『生きる、を耕す本』が完成!greenz peopleになるとプレゼント→

greenz people ロゴ

ソーシャルグッドはすでに、ステータス・シンボルだ。「2009年エデルマングットパーパス調査」

「2009年エデルマングットパーパス調査」プレスリリースより

「2009年エデルマングットパーパス調査」プレスリリースより

「より良い世界のために、日常の消費行動を変えられますか?」
そう質問されたら、あなたはどう答えるだろう。ちなみに、世界10カ国の消費者を対象としたアンケート調査では、同じ質問に対して、8割以上が「イエス!」と答えた。

このアンケート調査は、PR会社エデルマンが実施した「エデルマングットパーパス調査(Edelman “goodpurpose” Consumer Study)」。企業のsocial purpose (社会的意義)に対する消費者意識を調査するもので、一昨年から、年に一度実施されている。対象国は、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、中国、インド、ブラジル、そして日本の計10カ国。今年の調査には、日本人500人を含む計6,000人が協力した。

社会貢献度を軸にブランドを選ぶ消費者たち

今回の調査結果は、消費者がブランドを選ぶ基準がシフトしたことを示している。回答者の約7割(日本では約6割)は、品質が変わらないのであれば、社会貢献度のより高いブランドに乗り換える、と答えている。また、高級車よりもハイブリッド車、大型住宅よりもエコ住宅、高級ブランドよりも地元生産者を応援するブランドを選ぶと答えた消費者は、約7割(日本では、それぞれ約9割、9割、8割)を占めた。

では、なぜ消費者は、企業やブランドの社会貢献度に配慮するのか?アンケート結果によると、社会貢献度の高い企業やブランドを選ぶ自分を誇りに思える(82%)という人が多いようだ。

社会のために自らも行動する消費者たち

今回のアンケート調査では、企業にとって厳しい結果も出た。回答者の7割近くが、企業は社会貢献活動に資金供与をするだけでは不十分であり、自社の事業をつうじて社会に貢献する仕組みが必要だ、と回答。「どこかの環境団体を支援しています」、と主張するだけでは、もはや消費者は満足してくれないというわけだ。

企業にお金だけでなくアクションを求める声は、消費者自身の社会貢献への姿勢の変化にも関係あるかもしれない。たとえば、アンケート回答者の半数以上は、個人的に社会貢献活動に携わっている。今年は昨年よりもさらに社会貢献活動に力を入れた人も、約3割を占めた。

不況に強いのは、ソーシャルグッド企業

今年はどの対象国も不況の波にのまれた。でも、苦しい経済状況下にあっても、社会貢献度の高いソーシャルグッド企業へのロイヤリティはおおむね保たれたようだ。アンケートに協力した消費者の6割以上が、最安値ではないものの社会貢献度が高いブランドを商品を購入したり、主に社会貢献度が高いからという理由で、あるブランドや企業との関係を維持し続けた、と答えている。

不況だからこそ、社会貢献が大切、と考える消費者も過半数を占めた。自分の経済力では自ら効果的なアクションはおこせないため、社会貢献度の高いブランドを選んでいる消費者(58%)や、社会貢献活動に対して金銭的な支援がでできない代わりに、より多くの時間を社会貢献活動に費やす消費者(53%)がいるのだ。

企業が社会的意義のある活動をすれば、経済状態にかかわらず、その活動を応援してくれる消費者がいると言えるのではないか。

CSRからMSRへ

昨年と今年のアンケート結果を比べてみると、「社会に貢献するブランドを他の人に推薦する」という回答率が52%から64%に上昇している。また、「社会的意義のあるブランドの製品なら宣伝に一役買う」という回答率も、53%から59%に上昇した。

「2009年エデルマングットパーパス調査」プレスリリースより

「2009年エデルマングットパーパス調査」プレスリリースより

エデルマン社は、このような結果を受けて、Corporate Social Responsibility (企業の社会的責任)を超えた、Mutual Social Responsibility (相互的な社会的責任)という新しいビジネスパラダイムを提案している。つまり、企業は消費者が重要視する社会の課題に取り組み、その取り組みを支持する消費者がブランドを推進するのだ。

投資家が利益還元されるように、企業の活動やブランドイメージづくりに参加する消費者が利益還元される。そんな仕組みづくりも、エデルマン社は提案している。

「2009年エデルマングットパーパス調査」のプレスリリース(和文)を読む。