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離職率4%への道のりは、ビジョンを決め社会へ発信することで定まった。サイボウズのブランディング部長・大槻幸夫さんに聞いた、チームづくりの話

あなたは、しっかり稼ぎたいですか? SNSが浸透し、事業に社会性や公共性が求められる現代。NPOに限らず、あらゆる法人で社会貢献性の高い事業に踏み出す動向が少なからず生まれています。

そんななかスタートした連載「ソーシャルな会社のつくりかた」は、社会的なミッションに基づくソーシャルデザインをはじめたチームが、プロジェクトを続けていくためにビジネス性を高めるヒントをストックする特集です。

テーマは、「どうやって稼いでいくか?」。グリーンズの学校の同名クラスから生まれた、このスピンオフ企画で、greenz.jpプロデューサーの小野裕之と一緒に、各業界の参謀系ビジネスパーソンから、マネタイズ、組織運営、事業継続の視点などを学びましょう! 社会的意義を持つ事業の継続性を高めるために。

第4回目のテーマは「チームビルディング」です。対談相手はサイボウズ株式会社コーポレートブランディング部長の大槻幸夫さん

グループウェアや業務改善サービスで、社会のチームワーク向上に貢献する会社であり、「育休6年」や「副業OK」など働き方の多様性を広げるリーディングカンパニーとしても知られるサイボウズが、自社のチームづくりで取り組むあれやこれやを質問します。

大槻幸夫(おおつき・ゆきお)

大槻幸夫(おおつき・ゆきお)

サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部長
大学卒業後、知り合い2人と株式会社レスキューナウを創業。2005年にサイボウズ株式会社に転職。以来、マーケティングに従事。オウンドメディア「サイボウズ式」を立ち上げる。

個人の幸せに働き方を合わせる

小野 はた目で見て、ぼくはサイボウズにあることを感じていました。それは、「個人が幸せに生きていくために、働き方を柔軟に合わせていこうとするスタンス」を取っていることです。

従業員のパワーを引き出し、会社の内外で活躍できるバランスを、きっと模索していると思うのですが、そのサイボウズで大槻さんが果たす役割は何ですか?

大槻さん 平たくいうと「サイボウズを知らない人に、知ってもらうこと」が役割です。

たとえばオウンドメディア「サイボウズ式」の立ち上げや、ワークスタイルムービー『大丈夫』を公開した「働くママたちに、よりそうことを。」というママの働き方を考えるプロジェクト、「働き方改革、楽しくないのはなぜだろう。」と社会に問うサイボウズ20周年記念制作アニメ『アリキリ』の公開と交通&新聞広告の展開などに関わりました。

大槻さん このムービーのようなことばかりしています。

小野 楽しそうですね。

大槻さん プレッシャーは半端ないです(笑) だって、何か、工夫する方法を持っていないと、続けていくことはできませんから。

社会課題と組織メッセージを編む

小野 その工夫とは?

大槻さん それは、世のなかの流れを見て、そのときどきの社会が抱える課題とサイボウズのメッセージを、興味を持ってもらえる形でつないで伝えていく「編集」です。そのような編集スキルは、プロダクトのプロモーションにも活かしています。

小野 世のなかの流れというのは、何に注目して雰囲気を感じ取るようにしていますか?

大槻さん ベースは「チームワーク」です。3年くらい前からムーブメントになっている働き方改革は、サイボウズにとってはチームワークの1トピック。中でも2017年の働き方改革のテーマは、残業を減らす流れになっていると、メディアを見ていて感じました。それは経営陣が実践することですが、現場はどう思っているのか意識して感じ取っていました。

小野 そんな社会の課題感を踏まえて会社のメッセージを伝えるのが「編集スキル」なんですね。サイボウズは、ふつうの人がふつうにしゃべるようなニュアンスで、まっすぐメッセージを伝えていますよね。

大槻さん そうなんです。前提として、製品のプロモーション成果を期待するという大きな足かせを外して、現場の当事者が共感できるところを大事にしています。それは働くママのムービーから変わっていません。

