『生きる、を耕す本』が完成!greenz peopleになるとプレゼント→

greenz people ロゴ

緑の洗剤? いえいえ、グリーンウォッシュとは、こういう意味です。

 Creative Commons, Some Rights Reserved, photo by Forest Action Network

Creative Commons, Some Rights Reserved, photo by Forest Action Network

2,253件。これは、google.comで、この1ヶ月間に“greenwash(グリーンウォッシュ)”という言葉がブログに登場した件数を検索した結果。この言葉、企業のCSR担当者にとっては、最も耳にしたくない言葉かもしれない。さて、あなたはその意味を知っているだろうか?

グリーンピースが運営するグリーンウォッシュ専門サイトStop Greenwashによると、グリーンウォッシュとは、

企業活動や商品/サービスの環境影響について、消費者に間違った印象を与える行為

を指す。

具体例を、米国の非営利メディア組織American Public MediaGreenwash Brigadeが選んだ2008年のグリーンウォッシュリストより、3つ挙げてみよう。

Fiji Water社

カーボンネガティブ(二酸化炭素排出量をマイナス値にすること)、熱帯雨林の保全、簡易包装、リサイクル推進を約束し、グリーンなペットボトル水を謳う飲料水会社。カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトを通じてカーボンフットプリントを公開している。(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトの資料によると、Fiji Water1リットル当たりの二酸化炭素排出量は、ライフサイクルをとおして約0.000579メートルトン。)

と書いてしまうとまさにグリーン企業。ただ、Fiji Waterの製造拠点は、その名のとおりフィジーにある。そして、主な出荷先は、フィジーから約9,000キロも離れたアメリカ。空運や陸運に比べ環境負荷の少ない海上輸送をしている!とグリーンさがアピールされているものの、年間二酸化炭素排出量の約23%は海上輸送時に発生している。

また、ペットボトルのリサイクル率が12%である米国におけるペットボトル入りの水という商品自体、そもそもエコではない!とGreenwash Brigadeは主張している。
(注:EPAによると、2007年における米国でのペットボトルのリサイクル率は37%。)

iPhone 3G

2007年末に、有害化学物質であるPVCとBFRの使用の段階的廃止を発表したアップル社。しかし、その後の対応は遅れており、今年発表が予定されているiPhone 3GにもPVCBFRが含まれる部品が使われる見込みだ。

※追記:その後発売されたiPhone 3GSはアップルにによれば、PVCは不使用とのこと。BFRについては、不明。

一方、同業者であるSony Ericsson社とNokia社は、PVCとBFRの使用はすでに廃止している。

Clean Coal (クリーンな石炭)

あのオバマ大統領も開発を後押ししているClean Coal技術。
米国の41州で、総額60億ドル以上が投資されて、導入が進んでいる。
国内埋蔵量の多い石炭を燃料として使い、従来のエネルギー技術よりも77%クリーンに発電できると謳われている。ただ、石炭の燃焼は多くの温室効果ガスを排出し、石炭の採掘には自然環境破壊が伴う。プロジェクトに組み込まれている炭素地中隔離技術にしても炭素隔離技術にしても、まだ実現にはほど遠い。石炭がクリーンなんて究極の矛盾、とGreenwash Brigadeは主張している。

ちなみに、Clean Coal のCMは、文頭で紹介したStop Greenwash のグリーン・ウォッシュCMページにアップされている。せっかくなので、ちょっと観てみよう。

意識して生活すると、グリーンウォッシュと疑える企業や商品やサービスは多い。

今、この文章を書きながら私が悩んでいるのは、何をもってグリーンウォッシュと呼ぶのか、ということ。

たとえば、本業(自動車製造、有害化学物質の製造、プラスチック製品の製造など)で環境破壊を招きながら、その一方で環境事業(熱帯雨林保護、再生エネルギーによる発電など)に投資したり環境団体を支援するのは、グリーンウォッシュなのだろうか?

企業の環境や社会への影響に敏感になり、社会配慮型企業の商品やサービスの利用を心がけるのは、消費者として大切だと思う。でも、本当に社会貢献している企業をグリーン・ウォッシュ企業と判断してしまったり、懐疑的になりすぎて、グリーンやエコを謳う企業を無視するようになってしまえば、環境ビジネスの発展を阻害しかねない。

そこで今回は、英国を拠点に、持続可能なコミュニケーションを推進しているFuterraが発行したグリーンウォッシュ・ガイドから、グリーンウォッシュを見分ける10サインを紹介したい。

グリーンウォッシュの10サイン

1.あいまいなキャッチ
(例:エコな、環境にやさしい、自然と協和する)
2.裏の顔をもつグリーン商品
(例:環境汚染防止設備が整っていない工場で製造される高効率電球)
3.暗示的なイメージ図
(例:排気ガスの代わりに花びらを排出する自動車の図)
4.見当違いな主張
(例:主な事業の環境負荷を報告せず、小さな環境活動に焦点を当てる)
5.○○ナンバーワン!という主張
(例:同業者や同等モデルとの比較)
6.危険をともなうグリーン商品
(例:エコフレンドリーなタバコ)
7.ちんぷんかんぷんな表現
(例:専門家にしか分からないような表現や情報ばかり提供されている)
8.えせ第三者評価・承認
(例:独自のエコラベルの表示)
9.証拠に欠けた主張
10.捏造・偽造

お次は、同じガイドから、グリーン・ウォッシュ企業にならないための
6ステップ

グリーンウォッシュ企業にならないための6ステップ

1.グリーンをアピールする前に、まずは自社の活動と
  その環境影響を把握する。
2.グリーンな特徴を見つけるのではなく、それをデザインし、
  創り出す。
3.環境に関するPRの内容について、社内外の専門家との
  確認を重ねる。
4.適切な第三者認証を取得する。
5.適切な言葉やイメージを用いる。
6.広告、CEO挨拶文、広報、プレスリリースなど、
  あらゆるコミュニケーションの場でグリーンウォッシュを意識する。

気になる企業があったら、上記のポイントをふまえながら、公式サイトやCSR報告書を読んで、不明な点は企業の担当者に問い合わせてみよう。

消費者のグリーン意識の高まりを感じれば、企業も変わっていくはずだ。