日本、および日本周辺で発生するマグニチュード5.0以上の地震は、年間平均123回(※)。世界中で起こる地震の約10分の1は、私たちの住むここ、日本で発生しています。名実ともに地震大国に住む私たちにとって、地震はもはや「非常」ではなく、「日常」と言うべき出来事です。(と、書いている今もまた、茨城で震度4の余震がありました…)
(※)1996年~2005年の気象庁の震源データをもとに算出
でも今まで私たちは、この「日常」として起こりうる自然災害に対して、あまりにも無防備でした。
モシモ(=非日常)からイツモ(=日常)へ。
みんなの意識をチェンジするために、あるサイトが立ち上がりました。
サイトの名前は「地震ITSUMO.COM」。普段、私たちが想像できない「地震発生時の状況」や「避難所での生活の様子」などの情報から、本当に必要な「防災グッズ」や「応急手当」の知識まで、いざ自分が被災者となった時、またボランティアとして被災地に行ったときにも役立つ情報がイラストとともに紹介されています。
たとえばこちらは、災害時の基本である連絡手段についてのページ。
「連絡はとれない」
一見当たり前のことなのですが、今回の震災で、家族や友人との連絡に苦労した方は多いのではないでしょうか。いざというときの連絡手段や集合場所を決めておくだけでも、不安は、かなり軽減されます。また、安否確認の手段として「往復はがき」が紹介されていますが、この発想も緊急時にはそうそう生まれることではないので、覚えておくと役立ちそうです。
このように、知っているようで、改めて「なるほど!」と思う情報がたくさん掲載されているので、基礎知識の復習のつもりで覗いてみるのもオススメです。
ところでこのサイト、通常の防災情報サイトと少し違うところがあります。それは、被災者の「キモチ」が掲載されていること。例えばこちらのページをご覧ください。
テレビで避難所の映像を見ているだけでは伝わって来ない、リアルな避難者の心境。あまりの生々しさに、私は読んでいて心拍数が上がっていくのを感じました。
実はこのサイト、阪神・淡路大震災の被災者167人の体験談を元にまとめられた書籍『地震イツモノート』(木楽舎、2007年発売)の内容の一部を公開したものなのです。東日本大震災の後、防災やまちづくりに取り組む「NPO法人プラス・アーツ」の呼びかけに、株式会社木楽舎、株式会社ポプラ社が協力し、この企画が実現しました。
書籍版の『地震イツモノート』は、一家に一冊、キモチの備えとして持っておくべき本です。(4月16日現在、一部インターネット書店などでは品切れとなっているようです)
今回、その貴重な情報の一部をインターネットで無料公開した背景として、サイトにこんな記載がありました。
これから長い道のりになるであろう被災地支援を継続的に行っていくためにも、私たち自身もしっかりと立っていなければなりません。そのためにもこれから起こりうる地震に備えてできうる備えをしていただきたいと思います。
(「地震ITSUMO.COM」より)
被災者の経験を活かし、「イツモ」地震への備えを万全にしておくこと。
これも、運良く被災を免れた私たちが、今できることのひとつです。
このサイトを見て、震災の本当の姿を知り、そしてぜひ、多くの人に伝えてください。その行為が、いつでも起こりうる震災発生時の被害を、そして人々の悲しみを、少しでも軽減することにつながるのです。
地震の備えを「イツモ」に。PDFで一括ダウンロードもできます。
一家に一冊、キモチの備えを。