2007年から運営を開始し、いまやパリではおなじみのバイクシェアリングサービス「velib’(ヴェリブ)」。街のあちこちで、グレーの自転車が並んでいる光景を見かけるのですが、時折、同じグレー色の自動車が、velib’と同じように整然と並んでいることに気づきました。
ん?!路チュー?
いえいえ、ヴェリブの仕組みを応用した、電気自動車(EV)のシェアリングサービス「autolib’(オートリブ)」です。
「autolib’」は、2011年12月5日に、正式サービスインしたばかり。パリ市を中心にイル・ド・フランス州46の地方自治体を対象エリアとし、250カ所以上の駐車ステーションで展開しています。利用に際しては、まず、会員料を支払って、会員登録することが必要。さらに、EVを利用する都度、利用時間に応じて利用料を支払うという、二段階の課金システムとなっています。ちなみに、会員料は、24時間なら10ユーロ(約1,000円)、7日間で15ユーロ(約1,500円)、1年間144ユーロ(約14,400円)。利用料は30分ごとに加算され、時間単価は、会員の種類によって異なります。
EVは、どのステーションでも借りられ、所定の駐車スペースが空いてさえいれば、どのステーションでも返却できる仕組み。「autolib’」と表示された場所(下画像参照)に駐車します。どこでも借りられ、好きなスタンドで返すことができる、”先輩格”の「velib’」や英ロンドンの「Barclays Cycle Hire」といったバイクシェアリングサービスと、同じようなイメージです。
各駐車スペースにはプラグを設置。待機中に充電します。
ガソリン車の場合、その都度、ガソリンスタンドでの給油が必要ですが、EVなら、電気インフラさえあれば、駐車スペースで次の利用者を待っている間に充電できるので、合理的ですね。
「autolib’」の特筆すべき点は、「velib’」で蓄積されたシェアリングサービスの経験やノウハウ、仕組みを、EVにうまく転用していること。また、先行して「velib’」を運営してきた結果、既にパリ市民の間でパーソナルモビリティのシェアリングが普及しているゆえ、「autolib’」に対する認知や理解も比較的スムーズに進んでいるようです。日本でもカーシェアリングやバイクシェアが少しづつ広まりつつありますが、それぞれを別々にとらえるのではなく、互いをうまく連関させ、総合的な観点からシステムや仕組みを創っていくという発想も、必要かもしれませんね。
英ロンドンのバイクシェアリングサービス「Barclays Cycle Hire」の記事も合わせてどうぞ。
パリのEVシェアリングサービス「autolib’」について調べてみよう。