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イメージ集めと下調べがDIY成功の秘訣。変化させながら長く使えるものづくりの、5つの準備ステップ

まちと森がいかしあう関係が成立した地域社会を目指し、竹中工務店、Deep Japan Labとグリーンズの共同で運営している「キノマチ会議」。2020年は国産材を使い、自分の手で木のある暮らしをつくっていくことの魅力を探るコラム連載「暮らしからはじめるキノマチ」を展開しています。

第3回目となる今回まで、「ともにつくる」をコンセプトに活動する「つみき設計施工社」の河野直さんを連載ナビゲーターにお迎えし、国産材を使ったDIYの魅力、道具を知る大切さ、そして道具の基本的な使い方をご紹介してきました。

読者のみなさんの中には「準備はOK。早くDIYをしたい!」と思ってくださっている方もいるかもしれません。道具も揃って、正しい使い方も分かったら、とにかく何かつくってみたいですよね。

でも、いざDIYを始めようとすると「つくりたいもののイメージが湧かない」「どうやって設計したらいいのか分からない」なんてことも・・・。今回は、DIYでつくるもののイメージの仕方、設計の仕方、材料の買い方など、具体的なヒントを河野さん夫妻にたっぷり聞いてきました。

理想的な既製品があるならそれもいい。じゃあ、DIYでなにをつくる?

河野桃子さんと河野直さん。桃子さんはつみき設計施工社共同創業者であり、手づくりの暮らしを学ぶつみきの学校を主催。

桃子さん 私たちも昔はそうだったんですが、DIYをはじめたての人は道具や材料にも費用もかけずに最小限でやろうとしますよね。そうすると、あまりクオリティの高いものができないのが現実。買ったほうが楽だし、よかったかもしれないなと思うこともありました。

直さん 僕らはそれを「DIYゴミ」って言っています(笑) 何も考えずにたくさんつくって、たくさん捨ててきましたね。

桃子さん 正直、既製品で理想的なものが納得できる価格で買えるなら、無理してDIYをしなくてもいいと思うんです。

DIYをすることのメリットは、既製品じゃ手に入りにくいデザインや機能だったり、自分らしいテイストのものをつくれること。また、一枚板のテーブルのように既製品だと高価で手が届きにくいものも、DIYなら手の届く範囲でつくる方法があることです。

もうひとつのモチベーションとして、ギフトとしてDIYをするのはいいなと思っています。たとえばこの木馬は、娘の誕生日につくりました。

桃子さんがDIYをした木馬

桃子さん 全部ノコギリをつかって切って、曲線も少しずつ切ってはヤスリをかけてを繰り返してこの形にしていきました。

思いを込めてつくっている時間が、私にとっては幸せでしたね。

直さん DIYでギフトするって、一番思いが伝わると思います。暮らしの中で不便があって家族のためにもそれを解消しようとつくるDIYも、立派なギフトです。

どんな人に、どんな風に使ってもらいたいかとイメージすることが大切ですね。

DIYは変化を前提に、直し続けることに醍醐味がある

直さん 最近はテレビやSNSでDIYが話題になることが増えました。その多くの場合、おしゃれだったり、かっこよかったり、今までにないデザインだったりする「DIYをした完成品」にフォーカスが当たっています。

それを見ていて改めて思ったのは、DIYの本当の魅力はその過程にあるということ。完成も、長い過程の中のある一瞬にすぎません。つまり、DIYに終わりはなくて、完成しても直し続けること、よりよくし続けることにおもしろみがあるということです。

失敗したらやり直したらいいし、状況に応じてつくり変えていけるのがDIY。もっとこうしたらいいのではないかと理想を追い求め続けてつくっていくことが、DIYライフなんじゃないかと思っています。

直しながら暮らすことに幸せを感じるのは、きっと僕らの世代が、ほしいものをお金を払って手に入れることではなく、本当にほしい暮らしを考え続けたり、それを手に入れようとする過程自体に、自由と幸福を感じる世代だからなのかもしれません。

