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リノベーションスクールの中の人、 嶋田洋平(らいおん建築事務所)× ナカムラケンタ(日本仕事百貨)が語る 「汝、まちにダイブせよ!」の真髄とは。

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北九州市を舞台に、今回8回目の開催が目前の「リノベーションスクール」ですが、今、各界からの注目度が急上昇中です。

リノベーションスクール」の、なにがすごいのか?

Facebookの写真などを見ると、夜中まで企画に頭を悩ませる人、焼肉屋で酔いつぶれるオジサン、ライヴのようなプレゼンテーション、涙する受講生……。

熱狂する祭の、表面上だけではわからないリノベーションスクールの醍醐味をリノベーションスクールの企画・運営にたずさわる嶋田洋平さんと、多彩なユニットマスターの中から、「日本仕事百貨」のナカムラケンタさん、いわゆる“中の人”な、おふたりにお話を伺いました。
 
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嶋田洋平(しまだ・ようへい)
らいおん建築事務所代表。一級建築士。東京理科大学理工学研究科建築学専攻修士課程修了後、みかんぐみ入社。チーフアーキテクトを経て独立後、現職。
建築設計の仕事を主軸にまちづくりなど、さまざまなモノ、ゴトのデザインを行っている。リノベーションスクールとリノベーションまちづくりの実績を評価され、北九州家守舎としてまちづくり法人国土交通大臣賞受賞、都市住宅学会業績賞受賞。

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ナカムラケンタ
日本仕事百貨代表/株式会社シゴトヒト代表取締役
1979年東京生まれ。明治大学大学院建築学専攻卒。生きるように働く人の求人サイト「日本仕事百貨」を企画運営。 「シブヤ大学しごと課」や「シゴトヒト文庫」のディレクターを務め、東京の真ん中に小さなまちをつくるプロジェクト「リトルトーキョー」や「しごとバー」の企画・デザインを監修。著書「シゴトとヒトの間を考える(シゴトヒト文庫)」。

 
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嶋田さん(以下嶋田) はじめてナカムラくんを認識したのは、僕が北九州市小倉で生き方の多様性みたいなものを活かせる場をつくりたいと考えていたときだったよね。

そんなとき、もう一つの肩書きが持てる場所「リトルトーキョー」っていう場所をつくった人が居るって聞いて、僕と同じことを考えている人がいるなと思ったの。

「リトルトーキョー」は空き店舗を使って、人が集まる場所と自分のやりたいことが実現できるという場所で、僕は、まち全体をそんな場所にしたかったから、ナカムラくんに来てもらいました。

 
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2013年、クラウドファンディングを経てオープンした「リトルトーキョー」

ナカムラさん(以下ナカムラ) ある日突然、嶋田さんにリノベーションスクールに呼ばれたんです。なんのことやらさっぱりわからなかったけど、行ってみました。そして、そこで想像を絶する3泊4日を過ごしたわけですよ。

その名から、建築や不動産のためのスクールだと思われがちな「リノベーションスクール」。

建物をリデザインするという意味だけの「リノベーション」だけではなく、リアルな空き家の事業プランを企画し、事業化を目指す集中講座であり、まちに眠る空き家を通して地域課題を学び、ニーズを拾い上げ、その活用方法を見出す画期的な学びの場です。
 
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リノベーション計画を立てる対象物件(空家)の周辺をリサーチするのも授業の一環。「なにが作りたいのか」ではなく、「なにが必要なのか」をまちから読み取る。

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「リノベーションスクール」は、「まちに贈りものをするように働く」こと

嶋田 実際参加して、どうだった?

