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自分らしくあることが、まちをさらに美しくする。愛媛県内子町でみつけた、“いかしあうなりわい”という生き方 #仲間募集

応募書類の受付期間は令和3年10月1日(金)~令和3年10月29日です。事前に情報を受け取りたい方は、記事末のボタンから最新情報の受け取りをご希望ください。募集職種についてはこちらをご覧ください。

自然を身近に感じながら暮らし、自分の得意なことや好きなことをいかして仕事をしてみたいと思うことはありませんか?

歴史的な建造物が立ち並ぶ、昔ながらの町並みと、四季折々の表情を見せてくれる農村風景。美しい景観で知られる愛媛県内子町は、そんな思いが叶う場所かもしれません。

以前こちらの記事でも、地域おこし協力隊の募集をしましたが、今年も新しい仲間を募集します。あらたに募集するのは、石畳地区の地域活性化に取り組む方と、町内全域の「農泊推進事業」に取り組む方、そして御祓(みそぎ)地区の地域活性化に取り組む方です。

今回は、内子町役場の担当者と現在の地域おこし協力隊など、内子町を舞台に活動する方に、内子町での仕事や暮らしのことを聞きました。

町並み、村並み、山並みが美しいエコロジータウン

町並み保存地区で行われる観月会の様子(写真: 内子町提供)

県のほぼ中央に位置する愛媛県内子町。人口1.6万人ほどのまちは、県都・松山市から車で1時間ほど。温暖な気候に恵まれ、桃・梨・柿・栗などの果樹栽培をはじめとする農業が盛んです。

江戸時代から明治時代の町並みの保存活動を軸にまちづくりを進めてきた内子町は、現在、「町並み、村並み、山並みが美しい持続的に発展するまち」を合言葉に、「エコロジータウン」として環境に配慮したまちづくりを進めています。

二宮さん 景観が美しいということは、そこで暮らしている人がいるということなんです。

と話すのは、町役場担当の二宮大昌(にのみや・だいすけ)さん。

二宮大昌さん

地域に人が暮らし、景観を大切に思う町民が手を入れることで、美しい町並みや、農村景観は維持されているのだそう。

そんな内子町で、地域おこし協力隊の受け入れが始まったのは、8年前。以来、地域の魅力を発見し、内子町の可能性を広げる人として町内でもすっかりその役割が浸透してきました。

今回募集するのは3職種。それぞれの地区の詳しい活動について、二宮さんに伺っていきましょう。

二宮さん 石畳地区担当は、石畳の宿のマネジメントと石畳地区の農産物・加工品・ツーリズム商品などの販売促進がメインになります。「農泊推進担当」は、観光体験プログラムの継続や充実、及び新規プログラムの造成や販売促進がミッションです。御祓地区担当は、廃校を利用したカフェを地元の方と現在の協力隊が一緒に運営しているのですが、その運営管理・事業拡大や地域産食材を生かした商品づくりなどを行っていただきます。

それぞれの仕事の詳しい活動や、やりがいについて、「株式会社石畳つなぐプロジェクト」代表の寳泉武徳(ほうせん・たけのり)さん、地域おこし協力隊の小山田麻衣(おやまだ・まい)さん、水谷円香(みずたに・まどか)さんにお話を伺いました。

宿の運営と栗の生産・加工を通して、地域になりわいをつくる

農村風景が美しい石畳地区。30年以上前から、住民主体で水車の復元や枝垂れ桜の保護など、村並み保存運動に取り組んできました。こうした活動が評価され、2015年、石畳地区の景観は日本ユネスコ連盟「プロジェクト未来遺産2015」に登録されています。

石畳地区にある「石畳清流園」。水車の回る懐かしい風景を再現しようと地域の人が水車小屋を復原して公園にしました(内子町提供)

この地域で活動しているのが、寳泉さんです。以前は内子町役場に勤めていましたが、2年前に早期退職し、株式会社石畳つなぐプロジェクトを立ち上げました。

寳泉さん 石畳地区は景観が評価されて、観光などで人が訪れることは増えました。ただ、人口減少は止まらず、地域でなりわいをつくっていかないと未来につながらないと思ったんです。そこで会社を立ち上げて、地域の課題解決のための事業を展開しています。

