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greenz.jpの記事がキッカケで“教授”になりました!自由大学『生き方デザイン学』も間もなく開講、「Arrow Arrow」堀江由香里さんに聞く1年の歩み [マイプロのその後]

ArrowArrow1周年記念パーティーの様子

ArrowArrow1周年記念パーティーの様子

中小企業向けの産育休取得プログラムなどによって、女性が働き続ける環境作りを支援する「NPO法人 Arrow Arrow」。以前ご紹介した記事『結婚しても、子どもを産んでも、オンナの人生は選べる!女性が働き続ける環境作りを支援する「Arrow Arrow」』は、社会を変えるマイプロジェクトとして、大きな反響をいただきました。

中でも多かったのが代表・堀江由香里さんの発言に対する共感の声。数々の経験を踏まえ、等身大で語る堀江さんの言葉、そして堀江さん自身の生き方に、多くの女性のみなさんが共感し、自らの生き方を顧みるキッカケとなったようです。

前回の取材から約1年。再び堀江さんを訪ね、この1年についてお話を聞く機会をいただきました。なんと堀江さんは今、“教授”としてご活躍。しかもうれしいことに、greenz.jpの記事がキッカケとなり、動き出したプロジェクトもあるようです。

自由大学講義『生き方デザイン学』の教授に

Arrow Arrow、そして堀江さんのこの1年を振り返る上で欠かせないのが、自由大学との出会い。昨年12月から、堀江さんが教授となり、『生き方デザイン学』を開講しました。6月には第3期の講義が終了し、現在、第4期(8月25日(土)開講)の受講生を募集中です。

自由大学講義『生き方デザイン学』

自由大学講義『生き方デザイン学』

生き方やキャリアは、人に教えられて決めるものじゃない。
「選択肢がたくさんある」ことを大事にしたい。

という堀江さんの考えから、講義は一方的に「教える」スタイルではなく、“生き方のロールモデル”となるゲスト講師によるトークと、受講生の発表を中心に展開。全5回を通して、受講生一人ひとりが、“自分が一番納得できる生き方”を模索していきます。

ゲストとして登場するのは、出産・育児を経験し、それぞれに自分なりの生き方を実践するワーキングマザーのみなさん。「会社員から独立をした女性」、「職場復帰を果たして活躍している女性」、「子育てを終えてから本格的に働きだした女性」など、それぞれの立場から生き方や考え方を語ります。受講生はその話から、まずは選択肢が多様であることを実感し、漠然と抱えていた疑問や不安を解消していきます。

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特徴的なのは、毎回、自分自身と向き合うための宿題と、その発表の時間が設定されていること。ロールモデルを自分自身に照らし合わせるだけではなく、様々なワークや発表を通して、自分の大事にしたい価値観を見つめ直していくことを重視したプログラムとなっています。

女性はいつ妊娠するか分からないし、突然、介護をしなくてはいけない立場になるかもしれない。そんな不安定感があります。でも、自分がその環境の中で最善を尽くすための「こだわり」や「軸」さえしっかりと持っていれば、それを乗り越えるためのアクションを、自分で決めることができるはずなんです。

その「軸」は、私が教えるのではなく、みなさんの中にあるもの。それを発見することが、この講義の大きな目的です。自分だけで考えるよりも、人に話をすることで気付くことも多いので、全員が主体的に参加できる場をつくりたいと思っています。

と、堀江さん。このプログラムは、これまで企業の支援を通して様々な女性と出会い、変わって行く姿を見てきた堀江さんの経験が大いに活かされたもの。これまでの3期の講義の中で、すでに多くの受講生に気付きや変化を与えており、これから妊娠・出産というライフイベントを迎えるみなさんが、自分の価値観を発見し、アクションに結びつけていく姿をたくさん目撃してきたのだとか。

たとえば、一般職に就いている自分に自信がなく、「転職したい」という気持ちでこの講義に参加された方がいました。でも、ワークを積み重ねて自分のこだわりを発見していく中で、彼女は「まだこの会社でできることがある」ということに気付いたんです。最後の講義では、「今の会社で総合職の試験を受けます!」と発表してくれました。

