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ギフト経済(ギフトエコノミー)にシフトしたい。でも、どう暮らしに取り入れていったらいい? ソーヤー海に学ぶ。

ハロー、ソーヤー海だよ! 前回はギフト経済の実践例を紹介したけど、今日はギフト経済についてもうちょっと深く考えたいと思う。ポイントは、お金を求めたり使ったりすることは必ずしも悪いことではないということ。むしろギフト経済の概念を通して、不安や恐れから行動するよりも、みんなとつながっているという意識を持つ世界にシフトできたら、と思ってる。

まずギフト経済とシェアリングエコノミーの違いは、シェアリングエコノミーって結局は分かち合うことをマネタイズしている資本主義なんだよね。無償で分かち合えたものが、お金に交換されていって、テック会社が仲介手数料を取る。資本主義は、プライスレスな(値段のない)ものをマーケットに出して売買することで数字の利益を生み出す仕組み。

物々交換も、結局は交換関係。例えば物々交換だと、誰かに靴を直してもらったお礼に、家で大量に余っているミカンをあげる。だけどギフト経済では、ミカンが大量に収穫できたら、とにかくいろいろな人に配る(そもそもミカンは僕のものじゃなくて、鳥か誰かが運んだ種から生まれた恩恵を僕が収穫しているだけ)。そうやって必要なところに資源が届く流れをつくるんだ。

“Gift Economy” by Tirch is licensed under CC BY 2.0

つまり、ギフト経済ではモノとか幸せとかが、大きな流れのなかで循環しているんだよね。だから、「ギフト経済でやっても回らない」っていう話をよく聞くけど、ギフト経済の世界観は「僕らが回しているんじゃなくて、生態系の循環のなかで僕たちは生かされている」「僕らはその循環の恩恵の一部をいただいて、次の命につなげる」のが、そもそもの前提なんだよね。僕はコスタリカのジャングルで、これにやっと気づけたんだ。でも、資本主義のメガネで世界を見たときに、「回っている」ことが見えづらくなる。

交換と循環は全然別もの。交換関係は、土地でもモノでも人でさえも、どこかのタイミングで誰かの所有物になる。資本主義では、所有して、権利を使って、市場に出して、利益に変えて、恩恵を独り占めする。所有の概念が土台にある、取り合いを促すゲーム。みんなとすべてをシェアしたらお金持ちにはなれないもんね。

僕らは労働者として働いたりサービスを提供したりして、不自然な仕組みに頑張って自分を合わせようとしている。そして、みんなで助け合い、分かち合うことよりも、人間関係を分断して、お金を介して関係を成り立たせることで、消費を増やし、GDPを上げている。

でも、これよりももっと楽しい、みんなが豊かになるゲームつくれるでしょ!!って僕は信じている。みんなと思い出したいのは「僕たちは生態系の循環の一部として生かされている」ということ。ちなみにこういう理由から僕は、人間中心的な人と人が何かを交換するイメージがある「経済(エコノミー)」という言葉より、「ギフトエコロジー」という表現を好むようになった。

ギフト経済(文化)にどうシフトするか、ギフト経済を実践するアメリカの思想家チャールズ・アイゼンシュタインはこんなふうにまとめてる。

彼のお誘いは、分離の世界からインタービーイング(共生・相互依存)の世界にシフトすること。ギフト経済は、資本主義社会に生きている人に訴えるための概念でしかないというわけ。

さて、僕が自分の活動ではどういう実験をしているかというと、ひとつはヴィパッサナー瞑想の仕組みを取り入れて、値段設定をせず無料で参加してもらって、そのあとに「僕の生活や活動を応援したいと心が動いたら、お金とかほかの形で、ぜひお願いします!」というアプローチで、なるべくやろうとしているよ。不安もあったけど、僕はその未知への冒険に導かれて、想像もしていなかった素敵な流れのなかにいる実感がある。

