こんにちは。コミュニティディレクターの松原広美です。創刊4年目に突入したgreenzでは、そろそろ次のステージへ!と思って計画していることがいくつかあります。そのうちのひとつが、引っ越し!年内の引っ越しを目指して日々物件を見ている今日この頃です(いい物件をご存じの方いらっしゃいましたらぜひご一報ください!)。そんななか、9月に行ってきたアメリカ出張で訪問してきたオフィスがとてもステキだったのでご紹介したいと思います。行ってきたのは、個人的にも大ファンで、greenzでも度々紹介している大注目のサステナブルブランド2社。その気になるワークスタイル、オフィス内部の様子を全4回のレポートでお届けします。
1社目は、カリフォルニア州ベンチュラに本社を構えるパタゴニア社。同社については、過去のgreenzの記事(文末に過去記事一覧を掲載)を読んでもらうことにして、早速、写真を見ながらオフィス内部へご案内!
パタゴニアの前身であるシュイナード・エイクイップメント社当時の小屋がいまでも残されている。創業者イヴォン・シュイナードの地球への配慮、モノづくりへのこだわり、ビジネスとしての挑戦はすべてここから始まったんですね。
創業当時の貴重な写真もある。右から3人目が創業者イヴォン・シュイナード氏。
写真提供パタゴニア、(c)Copyright トム・フロスト
こちらはワークスペースの様子。訪れた日は、金曜日の午後だったせいか、人影もまばら……。今回とてもお世話になった、現 International Marketing Director 藤倉克己さん(パタゴニア日本支社のファウンダーでもあります)曰く、「金曜日なんてみんなオフィスに来ないか、来ても早上がりしちゃう。僕も波がよければサーフィンしに行っちゃうしね!」と。 社員のワークライフバランスが充実しているのだろう。
奥で会議をしているのは環境チーム。アパレル企業において、商品の環境アセスメントをしたり、環境NGOとのリレーションをつくったり、環境保護のためのキャンペーンを企画したりする専門部署があるのは素晴らしいことだ。
総勢300名近くが働くベンチュラ本社には、テキスタイルデザイナーやパタンナーも在籍。ここで新製品のデザインが生まれる。
こちらは、まだ店頭に並んでいない最新デザインのTシャツ。オアフ島のハレイワ店で近日発売予定だとか。私も未発売の新作Tシャツをお土産に頂きました!
ウェアのサンプルをつくる縫製工場も社内にあり、手先の器用のアジア人女性を多く雇用している。量産段階に入ると、同社が提携する中国やヨーロッパなど世界各地の工場が生産を請負う。
社員が利用するカフェテリアでは、できるだけ近隣の農家から仕入れたオーガニック食材を利用。新鮮なお野菜やフルーツのサラダバーに日替わりプレートランチがいつものメニューだ。私もここでランチをご馳走に。
同社の通販カタログは、ファッションカタログの域を超え、環境エッセイ、世界各地の雄大な自然の写真とあわせたフィールドレポートなど、パタゴニアのメッセージを効果的に伝えるツールともいえる。これまで数々のカタログアワードを受賞しているが、賞状が多すぎて飾るスペースがなくなってきているとか。
最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する。
をミッションに掲げる同社では、「ビジネスパーソンにアウトドアの本質を教えるより、アウトドアが好きな奴にビジネスを教えたほうがいい」が創業時からの経営理念。アウトドアスピリットを大事にし、アスリート多く雇用し、ヨット、フットボール、などさまざまな競技で多くの功績を残している。
つづいて、オフィスの外も見てみよう。こちらは、駐車場に屋根に取り付けられたたくさんの太陽光パネル。総工費は3億円とか。年中太陽がサンサンと降り注ぐカリフォルニアの日照時間をもってしても店舗で使用する一日分の電力しか賄えないそうだ。
本社の隣に工場とショップを構え、ハンドメイドによるサーフボードを製作しているフレッチャー・シュイナード・デザイン(以下、FCD)社。フレッチャーは、イヴォンの息子だ。ここで、サーファーでもある筆者が、サーフボードについて少し補足説明を(業界用語が多くてすみません!)。
1996年にサーフボードの製作を開始して以来、環境に優しく、機能性や耐久性にも優れた素材と技術の開発を行ってきたFCD。サーフボードの素材となるフォームは、標準的にはポリウレタンなどの環境負荷の高い石油系素材であることが多いのだが、人体及び環境への影響を最小限に抑えることがそのコンセプトとなっている。
サーフボードの形になる前のブランクス(原材料)は独自に製作。FCDのボードは最近日本でも人気が高く、この日も日本に向けて数10本出荷したばかり!
サーフボードの製造工程において、人体に有害な発揮物質を出す場合があるが、この工場では、強度と人体への影響を考えて樹脂はエポキシを使用している。通常、鼻をツーンとつくような刺激臭があるのだが、ここは長時間いても心配ないらしい。
ボードの裏面をシェイプ(削る)し、仕上げに入っている様子
と、サーフィンのうんちくはこれぐらいにしておいて・・・。
さて、写真を見ながら、パタゴニア社の雰囲気はなんとなく感じて頂けたのではないでしょうか。次回は、20年以上も前につくられた社内託児所の様子から、パタゴニア社が考える子育てについてお伝えします。お楽しみに!
パタゴニアに関する過去記事の一覧です。
パタゴニアは誰のもの? イヴォン・シュイナードが語る企業のカタチ
https://greenz.jp/2007/12/21/patagonia1/;
持続可能な社会を実現するためのパタゴニア流シンプルライフのすすめ
https://greenz.jp/2008/01/22/patagoniasustainability/;
パンツだって立派な資源!「パタゴニア」に学ぶ持続可能な企業のカタチ
https://greenz.jp/2009/07/03/patagonia_business/;
これぞグリーン・ビジネス! パタゴニア創業者のイヴォン・シュイナード、大いに語る
https://greenz.jp/2009/08/06/greenbiz_yvonchouinard/;
パタゴニアの製品がどのようにつくられているを映像で見る