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ロンドンの空中に自転車が舞う!? 高架線路を自転車レーンにリノベするコンセプト「SkyCycle」

Photo by Yukiko Matsuoka.

Photo by Yukiko Matsuoka.

ブルガリア人のデザイナーMartin Angelovが空中に自転車レーンをつくるという”荒唐無稽”なアイデア「Kolelinia」を発表したのは、2009年のこと。あれから3年、英ロンドンで、このアイデアと似た取り組みが着々と進行しているそうです。

英ロンドンの設計事務所「Exterior Architecture」のSam Martin氏は、このほど、高架線路を活用した自転車専用レーン「SkyCycle」のコンセプトを設計しました。ロンドンには、中心部から郊外に向け、19世紀後半から20世紀初頭のビクトリア期に建設された高架線路が広がっていますが、現在は使われていない箇所も少なからず存在します。そこで、この既存インフラを自転車レーンとして再利用しようというのが、このコンセプトの特徴です。

以下の動画でも表現されているように、「SkyCycle」では、一般道路の頭上に、高架線路をリノベーションした自転車レーンを設置。自転車の往来が自動車や歩行者と完全に分けられるので、これらと接触する危険がなくなるのは大きなメリットです。なお、一般道路ともフレキシブルに接続できるよう、定期的な間隔で、自転車レーンへの出入り口を設置する計画。利用者は、既にロンドン市内の公共交通機関で使用されているICカード「オイスターカード (Oyster Card) 」を使って、1ポンド程度の利用料を決済する仕組みが想定されています。

ロンドンでは、公共レンタサイクルシステム「Cycle Hire」が2010年7月にスタートするなど、自転車の利用者が増加中。ロンドン交通局(Transport for London)によると、2000年から2010年の10年間で利用者数は倍増し、2020年までに3倍に増えると予測されています。しかし、このように自転車人口が増える一方で、ロンドン市内における自転車レーンの設置は、必ずしも十分でないのが現状。

「SkyCycle」には、ロンドンのボリス・ジョンソン(Boris Johnson)市長も高い関心を示しており、「Exterior Architecture」では、このプロジェクトの実現に向け、現コンセプト案を元に、より具体的な提案の作成に取り組んでいます。

廃線跡を活用した事例としては、米ニューヨークのハイライン(The High Line)や、英ロンドン北東部のコミュニティ農園「Dalston Eastern Curve Garden」などもありますが、郊外から中心部への移動手段として、このインフラをよりダイナミックなかたちで再利用するというのは、画期的なアイデアですね。