会議室にコワーキングスペース、プレゼンピッチの会場。さらにランチやバーもあって、ヨガもできて仕事も探せる。そんな機能が整った施設が、なんと屋外に揃っている!
カナダのモントリオールにつくられた、「airecommune」はそんな、夏場だけの野外空間。平日の昼間は、コワーキングスペースや会議室として、それ以外の時間はイベントスペースとして、さまざまな催しが行われています。
「airecommune」は輸送のコンテナと合板でつくられていて、共用の大きなテーブルとライト、日よけの大きなパラソルが置かれています。他にもプロジェクター、Wi-Fi、コンセント付きの作業台、会議室、カフェ、バー、レストランなども完備。屋外のコワーキングスペースは、屋内でできた人と人とのネットワークを補完したり、起業家が専門家とつながる機会をつくっています。
また、屋外で仕事をすることを#greendesking(グリーンデスキング)と呼ぶようですが、その利点がいくつかあると言われています。具体的には、身体的精神的な健康の改善、ストレスレベルの低下、精神エネルギーの回復、短期記憶の改善、集中力の向上、より鋭い思考と創造性が養われるなど、心と体にとってもよい効果があるようです。(出典元: The Nature Conservancy)
「airecommune」をプロデュースしたのは、文化的、専門的、芸術的なプロジェクトを通じて都市空間を活性化することを使命としている、「ILOT84」というNPO。ディレクターのMarie-Pier Tessier De L’Étoile(マリー・ピエール・テシエ・ド・レトワール)さんは、
人々がつながり、交流できるスペースをつくる機会を得ました。テーブルがいっぱいあると、昼食時、人々が一緒に話をすることができます。
と話しています。
ここにはもともと偉人が住んでいた場所を示す記念板がありましたが、数年前に撤去されました。その後、自治体の未使用の土地を有効活用する目的ではじまったのが、「airecommune」なのだとか。2017年に1ヶ月限定で試験的に営業したのち、2018年は5月から9月にかけて約9万人が訪れました。
日本でも、公共空間を有効活用しようという動きは各地でみられています。東京駅近くの「丸の内仲通りアーバンテラス」は、平日は11:00~15:00、土日祝は11:00~17:00までテーブルと椅子が置かれていたり、池袋の「IKEBUKURO LIVING LOOP」は、2019年は10月18日〜20日の3日間で大通りにハンモックや家具を置いて、マルシェやワークショップを開催したそうです。その他にも、河川敷の橋脚に映画を映して食事と雰囲気を楽しむ「ねぶくろシネマ」があったりと、公共空間の楽しみ方もさまざまです。
従来は、学びは学校、仕事はオフィス、飲食はお店、といったように、それぞれの目的ごとに場所がつくられていました。「airecommune」のように、縦割りや分断をやめて、ひとつの場所で仕事も学びも遊ぶこともリラックスすることもできたら、そこはさまざまなニーズが満たされる、大人の遊び場になるのではないでしょうか。
子どもが公園で時間を忘れて遊び続けるように、大人たちも屋外でもっと遊ぶように仕事をしてもいいのかもしれませんね。
[via thestar.com 、treehugger、ilot84、airecommune、POSTMEDIA]
(Text: 山崎久美子)
(編集: スズキコウタ)