ナカムラ じゃあ、まず良いことを先にいいます。「リノベーションスクール」って、スクールとは言っているけれど、まちづくりなんですね。

空き家の大家さんに「この物件を課題として使わせてください」っていう了解は得ているものの、それ以上、お金くださいとかなんかしてくださいって言う訳ではないんです。勝手にこちらで活用方法を提案するわけです。

具体的なニーズがあることもあるし、漠然とした問題意識しかない場合もある。そんな相手が必要としているものを考えて届ける。これって、「まちに贈りものをするように働く」ことなのかな、と思っています。見返りも求めない姿勢に、まちが動きはじめるんです。贈り物をするほうも気持ちがいい。

まちに贈りものをするように働く。これがリノベーションスクールなのかもしれません。

最終日行われる物件オーナー向けのプレゼンでリノベーションスクールとしては終わりですが、そのときに提案した企画がその街に残ってプロジェクト化されていく、そしてまちが変わる。その様を目の辺りにしたナカムラさんはただただ、すごいなぁと思ったそう。

スクールなのにまちづくりになっている。
自分ごとではないものに、全力投球する。

ナカムラ そして、悪いことをいうと、3泊4日、とても過酷です。まず、ユニットマスターたちがすごい人たちなんですね。ずっと寝なくてもいい人たち(笑)

僕もサラリーマン時代のセンパイたちがそうだったように、10個上くらいの世代の人たちって、寝なくても遊んでいられるんですよね。

嶋田 あの世代、ついていけないよね(笑)

ナカムラ あのノリがリノベーションスクールでは起こるんですよ。ユニットごとにね、ミーティングが一区切りついたら呑みに繰り出すわけです。

北九州とかだとまず焼肉行って、その後ラーメン食べて、焼き鳥も挟んで、最終的には深夜からはじまる中華料理屋のコース。なんかね、ずっと食べてるんですよ(笑)このひとたち大丈夫なのかな、って。

でも不思議と、過酷なんだけどいやじゃない。熱血系な部分もあるけど。ひたすら濃密な時間が嵐のように訪れるんです。

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バブル世代のノリ。これがイノベーションを生むの、か?

リノベーションスクールの本質は、まちに新しい暮らし方を再提案するためのエンジン

嶋田 「小倉家守構想」という北九州市が掲げている都市政策があって、中心部の空き店舗空きオフィス等を使って、新しい雇用を生み出すという戦略的都市政策を掲げています。

リノベーションスクールはそのプロジェクトを動かすためのエンジンの役割も担っています。まちづくりのために物件を提供してくれませんか?と大家さんに交渉して物件を提供していただいています。

嶋田さんがまちづくりに関わっている北九州市は、最盛期には107万人居た人口が今96万人になっています。1970年代後半から人口が少しずつ減っている現状です。

嶋田 八幡製鉄所を例に話すと基幹産業だった重工業が衰退して、最高7万人くらいいた従業員が今、2,800人くらいしかいない。八幡製鉄所はその象徴的な存在で、いいお給料を貰って来た人たちなんですよ。その人たちがごそっと居なくなった。それが北九州市の本質的な問題なんです。

その層は、まちでいっぱいお買い物をしてきた人たちだし、酒をたくさん呑んだ人たちだし、お金を落とす人たちがこのまちからいなくなってしまった。

それを解決するために、現在、まちの中心部にある空き家を活用して新しい雇用層を生み出そうとしているんです。

北九州市でずっと暮らしていくために雇用をつくる。そしてどうやって暮らしていけるかっていうことが重要になってくる。だから雇用を生み出す事も「リノベーション」する。それがリノベーションスクールの重要なミッションなんです。

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「MIKAGE1881」北九州家守舎と株式会社松永不動産(北九州市小倉北区魚町二丁目)が共同で開設した、クリ エイティブ事業者のためのスモーオフィス・コワーキングスペースを備えた新しいワークスペース。

嶋田 僕らが提案した案は、最初は安い家賃で物件を貸していただき運営して、儲かってきたらオーナーさんに還元するという仕組みです。

ベースの家賃はオーナーさんに払いつつ、稼いだ収益の粗利は1/3にしてオーナーさんに渡して、1/3を僕たちがもらって、1/3は貯めといて次のプロジェクトに使う。

まちのみんなが参加できるオイシイ仕組みをつくっていくのがまちの「リノベーション」にとって大切なことだと嶋田さんは言います。リノベーションスクールのプレゼンテーションをさらにブラッシュアップして事業化していくということが、「北九州家守舎」の役割でもあります。

