自転車通勤のニューヨーカーにとって、強い味方となりそうなサイトが登場した。目的地までの自転車での最適な経路を自動的に計算してくれる「Ride the City」だ。
使い方は簡単。スタート地点と目的地のアイコンをそれぞれ地図上にドラックすると、すぐにご覧のような経路を示してくれる。
緑色はバイクレーンや整備された緑道のある道、紫はそれ以外を表し、左側には走行距離と目安時間、右折左折などの指示までも表示される。
一見するとなんでもないナビゲーションツールなのだが、自転車愛好者の方はこの有用性がお分かりだろう。自転車走行において最大の悩みは道路の広さや自転車道の整備状態。自転車レーンの整備されていない細い道やトンネル、ハイウェイなどの走行は極めて危険だが、そういった情報は地図を見ただけではわかりにくい。実際走ってみないと安全性はわからず、初めての目的地へは道を選びながらの走行となり、到着時間の目安も立てにくいのが現状だろう。
その点、「Ride the City」では安全性を最優先に計算されるため、細い道や危険な道は極力避け、自転車レーンのある道を優先してナビゲートしてくれる。自転車初心者でもこれに従えばひとまず安心して走行することができそうだ。レンタルサイクルの位置も表示されるので、観光用にも使えるかもしれない。
ニューヨークの運輸委員会のホームページによると、自転車専用レーンを倍増させた2007年以降、ニューヨークの自転車通勤者は急激に増加し、2009年6月までに45%増となっているらしい。約18万5千人のニューヨーカーが自転車を日常的に使用しているいうデータもある。
ニューヨークでは持続可能な交通インフラとして自転車を推奨する様々な施策を進めており、7月末の市議会では、オフィスビルのオーナーに通勤自転車を持ち込むための貨物用エレベーターの設置を義務付ける条例が可決されるなど、自転車通勤のための環境整備が進んでいる。さらにシェアリングなどの整備も着々と進めており、2015年までに自転車通勤者を現在の2倍、2020年までに3倍にまで押し上げるという目標も掲げている。
Bicycle & Greenway Planning (New York City)
ニューヨーク・シティの公式ホームページを見ると、Cycling Mapや自転車置き場の位置や詳細情報を表示するインタラクティブマップCITYRACKS Mapなども積極的に公開しており、民間と連携を取りつつ、市が主導となって自転車利用を推進していることが見て取れる。「Ride the City」は個人運営のサイトだが、このように自転車通勤のための環境が整っているニューヨークならではのツールといえるだろう。
一方、日本でも環境や健康への意識の高まりから自転車通勤者が増え、“空前の自転車ブーム”などと報道されることも多くなった。しかし、東京など都市部で傘差し運転禁止などの法整備は進んでいるが、自転車通勤にとって最も重要なインフラ整備が不十分な状態であることは否めない。このままでは事故が多発するなどの原因により、一過性のブームに終わってしまうことも考え得る状態だ。
もし今、Ride the Cityの東京版ができたらどうだろう。専用レーンが少ないためなかなか上手く計算できず、自転車通勤環境の悪さが露呈し、インフラ整備に対する重要性が認識されるのではないだろうか。ひょっとしたらそれが、都の施策を後押しする力になるかもしれない。
作るのはGoogleか、ナビタイムか、それともあなたかも!?求む、日本の開発者!
ユーザビリティも抜群!「Ride the City」を使ってみよう。