今の環境の中で最善を尽くすことができる、というのは、何よりも自己肯定感につながること。それはもう、鳥肌が立った瞬間でした。

第4期は、すでに開講が決定しており、8月21日(火)まで(※)自由大学のホームページにて申し込み受付中です。今期は、これまでの週末5日間連続講義から、3日間の集中講義スタイルに変更。忙しくて時間をつくるのが難しい方や遠方の方でも、受講しやすくなっています。堀江さんの言葉にピンと来た方、この機会に受講を検討してみてはいかがでしょうか。

(※)講座の申し込みは定員になり次第、「キャンセル待ち」の扱いになるそうです。予めご了承ください。

“全部自分で”からコミュニティへ。堀江さんのこの1年

Arrow Arrowとして企業の支援を行うと同時に、「教授」となり、活躍の場を広げている堀江さん。今、どんな想いを抱いているのでしょうか。本業と自由大学、その双方の活動を通した、この1年の変化についてお話を聞きました。

NPO法人ArrowArrow 代表理事・堀江由香里さん

NPO法人 Arrow Arrow 代表理事・堀江由香里さん

一番大きかったのは、何かを人に「委ねる」とか、誰かと「一緒にやる」ということに対して、自分の中できちんと腹落ちしたことです。去年までは「全部自分でやろう」という気持ちが強くて、自分の組織を持続させることに躍起になっていました。

そのせいで、もともとやりたかった社会に対するアクションの部分が見え難くなっていた時期もありました。でもそれに気付いてからは、いろいろなことが動きだし、楽しくなってきました。

堀江さんがそのことに気付いたのは、他団体と協同で開催したイベントなどの他、自由大学での出会いから生まれたコミュニティの力を見てきたことも大きかったようです。

自由大学の講義では、ゲストの話からの気付きもあるのですが、受講生同士での気付きも生まれていて。講義の中で変化して行く姿を見て、お互いに刺激を受け合っているんです。

今、受講生が「講義の1ヶ月で終わらせちゃだめです!」と言ってくれたのがきっかけで、全期のOGが集まる場が定期的に開かれていて、そこからコミュニティが育っています。そのコミュニティで、妊娠中の方をサポートしていこうという動きもあるんです。

自由大学のOGによるコミュニティも育っています

自由大学のOGによるコミュニティも育っています

子育て未経験の方や、子育て中の方、妊婦の方など、コミュニティの中には様々な立場の方がいますが、それぞれの役割と意義を見いだし、いい循環が生まれているのだとか。そして堀江さん自身も、このコミュニティからたくさんの気付きを得ており、それをArrow Arrowの活動にも活かすことを考えています。

自由大学のようなコミュニティを、Arrow Arrowの組織全体でももっと広げていきたいですね。講義がきっかけで自分の道を歩みだした人がキャリアに対してポジティブになって、今度は自分の会社へのアプローチをかけて次のロールモデルになっていくような。循環型のコミュニティづくりができたら、と思います。

自分一人で動かしていたマイプロジェクトから、たくさんの人と一緒に育てるコミュニティへ。たくさんの出会いを経て、堀江さんの意識は、大きく変化したようです。

強みに特化したツールで、より多くの組織へ。

一方、Arrow Arrow としても、この1年、産育休取得のためのプログラムをいくつかの企業で実践してきました。

Arrow Arrowが提供する「産休!Thank you!プログラム」

Arrow Arrowが提供する「産休!Thank you!プログラム」

その成果は確実に形となって表れ始めています。

ある企業で第1号の産育休取得者が出たときに、業務改善のための洗い出しを行いました。それはグループ会社全体に広がってすごく大きなウネリになっていったのですが、もっと良かったのは、その後、第2号となる女性が現れたことです。

その方は、それまで「私は出産のときは会社を辞める」と言っていたのですが、第1号の方を見ていて、「やれるかも」という気持ちになってくださったんです。「産休を取得することにしました」とメールをいただいたときは、本当にうれしかったです。