寳泉武徳(ほうせん・たけのり)さん。石畳地区への熱く真っ直ぐな思いが伝わってきます

現在取り組んでいる事業は主に2つ。地域の滞在拠点である宿の運営と、栗を中心とした農産物の加工・販売です。今回は、その両方に携わる方を募集しています。

古民家を活用した宿である「石畳の宿」は、1994年にオープンしました。年間に700〜1000名の利用者がいて、内子町の滞在拠点としても大きな存在です。

寳泉さん 現在は、地域の方がスタッフとして働き、地元の素材をふんだんに使った料理で観光客をもてなしています。ただ、宿の仕事というのは、夜間に働かないといけないこともあり、なかなか地域内では子育て世代を中心とする若い人への世代交代がうまくいかないのが課題です。そこで、人と接するのが好きであるとか、料理をして人をもてなすのが好きである方に来ていただけたらいいなと考えました。

スタッフとして最初は地域の方とともに働きながら、やがては宿の料理メニューの開発や、体験ツーリズムの商品企画などを任せられるような人に来てもらえたら、と考えているそう。

美しい自然に囲まれた、石畳の宿(内子町提供)

もうひとつの事業は、栗を中心とした農産物の加工と販売。現在石畳地区では、樹の上で完熟し、自然に落下するまで育てた栗を「完熟石畳栗」としてブランド化。地域の栗農家自らが加工を学び、焼き栗や、栗のパウンドケーキなどの製品として販売しています。

木の上で完熟させた「完熟石畳栗」(内子町提供)

寳泉さん 栗生産農家が加工について自己流で勉強して製品化しているのですが、そこに加わってくれる方がいたらいいなと思っています。お菓子づくりの好きな方だったら、製造に関わっていただけるかもしれませんし、オンラインでの商品販売に興味がある方だったらその仕組みづくりなどを一緒に考えていきたいです。

料理・お菓子づくりが好き、人と接することが好き、オンラインでの発信が得意。そんな方には力を発揮できる場面がたくさんありそうです。

そうした理想とする人物像を描きながらも、寳泉さんは、協力隊としてまちにやってくる方の思い描く暮らしも叶えていきたいと話します。

寳泉さん 人口減少の中で課題はありますが、わくわくするような地域をつくっていきたいと思っています。その思いに共感していただける方と、一緒に活動していけたら嬉しいですね。

イベントや情報発信を通して、農村地域に宿泊する人を増やす

次にお話を伺ったのは、現在地域おこし協力隊として「農泊推進事業」を担当している小山田さんです。内子町に来る以前は、東京にお住まいでした。

小山田さんのキャリアはユニーク。ご夫婦で英会話やものづくりを学べるスペースの運営をしていましたが、場所にとらわれずに仕事ができるようになりたい、と10ヶ月間東南アジアの旅へ出かけます。旅をしながらWebライターの仕事をするほか、もともと仕事にしていたものづくりについてYouTubeを使って発信。帰国した後に国内での新しい拠点を探していたところ出会ったのが、内子町でした。

小山田さん 東南アジアに暮らしてみて、人がそこまで多くなくて、空気がゆったりしている農村地域が心地良いなと感じるようになりました。そんな時にオンラインで見た内子町の景色が、バリ島と重なったんです。

小山田麻衣さん。「内子町は良いところだから、みんな来たらいいのにと思っているんです」と笑顔です

御祓地区の秋の実り(内子町提供)

内子町の町役場や観光協会が、WebサイトやYoutubeなどを使って積極的に情報発信をしているのも、小山田さんのアンテナに引っかかったポイントだったそう。

住み始めて、ギャップはなかったのかと聞いてみると、小山田さんにとっては良いギャップばかりだったと話します。

小山田さん 都会のようにどこにでもコンビニやスーパーがあるわけではないですが、こちらに来てから車に乗り始めて、車があれば特に不便と感じることはないです。

ご近所付き合いに関しては、もちろん東京と違ってコミュニケーションを取る機会は多いですが、知らないことを教えていただいたり、野菜のおすそ分けをいただいたり、助けられてばかり。内子町がある愛媛県の南予と呼ばれる地域の特徴なのかもしれないのですが、人も穏やかで、ちょうど良い距離感の中で過ごせていますね。

そんな小山田さんが現在取り組んでいるのが、「農泊推進事業」。地域資源を活用した体験イベントを企画し、農村地域に訪れる人や宿泊する人を増やす仕事です。

小山田さん 内子町は町並みが有名なので、町並みだけを見て内子の宿に宿泊せずに帰ってしまう方もたくさんいます。でも、町並みの他にも、農村風景など美しいところはたくさんあるので、そうしたところに足を運んでいただけるように、体験プログラムやイベントを企画しています。

