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DIYのための国産材はどこで買える? 木材の選び方のコツとオススメのお店

まちと森がいかしあう関係が成立した地域社会を目指し、竹中工務店、Deep Japan Labとグリーンズの共同で運営している「キノマチ会議」。2020年は国産材を使い、自分の手で木のある暮らしをつくっていくことの魅力を探るコラム連載「暮らしからはじめるキノマチ」を展開しています。

これまで、連載ナビゲーターに「ともにつくる」をコンセプトに活動する「つみき設計施工社」の河野直さんをお迎えし、国産材を使ったDIYの魅力や、1000年以上続く道具と人の関わり、そして長く暮らしに寄り添うDIYアイテムのつくり方をお届けしてきました。

ここでもう一歩私たちが踏み込み考えてみたいのは、地域の木材と使い手をつなぐこと

日本各地の質のいい木材を、DIYで使いたい人も多くいるはず。しかし、いざ国産材を手に入れたいと思っても、意外と選択肢が無かったり、どこで買えるのかわかりづらいというのが現状です。

そこで今回は、実際に読者のみなさんが国産材を購入する方法や、店舗をご紹介します。

ホームセンター、建材屋、製材所。国産材に囲まれる店舗に足を運んでみて

こんにちは、つみき設計施工社の河野直です。いよいよ国産材を買うステップまできましたね。

国産材って手に入れにくいのでは? と思う方もいると思いますが、身近な場所でも購入できるんです。

ホームセンターには外国からの輸入材が多いのですが、国産材もあります。主に置いてある国産材は、工作や小さめのアイテムのDIYに使いやすい、手頃なサイズの杉やヒノキの材。また、必ず売っている合板ベニヤには、近頃国産材が使われることが多くなってきました。ホームセンターには多くの種類の材が扱われているので、ぜひ産地を気にしながら選んでみてください。

杉の角材と合板ベニヤ。ホームセンターに行けばほとんどの場合手に入る

次に身近なのは、町の建材屋さん。建物の中だけでなく外にまで建築に使う木材が所狭しと並んでいるお店のことなんですが、近所にあるのを見かけたことがある人もいるのではないでしょうか。

建材屋さんは普段、建築会社や工務店に木材を卸しているのですが、個人用に販売してくれるお店もあります。また、お店の外に端材が置いてあり「ご自由にどうぞ」と誰でも持っていけるコーナーを設けているところもあります。

できるなら営業時間中に挨拶をして、「こんなものをつくりたくて、こういう木材がほしいんです」と相談してみることをおすすめします。建材屋には質のいい材料がありますし、つくりたいものに合わせて木材を提案してくれるかもしれません。住んでる地域に木材の相談をできるところが見つかれば、DIYがより一層楽しいものになりますよ。

「様々な樹種の木材が置いてあるお店は、入るだけでワクワクします」

そして3つ目におすすめなのは、東京・新木場にある「WOOD SHOP もくもく」のような木材専門店や、福島県の「きこりの店」のような林業や製材をしている会社が一般向けにも販売している店舗。こういう店舗は圧倒的に多様な樹種を取り揃えていて、品質もよいです。

日本の国土は南北に長く、地域によって気候も大きく変わるので、育つ樹種も異なります。そして木材の個性も多様になります。

多様な樹種がある店舗に行くと、それぞれの木材の個性に触れながら「我が家のダイニングにはどんな木材が合うだろう」と想像して買うことができます。これが木材選びの醍醐味ですね。

ぜひ一度、日本の樹木の多様さを感じられるような国産材の店舗へ足を運んでみてください。

木材を選ぶ時のワンポイントアドバイス

ものづくりや施工に携わる僕らが、木材を購入する時にいつもチェックしているポイントがあります。

それは、まっすぐかどうか。これが一番大切で、木材が曲がっていると長さが正確に測れなかったり、歪みの原因になってしまうので、せっかくの設計図も台無しになってしまいます。

まっすぐかどうかを見極める方法は、木材を立てて、上から片目をつぶって、手前の端と奥の端が重なるようにして見ること。まっすぐならぴったり合いますし、曲がっていたらズレます。

このように、木材を立てて上から見てみるとまっすぐかどうか分かる

特にホームセンターに並んでいる木材の中には曲がっているもの多くあるので、僕らが購入する時には必ず全てチェックしてから購入するようにしています。

個性豊かな国産材に出会える、日本全国の店舗リスト

建材屋や製材所だけでなく、国産材を取り揃えている店舗が日本各地にあります。

今回は、僕のお気に入りの店舗や、Facebookグループ「キノマチ会議 オンライン版」のみなさんに教えていただいた日本各地の店舗をご紹介します。

オンラインで買える店舗もいくつかありますが、今回ご紹介する店舗はぜひ実際に足を運んでもらいたい場所ばかり。旅行のついでに立ち寄ってみるのもいいかもしれません。

以前、大学時代からお世話になっていた方を通じて、岐阜県は中津川市・加子母へ行きました。森を歩いてから製材所で材を見せてもらい、軽トラいっぱいに木材を積み込んで帰りました。車いっぱいに詰め込んだヒノキの香りを、今でもよく覚えています。

