26億人―。
これは現在、世界でトイレ不足に苦しんでいる人の数。実に世界総人口の38%に当たる。greenz記事「トイレから世界を変える!これが『日本トイレ研究会』です」でも紹介したとおり、特にアジア・アフリカ地域でのトイレ不足は深刻な課題だ。しかし、この課題の早急な解決に向けた一筋の光が!その名も「Pee(おしっこ)+Poo(うんち)」で「Peepoo」。スウェーデン生まれのこの魔法の袋についてご紹介しよう。
Peepooは使い捨ての携帯トイレである。以下の動画で紹介されているように、子供から大人までいつでもどこでも使えるようになっている。幅14cm・長さ38cmの細長い袋は二重構造で、使用後に中袋を閉じて外袋の口をしっかりと結べば、24時間は排泄物の臭いが漏れることはないそうだ。重さはたった10gなので、トイレ施設のない学校に通う子供たちが持ち歩くこともできる。
この袋は環境に配慮されているのも特徴的だ。袋の樹脂はEU基準を満たす高品質のバイオプラスチックでできており、安全に地球に還すことができる。また、袋の内側は無害な尿素でコーティングされており、この尿素が便や尿と触れることで酵素を分解させ、アンモニアと炭酸塩になる仕組みだ。バクテリアやウイルスなど病気をもたらす便の有機体は2~4週間で不活性化され、不活性化された排泄物は高品質な肥料に変わる。栄養たっぷりのこの肥料は作物の成育に適していることから比較的高値で取引されており、ユーザの地元経済を潤すことにもつながっている。
トイレ不足と飲料水不足とが深く関連しているのは既にご承知のとおり。衛生設備が整っていないことで清潔な水と汚水が混ざってしまい、これが伝染病や疫病が蔓延させる元凶となっている。汚染された水が原因で15秒に1人の割合で子供がで亡くなっているという事実からも、この問題の深刻さがわかるだろう。とはいえ、衛生設備には多額の投資を要するだけでなく、メンテナンス体制の確立も不可欠であり、今、貧困とトイレ不足に苦しむに人々にとっては、即効性のある策とも言いがたい。もちろんインフラ整備も必要だが、この解決策にこだわって手をこまねいているだけでなく、別の観点からのアプローチを考えることも必要だろう。
Peepooが画期的なのは、水がいらないトイレを実現し、水と衛生の深い関係を断ち切ったことだ。衛生設備のように莫大なコストも必要なく、今すぐトイレ不足の課題を解消することができる。手巻き式ラジオを製造している「Freeplay Energy」や太陽光で飲料水を作るタンク「Solvatten」でも紹介したとおり、課題に対する解は必ずしも最先端の技術にのみあるわけではない。知恵を絞り、時には発想を転換することで、ブレークスルーが達成できることをPeepooは示している。
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