では「しあわせの経済」国際フォーラムとはどのような場なのでしょうか。

日本でも過去2回開催されている国際フォーラムですが、実はこれまでにオーストラリアやアメリカ、イタリア、韓国、インドなど世界各地で行われてきました。

国際フォーラムにて、基調講演を務めるヘレナ・ノーバーグ=ホッジ

フォーラムでは、ローカリゼーションに関心を寄せる人々や、地域でプレーヤーとして実際に活動する人々が集い、ゲストのトークに耳を傾けたり一緒にワークショップに参加したりします。

フォーラムの参加者を前にプレゼンするソーヤー海さん。

「しあわせの経済」マルシェ。来場者がブースで話し込む姿が見られた。

このような場はなぜ必要なのでしょうか。

海さん ローカリゼーションって一朝一夕でできる活動ではないんです。各々が、自分の住む地域で、色々なことを時間をかけて地道にコツコツやっていくしかない。

ともすれば孤独な営みであるからこそ、一つひとつの小さな活動が世界各地、日本各地でつながりあって、「こんな仲間がいれば社会は変えていけるんだ」っていう実感をもつことが、いま必要なんだと思います。

社会を大きく変えていくには、個人の小さな活動が広がって、影響力をもつ大きな「うねり」となり、政策やインフラなどの「仕組み」が整備され、人々の意識が変わっていく必要があります。

「しあわせの経済」国際フォーラムはまさに、個人と個人、活動と活動がつながり、一体となってローカリゼーションを加速させるために不可欠な場なのです。

フォーラムの合間には、来場者同士で感想をシェアしあう場面も。小さなつながりが、ムーブメントを広げていくために必要なのだ。

辻さんと海さんがクラウドファンディングに挑戦する理由

辻さんと海さんたちは、なぜ今クラウドファンディングを使って「しあわせの経済」国際フォーラムを開催しようとしているのでしょうか。

辻さん フォーラムをより魅力的なものにするために、世界で活躍するゲストの招致やワークショップの企画、記録映像の作成など様々なコンテンツを計画しています。そのどれもがお金のかかることではありますが、クラウドファンディングは単に資金集めのためにやっているんではないんです。

この取り組みが、地域ですでにローカリゼーションを実践している人々とつながる機会となれば僕はとてもうれしい。それに、「しあわせの経済」という考え方をより多くの人々に届けるメディアの役割を担ってくれるんじゃないかと思うんです。

様々な意味で 「しあわせの経済」というムーブメントの、ヴァージョンアップのためのクラウドファンディングだと考えています。

ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ(左)と辻さん(右)。クラウドファンディングに辻さんたちが込める思いとは?

筆者は何度かクラウドファンディングで支援をしたことがありますが、その度にとてもワクワクしたことを覚えています。なぜなら、何気なく暮らしていたら交わることがなかったかもしれない素敵な人々や団体と「つながれること」に希望を感じたから。

辻さんたちの狙いも、きっとそんなところにあるのではないでしょうか。フォーラムの主催者である辻さん、海さんたちと、彼らの活動に惹かれる人々が、クラウドファンディングを通して出会い、ひとつの「ムード」を醸成していくこと。それが11月の「しあわせの経済」国際フォーラムを大成功へと導くカギとなるのです。

日本で初めて開催された、2017年の「しあわせの経済」国際フォーラム。会場は大いに盛り上がった

この記事を通して、少しでも「ローカリゼーション」や「しあわせの経済」国際フォーラムの考え方に興味をもったあなた。辻さん、海さんたちが挑戦するクラウドファンディングの中身を、もっとのぞいてみませんか?

– INFORMATION –



greenz.jp編集長・鈴木菜央の登壇も決定!
「しあわせの経済」国際フォーラム2019
クラウドファンディング進行中!

日時: 2019年11月9日・10日
会場: 明治学院大学横浜キャンパス
チケット販売&クラウドファンディング受付: https://motion-gallery.net/projects/EoH2019
ウェブサイト: http://economics-of-happiness-japan.org