実際に森に入って木を切る体験イベントなどに参加してみるのも楽しいですし、難しければ、店舗の近くの森をちょっとのぞいてみてください。どんな木が育っているのか、どんな空気や時間が流れているのかを感じてみると、家に持ち帰る木材に特別な思いを持つことができると思います。

河野さんのおすすめのお店

WOOD SHOP もくもく(店舗:東京・新木場)

東京23区内にあるのに、品揃えは都会とは思えないほど充実している店舗。世界中の100種類以上の木材が、カットされた状態で購入できる木材専門店です。木曽ヒノキ、青森ヒバなど国産材の板材も販売しています。

店内には端材をグラムで販売しているコーナーもあり、ほしい樹種があれば、比較的リーズナブルな値段で購入することができるそうです。

NPO法人 森の生活(店舗: 北海道・下川町)

北海道には、本土では育たない針葉樹から広葉樹まで幅広い樹種の木が育ちます。中でも、明治時代から木材を使った産業がはじまった旭川は、「家具の街」とも呼ばれているそうです。

「NPO法人 森の生活」は、地元の広葉樹資源を無駄にしたくないという思いから、北海道下川町でとれたナラ、タモ、シラカバ、クルミ、センなどの広葉樹をプロ向け・一般向けに販売しています。広葉樹のオーダーメイドの天板も魅力的です。

「我が家のフローリングは森の生活で購入した下川町のカラマツを使っています。北海道の森に流れる「もうひとつの時間」を感じられる、お気に入りのフローリングです。」(河野さん)

西粟倉 森の学校(店舗:岡山県・西粟倉 / オンラインショップ)

西粟倉 森の学校では、「ユカハリ・タイル」という無垢の杉材のフローリングタイルを取り扱っています。これは、畳の上や賃貸でも無垢の床が叶うアイデア商品。サンプルを送ってもらうこともできるので、実際に手触りや色味を確認してから取り入れることができますよ。

「西粟倉へは実際に行ったことがあって、森にも入らせてもらいました。やっぱり、森を見てから木を買える喜びは何にも変えられません。」(河野さん)

きこりの店( 店舗:福島県・南会津 / オンラインショップ )

無垢の木がもつエネルギーを多くの人に感じてほしいと、伐採、製材、販売まで一貫して取り扱っている「きこりの店」。広い店内には多種多様な樹種、様々なサイズの木材が所狭しと陳列されています。河野さんのオフィスにあるくるみの木も「きこりの店」で購入したものなのだそう。

オフィスに飾ってあるくるみの木と河野さん

「オンラインで買える店舗(キノマチ会議オンライン版メンバーおすすめのお店)」

eTree(オンラインショップ)

「誰でも入れる 誰でも買える インターネット木材市場」の「eTree」。国産材を中心に、杉やケヤキ、カエデなど約30の樹種の柱や板、端材などを取り扱っていて、その合計はなんと740点以上。

サイトには木材業者の紹介ページや商品の特徴などを掲載しているほか、木材の販売にとどまらず、表面加工、塗装、脚加工まで行います。

また、こちらのサービスは「キノマチ会議 オンライン版」のメンバーでもある、株式会社森未来 代表取締役CEO浅野純平さんが立ち上げた事業です。2020年7月からプロ向け木材サンプル送付サービス「eTREE DASH」も開始しています。

(情報提供: 浅野純平さん / 花田竹野さん)

SATO COMPANY(店舗: 東京・中野 / オンラインショップ)

「SATO COMPANY」は国産材で国内生産をされた木製パレットを取り扱っています。環境や資源について考えてもらいたいと、使い勝手のいい木製パレットがサイズや材料(国産杉材とヒノキ材)とパッケージになっているDIYキット「ワクワクパレットBOX」を発売中です。

(情報提供: Mariko Tatenoさん)

ReBuilding Center JAPAN(店舗: 長野県・諏訪 / オンラインショップ)

解体されてしまう建物の床板や床の間の板などを丁寧に剥がして手入れをし、古材として販売している「REBUILDING CENTER JAPAN」。日本の家屋として長年使われてきた古材には、古材ならではの味や雰囲気はもちろん、どこのどういった建物からレスキューしたかをレスキューナンバーで管理しています。中には輸入禁止材や、今ではほとんど取れなくなってしまった木も。