この事例もそうですが、企業も個人も、成功事例や成功体験を示すことで理解が進み、1人目が出さえすれば“波に乗れる”ことがわかってきた堀江さん。同時に、このような成功事例をたくさん見ていて、それを伝えることができるのが、Arrow Arrowの強みであることにも気づきました。堀江さんは今後、この強みを活かして、産育休取得の実例のない企業にターゲットを絞った「ツール」をつくっていくことを考えています。

例えば、産前の面談の仕方がわからない、というような企業はたくさんあります。社員のことを考えるあまり、腫れ物に触るような対応をしてしまうこともあり、コミュニケーションがうまくいかないことが多いのです。

社員に対してどうアプローチすべきかをレクチャーをしたり、面談シートをつくったり、とにかくミスコミュニケーションが起こらないような仕組みに特化して、産育休取得のためのノウハウを伝えるツールのようなものをつくっていきたいと思っています。

これまで堀江さんの中にあったものを、ひとつの「ツール」としてまとめあげること。そこには同時に、「もっと多くの組織に広げていきたい」という強い想いもあります。

これまでは私が何ヶ月も企業に常駐して、一人ひとりと向き合って話を聞いて、課題だと思ったことは何でもやるような方法を取っていました。でもそれでは、いくら成果が出たとしても、いつまでも社会は変わりません。

私たちにしかできないことに特化したツールをつくって、私がその場にいなくても成果が出ることが証明できれば、より多くの地域や組織形態に導入できる可能性も出てきます。さらに、コミュニティにいる女性のみなさんが、そのツールを持って企業の開拓者になっていくような、シナジーが生まれるといいな、と思います。

自分の強みを見極めて外在化し、コミュニティ内で循環させること。そして、それを社会へと広めていくこと。Arrow Arrowの取り組みは、確かな手応えと共に、確実に次のステップへと歩み始めたようです。

堀江さん自身の“生き方デザイン”は?

最後に、堀江さん自身の生き方についても聞いてみました。

私は結婚して約2年になるのですが、自分自身のライフイベントに向けて、昨年、子育てがしやすい街に引っ越しました。今、その街の子育て施策を評価するプロジェクトの委員に立候補して、市民の立場で参加しています。いろいろな立場の人と話ができて参考になりますし、自分が地域に対して何ができるのか、ということを模索中なんです。

さらに自分の生き方と組織の持続性についても、こう語ります。

ノウハウを伝えるツールができて、私が現場に入らなくても成果が出るようになれば、私がライフイベントを迎えても、組織としても持続可能なものになっていくんじゃないかな、と思っています。そして今後は、自由大学を含めたArrow Arrowのコミュニティの中から、事務局の仕事を担ってくれるような人が出てきてくれたらいいな、と。

1年前にはコミュニティをつくるなんて想像もしていなかったのですが、こうやって話してみると、必然的にそうなっているんだな、と気づきました。それも、活動を通した出会いの中でいろいろな女性の生き方を見て、私自身が学ばせてもらったおかげですね。自分に子どもができたら、このコミュニティに育ててもらうぞ、なんて考えています(笑)。

お話を聞いていて、Arrow Arrowの取り組みは、堀江さんの生き方そのものであることを、改めて感じました。その等身大の一致感が、多くの女性の共感を集め、コミュニティが育つ力へとつながっているのかもしれませんね。

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記事の終わりに。
堀江さんがこんなうれしいお話を教えてくれたので、ご紹介させてください。

自由大学の講義を成立させる上で欠かせないキュレーターの小柴さん(小柴美保さん)との出会いは、greenz.jpの記事がきっかけでした。彼女がgreenz.jpの記事を読んで「私に会いたい!」と言ってくれていて、一気に形になったんです!

今後もgreenz.jpでは、マイプロジェクトの担い手のみなさんの活動を応援していきたいと思っています。

教授は堀江さん。講義詳細を見てみよう。

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