greenz.jpの連載「暮らしの変人」をともにつくりませんか→

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僕らが今、暮らしの質を高めるべき理由。それは心と体に喜びをもたらすだけでなく、反戦運動にもなるから。

誰もがコンピューターさえあればメディアを持てる。
誰もが自宅に音楽スタジオを持てる。

このようなコンテンツ発信のハードルが下がった今、無秩序にさまざまな文章・さまざまな音楽が乱立・乱発していて、僕もその世界の中にいます。

僕は編集者であり、ミュージシャン。

編集者として大事にしたいのは、取材先や書き手の暮らしぶりが感じられるものをつくること。
ミュージシャンとして大事にしたいのは、つくり手の暮らしが聴こえてくるような音響空間をつくること。

つまり、編集者としてもミュージシャンとしても僕のビジョンを実現するには、丁寧に余裕ある暮らしを紡いでいる状況をつくるのが大事になってくるわけです。

しかし仕事が順調に行きすぎるとき、逆にあまり順調でないとき、僕は働くことに熱中しすぎるあまりに、暮らしをおざなりにしがちです。そんな方、僕以外にもいらっしゃいませんか? こんなとき、働いてるんだから良いものが完成すると思いきや、丁寧さを欠いた暮らしはコンテンツに悪影響を及ぼしてしまいます。

おっと、”コンテンツ”と聞いて「他人ごと」とあなたが思ってしまわないように、ここで一言。

”コンテンツ”とは、決して記事や楽曲だけではありません。たとえば家族に振るまう食事や、友人に宛てて書く短いメッセージ。
そんなものも”コンテンツ”として解釈できるというのが僕の理解です。

だから、たとえばあなたが「クリエイター」だとか「デザイナー」という言葉の就く仕事に就いていなくても、何かコンテンツをつくっていると言っていいと思います。あなたはいつだってクリエイティブなのです!

だからこそ、気持ちよくて、美しくて、美味しい暮らしの実践は誰にも大事になってくることと言えましょう。

かつて英文学者の吉田健一は、

戰争(戦争)に反對(反対)する唯一の手段は、各自の生活を美しくして、それに執着することである。
(出典元: 『吉田健一著作集〈第13巻〉新聞一束.残光』集英社 1979年)

と書きましたが、これは本当に事実で素晴らしい言葉ではないでしょうか。

続ける・美しく豊かに暮らす

ナパの超高級ワイナリー「オーパス・ワン」にて。そこには、まるで職人でありアーティストのようにワインをつくり続ける、心豊かな人々がいました。

作曲だとか作文だとか、「作る」という漢字のつく仕事ばかりをしてきた僕は、生み出すことの苦労に苛まれたり「自分を成長させよう」とプレッシャーを与えすぎて、心の風邪をひく‥‥そんな経験を何度もしてきました。

何度も滝登りから落ちて這い上がる。そんなことを繰り返してきた僕には、心に刻んでいるふたつの言葉があります。

それが、「続ける」と「美しく豊かに暮らす」。

続けると、場数をいっぱいこなすわけで、経験が蓄積されていきます。そして継続してアウトプットし、人と分かち合うことで、自分の創作物が持つ雰囲気・個性・唯一性が見えてくるし、スキルもついていく。そして続けるための心と身体のエネルギーを生み出すには、美しく豊かに暮らすことが大事です。

美しく豊かに暮らし続けると、創造力が増します。

食べ物から始めよう

先日、greenz.jpではサティシュ・クマールさんの記事を発信し、とてつもないアクセスの大ヒットとなりました。

サティシュさんは、『サティシュ・クマールの今、ここにある未来(ゆっくり堂、2010年)』という著書で「社会課題が大きく複雑化していて、どうしたらいいかわからない」という人々の悩みに対して、こう答えています。

いつもこう訊かれます。地球温暖化、気候変動、貧困、不正・・・・・、どれも問題が大きすぎて、どこから始めたらいいかわからない、と。

確かに危機だらけですね。私は「食べ物から始めよう」と答えます。ちゃんと食べることが、世界への大問題への取り組みなのです。(中略)

地域の、天然の、オーガニックの物を選ぶ。そうすれば、あなたは健康で幸せになり、社会に正義が、生態系にバランスが戻り、地球温暖化もなくなるでしょう。そして何より、おいしい! だからうれしい。

サティシュ・クマールさん

食べ物から始めよう」。サティシュさんの言葉が意味するのは自分自身が食べるものをどう丁寧に豊かにしていくかということだけでなく、その食事を家族や友人と食べる時間や、おすそ分けをして近所との交流をすることまで含まれるのではないでしょうか。

実際、サティシュさんが開いている「シューマッハ・スクール」では、キッチンに立つことが「必修科目」。どんなに忙しい学生も、育てた野菜を収穫してキッチンに立ち、共に食事をすることがルールだそうです。

サティシュがシューマッハー・カレッジのキッチンで料理をしている様子

僕らが何を選択するときに、「美しさ」「豊かさ」をものさしにして選んでいけば、社会課題ってなくなっていくと思います。絵空事に聞こえるかもしれませんが、僕は本気です。その選択する”何”を始めるのは、サティシュさんがおっしゃる通り、食べ物が良いのかもしれません。

美味しい食べ物を食べれば、力がみなぎってきて、創造力がふつふつ湧いて、やがて僕らは社会や未来への思いに耽る。さあ、あなたも「美しさ」をものさしに暮らす日々を始めてみませんか?

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[この記事は、スズキコウタの「Tiny Little Thingz」に掲載した記事を再構成したものです。]