小山田さんはものづくりをしていた経験をいかして、地域に住む草木染めをしている方と草木染め体験を企画するほか、小学生とその家族を対象にした「夏の親子旅」という自然体験プログラムなども開催しています。

自然景観や農作物など、魅力的だなと思うものをオンラインで発信するのも仕事のひとつです。

小山田さん 内子町のことをまだ知らないけれど、知ったら私のように内子町のファンになる人はいると確信しています。そういった人に届けられるように、オンラインの発信は注力していますね。

小山田さんのお話を伺っていると、もともと仕事にしていたものづくりの仕事や、東南アジア滞在中にしていたオンラインの発信など、自身の得意なことや好きなことをいかしながら、地域おこし協力隊として活躍していることが伝わってきます。

地域おこし協力隊としての働きやすさについてはどうでしょう。

小山田さん 内子町が地域おこし協力隊という制度を8年前から導入しているため、地域おこし協力隊という名前が、内子町に浸透しているんです。さらに、先輩方のおかげでイメージも良い。

着任当初にまちの広報紙にインタビューを掲載していただいて、そのおかげで、会ったことがない方にも名前と顔と何をしているかを覚えられています(笑) はじめて会った方ともつながりやすいのがよかったですね。

内子町の魅力や暮らしぶりを、楽しそうに話してくれる小山田さん。「農泊推進事業」の担当として、どんな人に来てもらいたいと考えているのでしょうか。

小山田さん 個人的な思いですが、今後の展開を考えると、新しい企画をどんどんつくっていくというよりは、今ある素材を広めていけるような人に来てもらえたらいいかもしれませんね。内子町と、東京や大阪、愛媛だったら松山市など他の地域とつながりをつくって、他の地域の方に情報発信をしたり、そこから人を呼び込んだりできる仕掛けづくりができる方に来ていただけたらいいなと思っています。

コミュニティカフェで地域の可能性をひらく

御祓(みそぎ)地区で、地域おこし協力隊として3年目の活動をしているのは水谷さんです。埼玉に住んでいた水谷さんが地方に移住先を探す中、Webの記事で知ったのが内子町でした。御祓地区の空き家に出会って移住を決め、仕事をどうしようかと考えていたときに、ちょうど御祓地区で地域おこし協力隊の募集があったのだそう。

埼玉に住んでいた頃仕事にしていた演劇の制作スタッフの役割と、地域おこし協力隊は似ているところがあるかもしれない、と水谷さんは話します。

水谷さん 演劇の制作スタッフは、舞台を上演するのに関わる調整役なんですよね。今も地域の方たちの中で、調整役として動き回っているところがあります。いろんな人たちをつないでひとつのものをつくるというところも、同じですね。

水谷円香さん。穏やかな話しぶりの中に、地域おこし協力隊としての活動が充実していることがうかがえます

水谷さんが現在舞台としているのは、閉校した小学校の校舎を活用した地域のコミュニティスペース「みそぎの里」。月に2回、カフェとしてオープンし、御祓地区で採れた季節の食材を使った定食などを提供しています。

カフェで提供される定食には、地元で採れた季節の食材が盛りだくさんです(内子町提供)

3年間この場所で活動している水谷さん。1年目は、もともとカフェスペースとして開かれていた「みそぎの里」をリニューアルオープンし、より魅力的に運営することに取り組みました。2年目は地域内での宅配食サービスや、地域で採れたお米を「みそぎまい」としてパッケージをつくって販売することを始めます。

3年目となる今年は、カフェスペース以外にも校舎を活用したいとの思いを実現するために奔走中です。

水谷さん 着任当初から、カフェスペースとして月に2回使う以外に、校舎を活用できていないことがもったいないと感じていたんです。今年に入ってから、運営協議会を立ち上げ、地域の中で自由に活用していけるための仕組みづくりをしています。各教室をテナントとして貸し出す事業も始まり、いくつかすでに入ってもらうテナントも決まりました。

現在決まっているテナントを伺うと、活版印刷の印刷所や、手漉き紙を使ったものづくりができるシェアアトリエ、古道具の販売やコーヒーの焙煎など、どれも気になるものばかり。ますます魅力的な場所になっていきそうです。

