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悲劇は時代遅れになり、新しい社会が生まれる。『5人目のお坊さん』から、問題の本質をつかみ、根本から変えるために重要なことを学ぶ。

ハロー! ソーヤー海だよ。今日は社会変革について探求したいと思う(いつもか!?)。

世界中の人たちがどうしたらより素敵な社会をつくれるかを考える「ラダーシップサークル」という集まりがあるんだけど、そこで紹介されたもののひとつで、ある慈善活動家がつくった『5人目のお坊さん』という物語について。原文はこれだけど、要約するとこんな感じ。

昔々、あるところに4人のお坊さんがいました。
4人は川べりで世界平和について瞑想していました。
ある日、泣いている赤ん坊を乗せた桶が次々と川を流れてきました。
お坊さんたちは川に飛び込み、赤ん坊を助け続けました。
ところがその後、3人のお坊さんがその場から去ってしまいました。
残された1人のお坊さんだけが、救出活動を続けました。

数ヶ月後、流されてくる赤ん坊の数が止まり、2人目のお坊さんが戻ってきました。上流の村に行ったという彼女は、人口過密と飢えが原因で村人が赤ちゃんを川に流していたことを知り、そこに孤児院をつくったというのです。問題は解決したかに見えましたが、しかし直に孤児院が満員になり、犠牲になった赤ん坊がまた増えてしまいました。

ところが数年後、赤ん坊の流れがまた止まり、3人目のお坊さんが戻ってきました。彼女は、人口過密のより深い原因に働きかけるため、さらに上流に行って(避妊などの)家族計画プログラムを始めたというのです。

今度こそ問題は解決したかに見えましたが、残念なことに数年後、経済不況と政府の保守的な政策によりプログラムが廃止され、流される赤ん坊の数がまた増えてしまいました。

さらに数年後、不思議なことに問題はまた止まり、4人目のお坊さんが戻ってきました。彼女は、人口過密を含む複合的な問題にかかわる人々を集めて、政治に働きかける社会運動を始めたというのです。これによりリベラルな政党が政権を握り、予算を確保したのです。

問題は解決したかに見えましたが、悲劇的なことに4年後の選挙で保守党が再選し、赤ん坊問題は再発しました。

何年もの努力に疲れ、年老いたお坊さんたちは深い絶望のなかで、自分たち自身と社会が根本的に変わる必要があることに気づきました。

彼女たちはさまざまなリーダーを集め、ともに座って深く見つめ、考え、対話をする機会をつくり始めました。彼女たちの間で、そして彼女たちを通して、次第に特別な関係性、精神性、集合的知性が育まれると、自分たちを超える高次の力が現れました。彼女たちはそれを「5人目のお坊さん」と呼びました。

5人目のお坊さんの支援と導きによって、リーダーたちは、自分たち自身、そして社会がどう変容していけるかの兆しを見つけ、次第に思いやりをもったコミュニティとしてともにどう生きていくことができるのか、そして自分たちは何者であるのか、ということに関する新しい物語を形づくっていきました。同じように対話と黙考を経て、いままでの傷やパターンを手放す助けになるような癒しと和解のプロセスも生まれました。

そしてこれらが新しい革新と希望の精神の土台となり、あれほど繰り返された悲劇はいまや時代遅れとなり、ついに根本的に異なる社会が生まれたのです。

License Some rights reserved by Sukanto Debnath

(引用ここまで)

著者のTom Callananによると慈善活動家のなかでは、「下流で起こる問題にばかりお金や時間をかけても解決しない、上流に行きなさい」という話をよくするらしい。

例えば、いじめ。いじめられている子を守るとか、いじめている子を罰するのは、一番シンプルなアプローチだよね。ただ、それだけでは社会のあらゆるところで起きている、いじめという現象を止めることができていない。いじめの根本的な原因には触れられていないし、いじめていた子をより強い大人が罰するのも、いじめの構造に似ているよね。

強い人が弱い人に何かを強制したり搾取したりすることは、親と子、先生と生徒、上司と部下、警察官と疑われた人、男性と女性とかの間にも起こる、構造的な社会問題なんだ。だから目の前のいじめに取り組むのも大事だけど、それだけでは根本的な問題は解決されない。時には抑圧する人が入れ替わるだけ。

ちなみに、僕が取り組んでいる非暴力コミュニケーションは、まさにこの数千年も続いていると言われている「抑圧のパラダイム」(パトリアルキーともよばれる)を変えるための活動なんだ。

ゴミの問題も同じで、ポイ捨てする人たちを注意したり、拾ったりするのも大事だけど、ゴミが生産され続ける構造が変わらなければ解決できない。つまり、「症状」ばかりに反応するんじゃなくて、上流にある、社会の構造や世界観、思考パターンを変えることも重要なんだ。

それは人類が何百何千年も解決できていない戦争、気候変動、環境破壊、人種や性差別、貧困や格差などに取り組むときの、INSIGHTでパワフルなアプローチだと思う。

ただ、目の前のいじめに介入したり、ゴミを拾ったりすることに意味がないと言っているわけじゃない。

つまり4人のお坊さんのやったことは、どれも大切だし、とっても素敵なアクション! それぞれのお坊さんが行動したレイヤーから見えてくる、大事な視点があるんじゃないかな。だけどもっと根本的で本質的な解決を目指すには、5人目のお坊さんの存在も大事だと、僕は思う。

じゃあそれって何だろう?
ものごとを根本的に変えるためには何が必要なんだろう?
長くなったから続きは次回!

みんなも想像してみてね。

(編集: 岡澤浩太郎)
(参考文献: “Story of the Fifth Monk” by Tom Callanan
(翻訳:安納献・寺社下茜/アートワーク:寺社下茜)

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