大槻さん ママのムービーを展開した2014年頃は賛否両論で盛り上がりましたけど、『アリキリ』を展開した2017年は賛同ばかりになりました。

小野 “サイボウズ無双”みたいなポジションになっていますよね。

大槻さん 「またサイボウズか」は誉め言葉なんです(笑) 以前より本当に受け入れてもらえるようになり、ありがたいと思います。『アリキリ』でプレミアムフライデーを取り上げたときも、いろんな方から協力の声をかけてもらえました。現場の声を尊重することによる広がりを感じています。

小野 正直なことがいえる会社は、従業員から見てもいいですよね。「まぁ、いろいろあるよね」と、煙に巻く従来の日本企業っぽさとも異なっています。

大槻さん 情報共有ツールのメーカーだったことがラッキーでした。社長の予定は全社に公開されていますし、各部署が何をしているのか誰でも確認できるほど透明度も高いんです。

だから、企業文化として「公明正大」や「自立と議論」をうたっています。その成果か、今年の新入社員は過去最高にサイボウズのビジョンを理解していることを、ある出来事から感じました。

多様性が組織に残す新しい成果

大槻さん とても印象的だったんです。それは新人研修中にイヤホンをして作業していた新人にまつわる出来事でした。担当マネージャーは彼を注意したんですが、マーケティングや開発のメンバーから見るとイヤホンをつけて作業するのはよくあることで、特に悪いことでもないんですね。

そこで、集中したいタイミングならイヤホンをつけていてもいいんじゃないかとグループウェア上で議論になりました。その議論の場に、新人も積極的に参加していたんです。なぜ参加できたのか質問すると、「それがサイボウズの文化じゃないですか」って、さもふつうのことのように返事してきて、感心しました。

社内で奨励するだけでなく、「サイボウズ式」などを通して社外に伝えてきたことが、社内に還元されて、こんなにパワフルな変化を生むことが現実に起こるとは思っていませんでした。

小野 議論はどんな落としどころに収まりましたか?

大槻さん それが「サイボウズのビジョンに向けて成果を出すことにつながっているのか?」という点がポイントでした。多様な業務スタイルがあっていい。新人研修で成果を出すために、イヤホンが必要なら認めてもいいんじゃないか、ということになりました。

小野 その人なりの成果の出し方だから、いいよねってことですね。でも、とても働きやすそうなサイボウズですが、以前は離職率が高い会社だったんですよね?

団結する組織に必要な3つのキー

大槻さん だから、改善するための取り組みを重ねたんです。ぼくは2005年に転職してきましたが、当時で離職率28%くらいでした。誰かが毎週やめていくような状況です。みんなやりたいことに没頭するベンチャーだったので、ブラックといえば、いえなくもない。それは会社の根幹にビジョンがなかったからなんです。

経営陣の合宿で目指すことを話しても十人十色だったそうです。2007年に社長の青野が「グループウェアにしぼり、チームワーク向上に貢献する」と決めたことは、とても重要なベースを築きました。

小野 会社としてのビジョンが定まったことで、どのような変化が生まれましたか?

大槻さん 会社に芯が通ると、合わない人がやめていきます。そして、採用に困りました。サイボウズのビジネスモデルはBtoBだから一般に知られにくいですし、メジャーブランドでもありません。だから、出産を機にやめていく女性に残ってもらえるよう、当時の日本では最長だった育休6年の制度をつくりました。

育休6年が成果を残していくにつれ、もっと働き方を多様化させていけば離職率も下がっていくんじゃないかと人事が気づいたこと、それが2番目に重要なベースです。ただ、多様な人が集まる会社になっても、議論が活発にならなくては成果に結びつきません。

だから、議論でコラボレーションするための共通言語を整えました。「ビジョン」「多様性」「共通言語」の3つが、サイボウズのように成果に向かって団結する組織をつくるキーだと思います。

小野 多様性が高まるなか、短期的な成果をあげにくい時期があったんじゃないかと思います。不安は感じましたか?

大槻さん 感じました。ただ、補足したいのは、働き方を一新したわけじゃないこと。選択肢を増やしていったんです。在宅ワークや複業をひとつずつ認めて、働き方の幅を広げていき、多様性を増やしていきました。

こうして2005年くらいから約12年かけて、じっくり取り組んできたので、社内に大きな混乱といえるほどのものはなかったんです。

たとえば「選択型人事制度」を導入し、社員個人のライフステージに合わせて勤務時間とワークスペースを選択できる9分類を用意。優秀な人材の採用・定着、個人・チーム両方の生産性を上げるため、サイボウズはこのほかにも多様な働き方を可能とする制度を設けている

小野 なるほど。時間をかけて、これまでわがままなことのように見られていた働き方を認めていったんですね。本当に使う人がいるのか、検証しながら実践していたんですか?