地域コミュニティの拠点となっている、旧御祓小学校(内子町提供)

そんな御祓地区の地域の拠点で今回募集するのは、カフェの運営を任せられる人です。

水谷さん 地域の拠点として進化しつつある校舎の中で、今は営業日が月に2回というのがネックになっています。もっと頻繁にご飯を食べられる場所があったら、いろんな人が立ち寄りやすいですし、例えば校舎内のテナントを見て回って食事をする、というような過ごし方もできるようになります。

月2回の営業から、週に数日でも開いている日が増やせるように、自分自身で飲食の事業をしたいと思ってくださる方に来ていただけたらなと思っています。土が生活ととても近い、里山的な環境なので、地域の食材をいかして料理をしたいというような方だといいですね。

現在月に2回のカフェ営業日は、地域のお母さんたちが中心となって、調理をしています(内子町提供)

3年かけて地域の拠点を耕してきた水谷さんが感じている、内子町で地域おこし協力隊として働くやりがいとはどんなことでしょう。

水谷さん 今ものすごく地域の可能性が開けてきている状況で、そのダイナミックさを味わえるということ、自分次第でどうとでも広げていくことができるのは、すごくやりがいがあることだなと思います。

一方で地域の中で何かをしていくということは、地域のこれからを変えてしまうかもしれない。そのことの責任を重く感じることもありますね。

「内子町の地域おこし協力隊は、良い意味で自由で、役場の方も任せてくださる」と話す水谷さん。その言葉も3年の活躍を伺えばなるほど、と合点がいきます。

水谷さんは、3年の任期が終わった後も協議会の事務局として、引き続き御祓地区で暮らし、校舎活用の事業に関わっていきます。先輩隊員が身近にいてくれるというのも、新たに協力隊になる方にとっては心強いですね。

地域の方と協働できる、前向きな方にきてほしい

最後に、内子町役場の二宮さん、株式会社石畳つなぐプロジェクトの寳泉さん、そして地域おこし協力隊の小山田さんと水谷さんに、どんな方に仲間になってほしいか伺いました。

二宮さん 地域の方と一緒に活動するのは、どのミッションも共通しているのかなと思います。だからこそ、地域の方と一緒にやっていける協調性のある方や、コミュニケーションをとれる方がいいかなと思います。

寳泉さん そうですね、私も協調性のある方がいいかと思います。外から来られる方と、私達のように地域の中でずっと暮らしてきた人間とは、進むスピードも価値観も違う。それは違って当然なんですけど、お互いが歩み寄りながら、前に進んで行くことが大事ですよね。

水谷さん 人の話を聞くのが好きな方だと、すごく向いているのかなと思います。あとは前向きに取り組むことができる方。今ある状況や予期せぬ提案を拒まずに、面白がって、柔軟に取り入れてくれるような方がいいかもしれません。

小山田さん あとは、その人のこれまでの経験やスキルよりも、募集している内容に興味があるとか、やってみたいことに近いとか、実現したいと思っている方に来ていただけたらいいなと思っています。私自身も経験があってきているわけではなくて、内子の方がとても親切で、いろいろ教えていただく中でやりたいことが実現できているなと思うんですよ。

オンライン越しに、はじめは緊張の面持ちで始まった取材も、それぞれが内子町や地域のことを語るうちに、空気はすっかりほどけていきました。

「地域おこし協力隊」の多くは、その地域に「よそ者」として入っていく人。私はどこかで、その地域が求めている人物像に自分をあてはめていかないといけないような印象を抱いていましたが、今回のインタビューを通して、内子町の地域おこし協力隊は、経験や、得意、好きなことをいかしながら働くことができるように感じました。

自分らしくあることが、地域という土壌を耕すんだよーーそんなメッセージを4人のお話は伝えてくれているようです。

美しい自然に親しみ、人とちょうどよい距離感で過ごし、仕事をつくる。組織や地域に自分をあてはめるのではなく、周りの人と協働しながら、自分をいかして生きていく。これからの多くの方が求めていきそうな、“ いかしあうなりわい”という生き方が、内子町の懐かしい景色の中にあるような気がしてなりません。

(撮影: 水本誠時)

(※)今回の取材は新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、インタビューはオンラインにて行いました。写真は現地のフォトグラファーが撮影したものと、内子町より提供いただいたものを使用しています。

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