それぞれの古材が国産材かどうかは確認が必要なので、購入の際に聞いてみてくださいね。

(情報提供: 東野唯史さん / 原田タケヒロさん)

「中部エリアの店舗(キノマチ会議オンライン版メンバーおすすめのお店)」

飛騨の森でクマは踊る(岐阜県飛騨市)

「飛騨の森でクマは踊る」ではオンライン販売はしていませんが、飛騨の拠点にカフェと宿泊施設併設しています。実際に訪れると、多様な国産広葉樹の中から木を選んで買えるだけではなく、森に入ったり製材所を見たり、木工職人さんなどと交流したりすることもできるのだそう。

カフェに併設されている木工房で試作することも可能なので、木を買うだけでなく、木のことを理解したり、つくるものやつくり方のインスピレーションも持って帰ることができる場所なのだそうです。

(情報提供: 松本剛さん)

コンビニエンスストア Yショップニシ(長野県・大町市平)

長野県大町市木崎湖のほとりにある「Yショップニシ」では、地域で森林整備を行う(企)山仕事創造舎が生産した木を、DIYで使いやすい木材に加工し販売しています。これは、(株)山川草木 香山さんによるプロジェクトで、販売される材はどれも伐った時期や場所、樹種名が値札に記されており、湖や山に遊びに来られた方にも「帰り道に何をつくるか想像して楽しめる地物のお土産」として喜ばれているそうです。

コンビニエンスストアという一番暮らしに身近な場所で地域の木材が手に入るのは、とても素敵な取り組みですね。

(情報提供: 原田岳洋さん)

ツバキラボ(岐阜県・岐阜)

ツバキラボは、プロ仕様の本格的な設備と広いスペースを持つ会員制木工シェア工房。材料の調達から相談することができ、岐阜県産材の針葉樹から広葉樹などを常時20種類も用意しているのだそう。利用者は一般の方からプロの木工家や建築家までいます。木工旋盤を使った木の食器づくりから ダイニングテーブルやいすなど 本格的な家具を作れます。

木材だけの購入も可能で、必要であれば、その場で指定した寸法に切り出しもしてくれます。

木や木工の書籍をたくさん備えた、コーヒーなど飲めるサロンスペースもあります。木のことでお困りごとがあれば気軽に相談できる場所です。

(情報提供: ツバキラボ 和田さん / 松本剛さん)

「関西エリアの店舗(キノマチ会議オンライン版メンバーおすすめのお店)」

吉野中央木材株式会社 (奈良県・吉野)

奈良県吉野で育った、曲がりが少なく色艶がある良材を取り扱っている「吉野中央木材」。
代表の石橋さんは気さくな方で、小ロットから大ロットまでフレキシブルに丁寧に対応してくださるそうです。

(情報提供: 佐野亮さん)

(店舗リストここまで)

次回は、いよいよ「暮らしからはじめるキノマチ」連載も最終回。

『杉でつくる家具』の著者・gyutto designの大沼勇樹さんをお迎えし、戦後から現代まで70年続く「家庭のものづくり」の歴史や、国産材と地域をつなぐためにできることについて、対談形式でお送りします。

(構成: 森野日菜子
(写真: 荒川慎一)

– INFORMATION –

2024年は先着300名無料!
10/29(火) キノマチ大会議 2024 -流域再生で森とまちをつなげる-


「キノマチ大会議」は、「キノマチプロジェクト」が主催するオンラインカンファレンスです。「木のまち」をつくる全国の仲間をオンラインに集め、知恵を共有し合い、未来のためのアイデアを生み出すイベントです。

5年目となる今年は2024年10月29日(火)に1DAY開催。2つのトークセッション、2つのピッチセッションなど盛りだくさんでお届けします。リアルタイム参加は先着300名に限り無料です。

今年のメインテーマは「流域再生で森とまちをつなげる」。雨が降り、森が潤い、川として流れ、海に注ぎ、また雨となる。人を含めて多くの動植物にとって欠かせない自然の営みが、現代人の近視眼的な振る舞いによって損なわれています。「流域」という単位で私たちの暮らしや経済をとらえ、失われたつながりを再生していくことに、これからの社会のヒントがあります。森とまちをつなげる「流域再生」というあり方を一緒に考えましょう。

イベントの詳細はこちら

暮らしからはじめるキノマチ 連載一覧

第1回 DIYは「生きる力」であり「態度」だ。木と人と、ともに生きる豊かなDIYをはじめよう。
第2回 道具を知ることで、人と木の関係を学ぶ。DIYを長く楽しむための三種の神器の使い方。
第3回 イメージ集めと下調べがDIY成功の秘訣。変化させながら長く使えるものづくりの、5つの準備ステップ
第4回(本記事) DIYのための国産材はどこで買える?木材の選び方のコツとオススメのお店

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