大槻さん 象徴的な出来事として、ママの働き方を認めたときに社内からママだけ優遇することに疑問の声があがりました。そのとき、青野は「じゃあ、きみの必要な働き方をいってほしい。整えるから」って答えたそうなんです。多様性ってそういうことですよね。

だから、サイボウズには「自立」というテーマもあります。サイボウズでは、常に自分がどう働きたいか問われるので、むしろそれは社員としてプレッシャーでもありますし、楽しさでもあります。

小野 働き方の自由はどこまで認められますか?

大槻さん それは、「一旦、伝えてみよう」ですね(笑) もちろん、いきなりオープンな場で希望を伝えることはプレッシャーになるので、最初は週1回のマネージャーとの1on1で伝えることになっています。

小野 マネージャーにとって1on1はチャレンジですよね。人によっては、多くの従業員を見ているでしょうし。

大槻さん 1人30分と決めています。ぼくの場合は10人くらいなので、週5時間を1on1に使っています。頻繁に話したほうが表情の変化やプライベートの状況もわかるので、大事なんですよ。安心感の醸成につながっていると思います。

小野 それで、2017年12月時点の離職率はどうなりましたか?

組織からコミュニティへ

大槻さん 4%くらいに落ち着きました。

小野 サイボウズは全従業員に複業を認めていますが、フルタイムスタッフのように働く人、マイクロワーク(*)で働く人、その中間で働く人の割合はどれくらいですか?

*必要業務を細分化し、社員がコミットできる時間内でそれを担当するワーキングモデル。ライフステージに応じてフルコミットしづらくなった人材にも、暮らしを尊重したワークスタイルが提供可能

大槻さん 7割が仕事重視、1割弱がライフ重視、2割がその中間です。

小野 働き方の多様性を認めても、そういう分布になるんですね。

大槻さん オフィスが快適ですし、リアルに会うからこそ得る学びもありますから。でも、申請が必要ないのではっきりしていないんですが、若い社員で複業しているひとは多いと思います。

たとえば、営業部で伸び悩みを感じていた社員は、学生時代にテニスで全国ナンバーワンの選手でした。そこで先輩のプロデュースにより、YouTuber「テニスのゴンちゃん」になりました。

大槻さん 自分の好きなことをやると輝くじゃないですか。お客さんにも、「ゴンさんですよね?」って声をかけてもらえるようなことも起きて、好循環が生まれているみたいです。

彼以外にも、新卒1年目で複業をして、どちらも成果をあげている社員がいます。おもしろいですよね。

小野 でも、それだけ成果を残せるなら会社にリソースを集中させてよって話にしてしまっては間違いですよね。個人にとって、そのバランスがいいパフォーマンスを発揮するミソだから。

それに、完全にひとりで働くことのデメリットも大きくなっている気がします。たとえばコミュニティに入っていないと仲間が見つけにくい。だから会社は、どんどんコミュニティ化していくのかもしれません。

働き方にレイヤーがあることを認めているから、居場所性が高くなる。やってほしいこととできることの関係性以外に、たとえば「いてもらえたからお願いできた」というような関係性も生まれていきます。

大槻さん 一方で、現実的な話としては、優秀な人にいてもらうために働き方を許容していくことが、会社にとって最低限必要なことでもあります。

いかにおもしろい仕事をやってもらうか、自由に働いてもらうか。無責任に「サイボウズ1本でがんばれ!」と頼める時代じゃありません。簡単に転職できますし、IT業界なら優秀な人は引く手あまたです。

だからマネージャーにも、社員に魅力的な成長の場を与えたり、的確にアドバイスしたり、一緒に働きたいと思ってもらえる人にならなければ、というプレッシャーがあります。ぼくも、いつまでもがんばらないと(笑)

小野 ソーシャル領域も個人の力をより発揮していく方向や、細切れの時間を貸してもらうことに取り組まないと、活動を継続していくことはむずかしいです。

大槻さん 社会的なやりがいで比べられると考えたら、ビジネス領域もソーシャル領域も大差ありませんよね。みんなが並列で、国内外を含めて、大競争時代だと思いませんか?