嶋田 リノベーションスクールとしても、4日間必死に考えて提案したものが、実際にまちを変える案件として実行されたのを目の辺りにしたら、本気になるよね。

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ナカムラ よく行政がつくる建物を「箱もの」とかいうじゃないですか?なにをするか決まっていないのに建物だけ建てるっていう。僕はそれが一番ナンセンスだなと思う。

建築って、人々のアクティビティの手段でしかない。人のアクティビティで一番ウエイトを占めているのが「仕事」で、それが社会で一番多い、行動であり、社会との関わりだから。

仕事を生み出すってことが、リノベーションスクールの目的のひとつと言っているけれど、やっぱりそれがないと、どんなにかっこいい「箱もの」をデザインしても大家さんにプレゼンしても響かない。

学生の頃、カッコイイ製氷所をリノベーションして残そうとしたことがあったんです。で、そのとき印象的だったのは、大家さんが気にするのは結局「このプロジェクトにはいくら投資が必要で、いくら儲かるんだ」ってこと。

お金の仕組みとか不動産のこととかを学ばなければ、どんなことでも、自由に楽しく好きなことができないなって気付いた。「場」に仕事をつくることができれば、好きな事ができる。それが一番大切なのかなとも思った。

で、北九州のリノベーションスクールのとき、都築響一さんの話を聞いて北九州市の成人式シーンが盛り上がっているのを思い出して、それでシゴトをつくったらどうだって話をしたの。

嶋田 ツクルバの中村真広くんとナカムラケンタくんのダブル中村の対象案件ですね。あれはめっちゃ面白かった(笑)

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ド派手な成人式で知られる北九州市の成人式の様子 photo:GMT foto @ KitaQ 木寺一路

嶋田 彼らは、お酒を呑んで騒いだりしません。一見するとワルっぽいけど、統率が取れているんです。

中学校単位で揃いの紋付をつくって、それに10万円〜100万円単位のお金を使うんだけど、成人人口は何千人と居る訳だから、このマーケットは億単位の規模だよね。

ナカムラ 北九州市の成人式ってサブカルチャー的にかなりぶっ飛んだもので、みんな気合いの入った格好になるんですよね。

なぜこの話をしたかというと、リノベーションスクールのユニットワークでは、「とりあえずドミトリー」とか「とりあえずシェアオフィス」って、安易な提案がでてくることもあるんですよ。

それもニーズがあればいいんですけど、こればっかやっていたら、やっぱりまちのシゴトをつくるって意味ではバリエーションが少な過ぎる。もっと選択肢が必要だなって。

この成人式は本当に北九州市独特の文化で、それは商売のネタになりそうだと。それについて調べていくと、貸衣装屋さんはいっぱいあるけど、写真を撮るスタジオはあまりないらしいとか。そこから思いついて、コスプレして写真が撮れる撮影スタジオをつくったら超需要があるんじゃないか、と。

そういう、それぞれの地域の課題やニーズをちゃんと拾い上げて、その情報をみんなで共有すること。

もちろん、物件の分脈みたいなものから読み取って、こういうものがいいんじゃないかっていう提案もありだし、シゴトをつくるってことをリノベーションスクールでもっと考えてもいいと思う。

嶋田 いいね。シゴトをつくることはまちのリノベーションの本質のひとつだと思う。こうやってリノベーションスクールで、「まちに、これまでちょっと違う働き方と生き方の未来があるよ」ってことを発信したいんです。

ローカルでの働き方の多様化をつくり出すのもリノベーションスクールのミッション。暮らしのイメージが想像できないから、たくさんの可能性があるように思える都会へ行ってしまう、と嶋田さんはいいます。