桃子さん そうですね。自分でつくったからこそ、変化させて手を加えていけるというのがDIYのいいところだと思っています。

子ども部屋につくった棚は、まさに直しながら使っているもの。

子ども部屋の収納棚。無印良品の収納ボックスが入るように設計されている

桃子さん 子どもの持ちものは年齢によってすごく変化しますよね。今はおもちゃや絵本やぬいぐるみですが、将来的には教材などに変わっていくと思うので、中身の変化にも対応できるよう棚の高さを変えられる設計にしました。

この棚は1回つくってみてから小さな絵本を収納する場所がほしくなったので、一段だけ奥行きを狭くつくり直しました。

直さん DIYは変化を前提にしてつくればいいし、失敗してもまたつくり直せばいい。とにかく、既製品では味わえない、理想を追い求める自由や手を加えていく自由を感じてもらいたいです。

イメージ固めから設計図まで。材料を買うまでの5つのステップ

既製品にはないものや、ギフトとして贈りたいものなど、どんなものをDIYしたらいいかイメージが湧いてきました。ぼんやりとつくりたいものが浮かんだ次は、どうやってイメージを固めたり、設計図を書いていけばいいのでしょうか?

材料を買いに行くまでのステップについて、イメージを固める0番目のステップから教えてもらいました。

0. Pinterestなどでつくりたいもののイメージを固める
1. サイズを測る。収納するものがあればそのサイズも測る
2. 一本線で図面を書く。この時点で決まっているサイズなどを書いておく
3. 材料屋に行って、どんな材料が手に入りそうか探す
4. 一旦カフェに入って、図面を二本線にする
5. 実際に材料を買う

ステップ1.2.3.4のイメージ

0. Pinterestなどでつくりたいもののイメージを固める

桃子さん 
せっかく時間をかけてつくるので、一番いいものをつくりたいですよね。なので私は、まず自分の理想的なものってどんなものだろうと探すことからはじめます。

イメージを固めるときにおすすめのツールは、PinterestやGoogle画像検索です。以前、部屋の壁の色を変えようと思ってイメージを探していたときのPinterestのボードはこんな感じ。

どんな壁がいいかイメージを集めたボード。写真奥に写っているのが実際に塗った壁

直さん このときのポイントは、ちょっとでも気になったらピンをして、とにかく数を多くすること。20個くらいイメージが集まると、言葉にできなかった自分の理想が浮かび上がってくるんです。

桃子さん 既製品を買うときは、機能もデザインもトータルで理想的なものを探さないといけないけれど、DIYなら要素を自分で組み合わせていくことができます。

機能的にはこれで、形はこれで、色はこれがいいなって、要素を抽出して自分のほしいもののイメージを固めてみてください。

1. サイズを測る。収納するものがあればそのサイズも測る

直さん イメージが固まったら、つくったものを置きたい場所のサイズと、収納したいもののサイズを測って、メモに残します。

ここでポイントなのは、収納したいもののサイズをしっかりと測っておくこと。収納ボックスを入れたい場合は、そのボックスを取り出しやすいサイズにすることが必要です。

メジャーの使い方は、前回の記事を参考にしてみてくださいね。

2. 一本線で図面を書く。この時点で決まっているサイズなどを書いておく

まずは一本線で書いていく

直さん サイズが一旦決まったら、一本線で簡単な図面を書いてみましょう。この時点では、材料の厚みは無視しても大丈夫。つくりたい形がわかり、必要な寸法がわかれば十分です。この図面を持って材料を探しに行きます。

3. 材料屋に行って、どんな材料が手に入りそうか探す

直さん 多くの人が材料屋に1回だけ行ってその場で買ってしまうと思いますが、僕らは絶対に最低2回は行きます。なぜなら、どんな材料が手に入るかは行ってみないと分からないし、材料次第で設計図も変わってくるから。