役割をプールし合うリーダー像

小野 実は、僕はそうともいえないと思っているんですよ。NPOの運営を見ていて感じるのは、社会的なミッションに基づくのでやりがいは提供しやすい一方、収益をおざなりにしてしまうケースが多いということです。従業員に負担がかかることを前提に運営してしまう組織は少なくありません。

やりたいことを一旦は譲っても、収益があれば継続できるから、長い目でみて、やりたいことを実現できる可能性が高くなります。ただ、ソーシャル領域は、救いたい相手が目の前にいるので、私がいま手を差し伸べたいって発想が先行しがちです。

その結果、長い時間をかけることができず、続けたくないようにも見えてしまいます。だから、「はじめるプロ」「つづけるプロ」「ひろげるプロ」のように、成長ステージに合わせて役割を渡していけたらいいと思っています。

大槻さん たしかに、「0〜1の人」「1〜10の人」「10〜100の人」という順番でプールされていくと、おもしろいですね。サイボウズにも近いです。サイボウズの創業社長は新規事業づくりに長けていた高須賀(たかすか)さんで、次にマーケティングが得意な青野が社長になったタイミングで、ちょうど一般層に広く普及していくタイミングを迎えました。

その後、青野にお子さんが生まれてイクメン社長になり、働き方改革がはじまってメディア露出が増え、結果的に会社の顔が売れて、信頼してもらえるようになっていきました。0〜1、1〜10の変わり目でたまたまリーダーが交替し、組織も変化にアジャストして、時代の波に乗れた稀有な例だと思います。

小野 すごく客観的に見ていますね。先のイメージはありますか?

大槻さん 10〜100でサイボウズが目指しているのはグローバル市場です。2017年までに、サイボウズはサンフランシスコと上海に拠点を設けています。各拠点が主体的に運営しているので、どちらも0〜1か1〜10のフェーズです。

これからは、グローバルで各拠点のリーダーがそれぞれのエリアでのサイボウズを模索していく状況になると思います。それを全体としてビジョンを共有しながら進めていけるかどうかが問われていくような気がします。

実のところ、サイボウズが人も組織も自立していくことに取り組めているのは、採用のときに、あるポイントを押さえているからなんです。

組織をつくる採用ポイント

大槻さん ひとことで言えば「ビジョンへの共感」をチェックします。中途であればスキルと合わせて、新卒であれば共感度合いにしぼって厳しく見ています。

小野 採用時に、どうやって共感度合いをチェックしていますか?

大槻さん サイボウズ式があるので、サイボウズのことを深く知ろうと思えば知れます。たとえばサイボウズのこれからをまとめてくる人もいれば、自分の経験と編集して話す人もいます。でも、事前準備すればいいかというと、少し違うんです。自然にやりとりするなかで、興味・関心が見えてきます。

判断基準は、アウトプットまでいっているかどうかですよ。

小野 IT企業だと、つくることの敷居も低いですし。

大槻さん サイボウズ式の記事を書いてきてもいいですし(笑)

小野 ここでサイボウズ式について詳しく聞きたいのですが、いいですか?

オウンドメディアの組織貢献性

小野 サイボウズ式って稀有なメディアですよね。「チームワーク」をテーマにしたメディアは他に見かけませんし。サイボウズが取り組む数々の施策のなかで、このオウンドメディアはどんな位置付けですか?

ぼくは、ソーシャル領域もオウンドメディアをはじめたらいいんじゃないかと思っています。サイボウズ式にとっての「チームワーク」のような専門的なテーマを設定しやすいですし。

大槻さん ソーシャルネットワークが生んだインパクトは大きくて、会社を知ってもらうために、以前はマスメディアにCMや広告などを出しておこなってきたことを、自社でできるようになりました。だから、オウンドメディアというツールを通じて、編集スキルやメディアスキルを育てています。

いまの情報流通は、サイボウズのメッセージに共感してくれる人たちがいて、その人たちが拡散してくれるとランキングサイトで上位になり、それを見たウェブメディア、マスメディアが順に取り上げていきます。だから、まず最初に共感してくれる人たちが重要です。