嶋田 僕がはじめてリノベまちづくりに参加したとき、商店街が大変なことになっている、と感じた。そりゃそうだよな、俺たちみたいな若者が外に出てしまっているから。

でも、そうじゃない生き方っていうのも、小倉にはちゃんとあって、お金も儲けられて美味しいものも食べられる。東京に行くのとはまた全然違う豊かな暮らしがあるよってことが発信できればいい。

そういう、働き方と生き方の提案みたいなものまでを、一つのプロジェクトを通じて提案できたらすげぇ面白い。

多種多様なユニットマスター。ユニットマスターの基準

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リノベ祭りにて、ユニットマスターたちのトークイベントを開催。ここだけでしか聞けないぶっちゃけトークも聞けたりするかも!?

簡単に人の意識が変わるのは、凄い人に触れた時だと思わない?と嶋田さん。面白い人に会って、その人の凄さに触れてると、人間変わる、その瞬間に何度も立ち会って来たそう。

リノベーションスクールの4日間でめくるめく刺激を受けたとき、来た時と帰る時では人が変わる、そして、その後一歩踏み出せるかどうかが、リノベーションスクールを受けた意義につながります。

嶋田 しつこく言うけどリノベーションスクール=ハードのことじゃない。ユニットマスターにはリノベーション建築界のレジェンドも多数参加しているけど大島芳彦さんたちはソフトの話ができる建築家なんです。

建築家だけど、建物を建てるだけじゃなくてマーケットの方を向いてビジネスを考えられる人しかこの場にはいない。

建築学科の学生さんも多く参加してくれているけれど、ソフトを考えられる建築家が生まれてきていると思う。

ナカムラ 僕から言わせれば、東京オリンピックの新築建築で揉めてる建築家たちは本当に古い。

嶋田 僕もそう思う(笑)

ナカムラ もっとやらなきゃいけないことがあると思うし、もうハードだけの時代じゃないんですよ。

嶋田 僕がユニットマスターをお願いしているひとの基準は、まず「自分でリスクを取って、ビジネスを生み出し、それを継続している人」。

実際良さそうな人ってたくさんいるんだけど、プロジェクトが補助金漬けの場合もあります。補助金はリスクを取らない最たる例です。北九州市では個別のリノベプロジェクトは補助金に頼らない、自立したまちづくりを謳っている以上、そういう人をユニットマスターに入れちゃいかんのですよ。

ナカムラ 基本的に僕も補助金はできればもらいたくないんですよね。自分で最初からリスクを取ってやっても事業として成立させていける自信があるし、あとから骨抜きになることはない。

しかし、まちづくりと行政は切ってもきれない縁。関わっていくことは大前提です。リノベーションスクールは行政からの補助金をすべて断っている訳ではないようです。

嶋田 僕らも補助金いただいていることもありますよ。北九州はじめ、全国でのリノベーションスクールの開催自体は補助金で運営していることが多いです。

しかし、シェアオフィス、ゲストハウス、カフェなど個別のプロジェクトには絶対に使わない。それらは自立して事業化できて継続できる仕組みをつくれなければ、やらない。

リノベーションスクールっていうのはまちづくりに関わるあらゆる人たちが集う公共的な場だから、公的資金を利用して開催すれば良いと思う。それがあるから、オーナーさんに勝手に提案できるわけです。その機会をつくっているのがリノベーションスクール。

完全な民間事業としてリノベーションスクールを運営したらもっとガツガツしたものになると思う。将来的にはやっていきたいなとも思っていますけどね。

嶋田さんがキュレーションしたユニットマスターは、建築出身のひともいれば不動産出身のひともいて、グラフィック出身の人もいます。ですが、各々それぞれの領域に閉じていない人たちという共通項を持ち、わかりやすい言葉で、地域再生を紐解いていきます。

嶋田 ユニットマスターは3種類に分ける事ができます。

(1)キングオブキングみたいな、リノベーション業界をつくり、牽引し担って来たひとたち。リノベーション界のレジェンドたち。
(2)さまざまな地域でリノベーションまちづくりの活動を「そんなこととは知らず」に自らリスクを取ってやっていたひとたち。
(3)これからの時代の新しい生き方とか働き方とかをビジネスとして成り立たせてつくり出せるソーシャル系のひとたち。

