\仲間募集/甘柿の王様「富有柿」の産地・和歌山県九度山町で、未来の柿農家となる地域おこし協力隊

greenz people ロゴ

9歳の起業家が街の公園を救う!たった5日間で3,300ドルも集めた、手作りレモネードスタンドの物語

s_top (1)

「レモネードはいかがですかー?」

道路脇にちょこんと立てられたカラフルなレモネードスタンド。店長はなんと、9歳の男の子 Joshua Smith(以下、ジョシュアくん)。一体なぜ、彼はお店を始めたのでしょう?今回は、街に大きな変化をもたらした小さなレモネード屋さんの物語を紹介します。

舞台はアメリカのデトロイト。自動車産業の不況による深刻な金融危機に悩まされ、基本的な公共サービスが滞り、公園のメンテナンスもままならない状態でした。気付けば、公園は背の高い草がボーボーに生え、ゴミだらけでぼろぼろ。母親からは「危ないから行っちゃダメ」と止められてしまうほどに。ジョシュアくんは公園で遊べないことに不満がつのり「こうなったら自分自身の手で、どうにかしよう!」と決めたのでした。

買う人も思わず笑顔になってしまうようなお店ですね。

買う人も思わず笑顔になってしまうようなお店ですね。

そこで始めたのが、レモネードスタンド。アメリカでは夏になると、あちらこちらでこどもたちお手製のレモネードスタンドを見かけます。お金の使い方を学びつつお小遣い稼ぎも出来るとして、昔から子どもたちに大人気なんだそう。すっかり夏の風物詩となっています。

多くのこどもたちは 「おもちゃが欲しい」「ディズニーランドに行きたい」ですが、ジョシュアくんの目的はただ一つ。「公園を遊べるようにしたい!」

オーガニックレモネード・海水からの塩を使ったポップコーン・フルーツパンチ・水などこだわりの商品を並べ、月曜日から金曜日の5〜8時に友達と一緒に売っていました。

荒廃した公園に慣れすっかり諦めていた大人たちに、ジョシュアくんは「公園で遊びたいんだ、みんな力を貸して!」と伝え続けました。こうして、たった一人で始めた彼のレモネードスタンドは、あっという間にテレビや新聞、インターネットでも話題になり、多くの人から応援されました。そしてたった5日で、目標の1,000ドルをの3倍の約3,300ドル(約26万円)も集めてしまったのです!

その後、市長へ直接電話をかけ「3,300ドルをすべて公園整備に寄付したい」と伝えました。市長はその精神に感動し、集めたお金は大学へ行く費用としてとっておくよう伝え、公園の整備も約束しました。

それだけではありません。「Detroit Mower Gang」と呼ばれる団体が公園に集まって、草を一気に刈り、ゴミを片付けてくれたのです。その数、なんとトラクター8台分!一生懸命な彼の姿が、人々の心の奥にある「この状況をどうにかしたい」という気持ちに火を着け、この街に変化を起こしたのです。

この小さな起業家の素晴らしい功績には、様々な賞が贈られました。ロサパーク基金からは、ちょっと早めの高校への奨学金も!小学生に贈られるのは初めてなんだそう。また地元ミシガン大学のバスケット選手も彼の元を訪問し、感謝の気持ちを込めてサイン入りグッズを贈りました。 ジョシュアくんは「みんながいっぱい応援してくれて本当にうれしい」と笑顔で語っています。

子どもたちの夢や希望をたくさんのせて、レモネードスタンドがオープン!

子どもたちの夢や希望をたくさんのせて、レモネードスタンドがオープン!

最近では、レモネードスタンドで誰かのためにお金を集めたい!という、ジョシュアくんのような子どもたちが増えています。東日本大震災のときも、多くの子どもたちが寄付を集めてくれたんだとか。

きっかけになったのがアレックスちゃん。小児がんと闘いながら4歳から治療薬を作るため、8歳で亡くなるまでレモネードスタンドを売り続けた女の子です。「when life gives you lemons,just make lemonade.」( 人生がすっぱいレモンをくれるなら、それで甘いレモネードをつくったらいいのよ。 )という彼女の言葉。どんな状況でも決して諦めないで、それをもっと楽しもう!という気持ちが伝わってきます。

そんな小さな起業家たちは、今日も街のどこかでレモネードを売っていることでしょう。もしも見つけたら、ぜひ一杯。きっと彼らのまっすぐな勇気をわけてもらえますよ!

(Text: 鳥居真樹)
[via inhabitat]