オウンドメディアは、共感してくれる人たちの母数を広げるためのブランディングになっています。よくAIDMAといいますが、Aの前にR(relation/つながり)づくりを大事にしています。

2012年5月にローンチ。“一度、「サイボウズ製品」から離れて、世の中のコラボレーションはいま、一体どうなっているのかを探ってみたい”という気持ちから生まれた「サイボウズ式」(「サイボウズが自社メディアを始める理由」より)

小野 それって、とてもソーシャル領域的だと感じます。社会に訴えたいアドボカシー(宣言)を発信して、プロダクトにつなげていく。信頼できる情報源だと思ってもらいながら、自分の人生を少しあずけて就職してみたくもなるようなつながりを生み出しているんですよね。

大槻さん さらに言うと、オウンドメディアはインナーブランディングにおける貢献性も、とても大きいんですよ。

青野がいい出した「チームワーク」というテーマも、最初は社内で全然浸透しなかったんです。それが、サイボウズ式で青野の講演書き起こしなど、いろいろな記事を通じて多くの「いいね!」と閲覧数を得られました。

すると社員が「うちの会社は何かいいことをいっているらしい」って感じていったんだと思うんです。第三者評価をくぐらせるから、ビジョンが社員に浸透していくんです。

小野 人から直接聞くと、その人の感情も混ざった情報になって、好き嫌いという話に変わってしまいますもんね。「らしいよ」くらいが聞きやすそうです。

ビジョンもプロダクトのひとつ

小野 それはサイボウズ式にとっての「チームワーク」のような強いメッセージだけでなく、「いまはこれくらいしかできないけど、でも…」と、組織の身の丈を表明する場合にも当てはまると思います。

アドボカシー能力って、ソーシャル領域にとって一番の競争力になる源泉のはずだけど、うまく使えていないNPOはたくさんいて。その殻を破ることにグリーンズとしても一緒に取り組んでいきたいと思っています。

正しいことを大きな声でいえば自分たちも試されることになって 、自然に実力が高まっていくことにもなります。だから、いまはうちじゃできないという積み上げ型の発想をやめて、そんないまだとしても考えている夢や希望を語ってほしい。みんな夢や希望のある話を欲していると思います。

でも、現実的に語ることが大人の振る舞いであるかのように思いすぎているから、夢や希望のある話が減ってきています。それはソーシャルネットワークを含むメディアで批判されやすくなった状況に怯えている背景があるのかもしれません。

ほんと、もったいないです。

大槻さん 反対している人も、ひとつの価値観だと思うことが大切ですよね。たとえば働き方改革に抵抗しているおじさんたちを悪者扱いする話って多いんですが、実は彼らもこれまでの時代の価値観の犠牲者なんだと思います。それもひとつの価値観として、共感したうえで、いまの時代を伝えてあげるスタンスでいられたら、もっといろんなことが変わると思います。

だから、もっと伝えたほうがいいんですよ。だって、ビジョンはプロダクトのひとつですから。

(対談ここまで)

チームに多様性がそろうことを目指すと、一人ひとり集まったメンバーが、それぞれの立場で自立してひとつの目的に向かう議論をはじめます。それを活性化するのは、多様な人たちがコミュニケーションを取るための共通言語と、人が集うためのビジョンです。組織は、今まで交わらなかった人たちがつながり、新しい成果を生むコミュニティに変わります。

そんなサイボウズ大槻さんの話を聞いていると、縦割り分業で発展してきた会社が新たに水平方向のつながりを持ち、自分の職種で磨いた腕を別の領域で活かしていける組織にシフトしていく景色がイメージできました。それは、複業メンバーの集うパブリックな空間をリレーション(つながり)という線で描いた風景でもあります。

あなたのチームメンバーは、どんな夢を見て、何をしに、どこへいっていますか? 一つひとつの縁や機会をお互いに温めていけるマネジメント力をみんなで身につけていきたいですね。

(本記事は2018.2.15に公開されたものです。)

– INFORMATION –

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【ソーシャルな会社DATA】
社名 サイボウズ株式会社
設立:1997年8月
代表者:代表取締役社長 青野慶久
社員数:735名(2017年12月末 連結)555名(2017年12月末 単体)
事業内容:グループウェアの開発、販売、運用