このメンツを見ても、何かを生み出すフロンティアは、がむしゃらに働くってことではなく、コミュニケーションを取ることだと伺えます。

嶋田 そういう意味でリノベーションスクールは濃密な4日間で徹底的にコミュニケーションを取るわけです。出会ったばかりの10人が「物件これだから再生するにはどうしたらいい?」っていう無茶ぶりから、4日がむしゃらに企画して、最終日にプレゼンしたら、そりゃ泣くよね。

ナカムラ 役割分担を見てもドラマチックなんですよね。

嶋田 すべての人には役割があって、建築学科の人がいれば図面を書けばいいし、数字に強い人がいれば収支をみればいい、人とコミュニケーションを取るのが上手な人がいればまちにでかけていって色んな人にインタビューして情報収集すればいい。そして学生は寝ないで働けば良いとか(笑)

それが最終日、一個のチームになっていくのが感動的なんですね。

ナカムラ シゴト勤めだと明確な役割分担が降って来て、それを実行するのが普通なんだけど、リノベーションスクールではそれぞれの適正にあった役割が自然に生まれる感覚がある。

でもそれってサラリーマンをやっているとなかなか体験できるものではない。あの場に身を投じること、それだけで意味があると思うな。

ぶっちゃけると、「学びたいヤツ」は来るな。

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嶋田 僕ね、なんか学びたいと思っている人、ヤなんだよね。教える事は別にないから来んな。みたいな(笑)

俺は、感じて欲しい。その場の雰囲気とか、ユニットマスターたちの個性とか、あの際立った突抜け感とかみて意識が変わってほしい。俺やるぞってなれるひとに来て欲しい。踏ん切りつかないひとが多いと思うんですよ。

色んな地域で活動している人たちの、一歩を踏み出す時の踏み出し加減って。リスクとロマンの狭間っていうか。そこを悩んでいる人が「あ、やっちゃっていいんだ」って思ってもらえるスクール。

行政の方も参加してくれるけど、あの場では、まったくもって無力な場合が多いんだよね(笑)なんか終止メモ取ってるし。メモ取るな!

ナカムラ まるで野生に間違って放たれた動物園の動物って感じ。

嶋田 僕たちは餓えた野生動物だからね。餌の無い所で餌取りして生き長らえてきたから。

ナカムラ でもそんな人たちも3泊4日、餌取りを教えるとなんとなく野生を思い出すというか(笑)

嶋田 そうなの、抑圧された本能が解き放たれるというか。リノベーションスクールに参加してくれた、山形市の行政マンは3泊4日経験して、人が変わったって言ってたよ。

完全に違う人になって戻ってきて、すごいやりやすくなったって。意識を変えるって意味では劇的に変わると思うよね。

でも行政のひともさ、法律的なことを加味した書類を書かせたらピカイチだし、同じミッションに向かって自分のできることを持ち寄ればいいってことだよね。自分のできることを、得意なことをしましょうという話しなの。それが、リノベーションスクールだよね。

greenz.jp フクヘン、小野っち登場!

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小野 軸足がありつつ、他者と自分の境界線が曖昧なひと。シゴトの中ではそこを曖昧にできないじゃないですか。みんな主張し合う。そうすると必ずどこかにぽっかりと穴があくんですよ。境界線を越境することをリノベーションスクールは疑似体験できてしまう。

嶋田 リノベーションスクールを受けた後、本来の職場に戻って、会議に出てみたら、浦島太郎状態になる。自分だけぐわっと変わっている。

ナカムラ そして、その人はどんどん自分で動きはじめるんだろうね。なんかやりたいけど、なにをしていいかわからないひとにはうってつけかもしれない。

これを機会に「なんかやる!」と思っているけど、周りにはロールモデルもなければ具体的に参考になることがない、と戸惑っている人が来たら、欲しいものが手に入るんじゃないかな。