設計図に合う材料はどのくらいあるか、イメージにあう木材はあるか、どんなサイズの木材があるかなど、1回目は情報収集のために行っています。

材料を探すときはホームセンターもいいですが、ぜひ国産材を置いている店にも行ってみてください。どんな場所で国産材を売っているかは次回の記事で詳しくご紹介しますが、まちの建材屋が一般の人に材料を売ってくれることもあります。

4. 一旦カフェに入って、図面を二本線にする

木材の厚さがわかったら、二本線にする。設計図を描くときは方眼紙がおすすめ

直さん 集めてきた材料の情報を元に、図面を二本線にして完成させましょう。僕らはいつも、一旦カフェに入って考えています。

棚であれば木材の厚さによって全体の寸法が変わります。収納したいものが間違いなく入る様に、必要に応じて全体の大きさ、あるいは中の寸法を変えるかなど検討を行います。

この整理の時間を持つかどうかで完成品のクオリティが左右されるので、ぜひ焦らずゆっくり考えてみてくださいね。

5. 実際に材料を買う

直さん 図面が完成したら、材料を購入してDIYのスタートです! こうやってしっかり準備をしてからお店に向かえば、サイズのミスやイメージとの乖離も防ぐことができますよ。

この3つで子どもの椅子もつくれる。DIYで使いやすいおすすめ国産材

直さん 最後に、どこでも手に入りやすくて、色々なものに使いやすい国産材をご紹介します。全部の材料を国産材にしなくても、天板だけ国産材にするなど一工夫することで、より愛着の湧くものができ上がると思いますよ。

僕がおすすめしたいのは、やっぱり杉。DIYにぴったりな木材です。軽くて柔らかいので加工がしやすく、何よりも安価なのでトライ&エラーしやすいというのが、DIYと相性のいい理由。

中でも、以下のようなサイズのものはDIYで家具をつくるなら使いやすい材料です。

DIYで使いやすいサイズの3種類の木材

1. 杉 厚さ13mm × 幅90mm

3.6m材で400-500円程度 

販売店によって若干厚みと幅が小さいことがありますが問題ありません

直さん 杉材かつ薄いので、柔らかく加工しやすいのが特徴の材。並べて使えば幅広い面もつくれます。壁や屋根の下地で使う材なのでとても安価で、失敗しても気にならないため、初心者におすすめ。

1. 杉 厚さ30mm × 幅40mm

4m材で400-500円程度

壁の下地材として使う材料で、とても安価

直さん 13mm × 90mmと同じように、加工しやすい杉材。テーブルや棚の脚などにも使うことができます。

3. ラーチ合板 厚さ12mm

通常畳サイズでの販売で1200円程度

販売店によって、小サイズのものや切れっぱしが数百円であることも

直さん ラーチとは、杉のような針葉樹の木のなまえ。ラーチ合板のほとんどは、国産の杉かヒノキでつくられています。天板の下地など、大きな面をつくる際に役立ちます。

家で切るのもいいですが、時間も手間もかかるので、ホームセンターで切ってもらうのがおすすめ。

この3つの国産材を使って、たとえばこんな子どもの椅子だってつくれちゃいます。

この子ども椅子は、私たちが10年前につみき設計施工社をはじめた頃、大工さんに教えてもらいながらDIYでつくったものです。ぜひみなさんも、身近な場所で国産材を手に入れて、つくってみてください。

連載第5回目で、この子ども椅子をつくるための設計図と手順をお伝えしたいと思っています。お楽しみに。

(構成: 森野日菜子
(写真: 荒川慎一)

暮らしからはじめるキノマチ 連載一覧

第1回 DIYは「生きる力」であり「態度」だ。木と人と、ともに生きる豊かなDIYをはじめよう。
第2回 道具を知ることで、人と木の関係を学ぶ。DIYを長く楽しむための三種の神器の使い方。
第3回(本記事) イメージ集めと下調べがDIY成功の秘訣。変化させながら長く使えるものづくりの、5つの準備ステップ

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