でも、僕も資本主義教からまだ離脱できているわけではなく、交通費や食費、苗、税金や保険などにお金を使っている。いろいろな人からのギフトのおかげで、生活も活動も続けられているという恩恵があるし、それでも「結局お金かよ!」って心が折れるときもたびたびある(笑)

そんな感じで、僕はお金が「足りなくなる」不安と、資本主義のメガネを外した時に見える美しい世界の狭間で実験している。世界観を変えるのはすごく難しいし、時には孤独な体験でもある。だからこそ、同じような志の人を見つけて、支え合うことがものすごく重要なんだ。

実験するうえで大事なポイントは、「どうやってギフト経済の仕組みを成り立たせるか」って、資本主義の頭で考えないこと。それだと上手くいかない場合が多い。それよりも、「モノやお金や評価がほしいからやる」ことから、「見返りなんて関係なく、自分の心が動いたからやる」という意識に変えるんだ。外発的動機から内発的動機にシフトすること。不安や恐れから、愛に動かされるように行動すること。そして世界をもうちょっと信頼すること。小さな一歩でいい。大切なのはその道を一歩ずつ進むこと。

一番シンプルでおすすめの実践は、感謝。感謝はギフトの意識を育む魔法のような行為。例えばこんなふうにね。「太陽に感謝、恵みの雨に感謝、小鳥に感謝、今日生きていることに感謝、頭痛がないことに感謝、安全に運転してくれた運転手に感謝、子どもたちの笑い声に感謝、文字起こしをしてくれたあいちゃんに感謝、記事を読んでいる君に感謝……」。ありがとう。

誰かが植えてくれた桃のギフト

市場経済は外側から働きかけるけど、ギフト経済はそんな感じで、自分の内側から突き動かされるようにして動いている。「これをあげて、『ありがとう』って言われたい」じゃなくて、「あの人にこれをあげたら素敵かも」だけで満たされる。

そうやってギフトする行為が常に愛の波紋を生んでいて、その結果何をもたらすか知ることはないかもしれないけど、ギフトを繰り返すことですべての人や世界やコミュニティが、そして生命が、つながり合い、影響し合っている――ギフト経済はそんな豊かな循環を思い出させてくれるんだ。自然から、お互いから切り離される経済から、優しさや思いやり、心のつながりを育む幸せの経済を一緒に支え合って創造していこう!

こっそり友達のキッチンのお掃除ギフト

最後に、ギフト経済をもっと知りたい人のために、参考になる本をいくつか紹介するね。みんなで、つながりのなかで生きる社会をつくっていこう!

・ミヒャエル・エンデ『モモ』(岩波少年文庫)
・リーズル・クラーク、レベッカ・ロックフェラー『ギフトエコノミー 買わない暮らしのつくり方』(青土社)
・マーク・ボイル『ぼくはお金を使わずに生きることにした』(紀伊国屋書店)
・ヘレナ・ノーバーグ・ホッジ『懐かしい未来 ラダックから学ぶ』(懐かしい未来の本)
・ロビン・ウォール・キマラー『植物と叡智の守り人』(築地書館)

(編集: 岡澤浩太郎/イラスト: 中島美紗子、川村若菜/協力: あいちゃん、井上真優、置塩ゆかり)

– INFORMATION –

ソーヤー海さんと一緒に、いかしあうデザインカレッジに参加しませんか?

いかしあうデザインカレッジは、この連載でフィーチャーしているソーヤー海さんとgreenz.jp編集長鈴木菜央が2021年3月にはじめた「”関係性”を通じた地球一個分の暮らしと社会のつくりかた」を学ぶオンラインコミュニティ/学びの場です。不明確さと迷いに満ちた時代で、新しい時代の生き方を模索したい人、自分も家族も地域も地球も豊かになれる暮らし方、仕事の仕方、社会のつくり方を学びたい人はぜひご参加ください!!

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