嶋田 スターウォーズに例えると、ユニットマスターの人たちってエネルギーが超高い人たちです。そのエネルギーをフォースと呼んでいるんだけど(笑)

だからスクールマスターの清水さんはヨーダ、フォース無限大なの。

ナカムラ それ面白いですね。フォースって、開放されているかどうかなんですよね。おかしいな、って思いながらいつのまにか30代とかになっている人もいるかもしれない。そういう人たちのフォースを開放するの、リノベーションスクールは。

僕も独立してからフォースが開放されたかも。ダークサイドには落ちたくないけど(笑)

嶋田 「今までの考え方を変えられた」ってアンケートに書いてあったりね。「顔面をなんどもグーで殴られ続けたような4日間でした」とか(笑)それくらいの経験ができるんですよ。

今までリノベーションスクールが行われたところの共通項

小野 シゴトをつくり出す楽しさってものを体験していない土地が、廃れているという印象を受けています。

シゴトつくり出すって楽しいんだけど、その楽しさにはリスクも伴うから。大変なだけだったらリスクは取れない。そこに楽しさがあるっていうのが、全然伝わってないなぁと感じる。

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では最後に、まちづくり、社会づくりとしてのリノベーションスクールの今後の可能性は、いまどこに感じているのでしょうか。

嶋田 僕の意見より、お二人に訊きたい。

ナカムラ 僕らは企業や行政の課題解決型ゼミ「しごとゼミ」ということをやろうとしているんです。年に一回くらい、リノベーションスクールの前座として、合同で開催したいな。

事前に100個くらい地域課題を抽出したりして。企業や地域にはいろんな課題があるんです。そのままにしているのはもったいない。それを顕在化させて、どうしていくのか考える。できれば実行できるところまで考えたい。リノベーションスクールならそれもできると思う。

リノベーションスクールで、様々な地域が再生するように、地域にシゴトを生み出すこともできると思う。それが結局、同じゴールに向かっていくと思う。

嶋田 やりましょう!

小野 必ずしもやりたいことが「場」に依存していないひとたちもたくさんいると思うんです。教材つくりたいとかWebつくりたいとか。

場所の活用とは関係ないんですけどそういう人たちとみんなで一緒に考えていきたい。でも個々も高めていかないと。そのうち、みんなでワーワーやることが目的になっちゃいそうで怖い。

グリーンズもコツコツと起業を学ぶスクールをやっていますけど、やり方を教えるというよりは、模索する中でやりたいことをつくるってことが目的ですから。

最近、グリーンズの人たちがユニットマスターに登場しています。

僕らがソーシャルデザインって言っていることの、実業部分っていうのは、リノベーションスクールがカヴァーしているんだと感じますね。

「リノベーション」。持てはやされ、すっかり市民権を得た言葉ですが、実行するのに特別な能力が必要なわけではありません。

ナカムラケンタさんが言った「まちに贈り物をする」。その気持ちで熱血なオッサンたちと駆け抜ける4日間は、まちとあなたにどれだけのものを与えてくれるのでしょう。

「他人ごと」だったまちのことが「自分ごと」になった参加者たちの瞬間を目撃した嶋田さんは「人が変わっちゃうんだよ」と嬉しそうに笑います。
 
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リノベーションスクールのファシリテーターとなる「ユニットマスター」の皆さん。大の大人が組体操、そうそれがリノベーションスクールのノリ。愛すべき大人たちからまちづくりを学ぶ。

まちを変えるバカ、まちを変えないバカ、どうせバカなら、変えなきゃ損。

まちを変える熱量をもった渦が、このスクールから生まれています。

そんなアメイジングな体験をしたいあなたは、2015年2月12日~ 15日に行われる「第8回リノベーションスクール@北九州」は参加者を二次募集中。参加してはいかがでしょうか。

[sponsored by リノベーションスクール@北九州]