これからの社会・暮らしを体感する いかしあうつながりスタディツアー in バリ!

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編集長鈴木菜央が”僕と◯◯◯のいかしあうつながり”をテーマに不定期でコラムをお届けします。第1回目は犬です。昨年犬を飼い始めたという菜央さんファミリー。犬を通した家族や地域の人とのつながりについて考察しました。

昨年の9月、犬を飼い始めた。
娘がどうしても飼いたいと言い続けたので、根負けしたのだ(この話は長くなるのでまた次の機会に)。

ちょうど隣町の犬猫ふれあいセンターが閉鎖するとかで、7歳の黒いラブラドールレトリバー(オス)を引き取った。名前は「しげの」。なぜ「しげの」だったのかは犬猫ふれあいセンターの職員も「わからない」と。娘はなぜか「リリー」という名前にしたかったようだけど、近所の一人を除いて、誰もリリーと呼んでくれず、「しげの」に定着した。

犬は毎日の散歩が必要だ。そこで、今度こそダイエットを成功させたいと思っていた僕は、散歩を「ワークアウト」だと思うことにした。

万歩計をつけて、朝夜の散歩で合計1万歩を目指すことにした。ワークアウトは自分ひとりだとやる気がしないが、犬がいると、雨が降ろうが暑かろうが散歩に行かざるをえないので、習慣化しやすい。犬の散歩とワークアウトを重ね合わせることで、別の時間をとる必要がなくなった。それと、昔は散歩を一人でしていたけど、周りの目が気になって、長い時間散歩できなかった。田舎だと一人で歩いていると必ず知り合いが車を停めて「あれーなおくんどうしたの? 車壊れた? のっけてこうか?」とか声をかけてくるのでめんどくさいのだ。

今は、犬がいるから、いくらでも散歩ができる。すばらしい! そういうわけで半年経った今も、散歩の習慣は続いている。ぜんぜん痩せてないけど。

犬を飼いはじめて、明らかに近所の人との会話が増えた。犬を飼っている人同士はもちろん、飼っていない人でも、犬がいるとやたらと話しかけられる。みんなが犬を飼う理由は、外に出られるから、そして近所の人とのコミュニケーションが増えることにあるかもしれない。そうでもしないと、いまどきの一人暮らしの老人は誰とも話さずに一日が終わっちゃうだろうね。それは寂しすぎる。

ある日、犬が脱走した。朝起きたら、どこにもいない。困ったなぁ。

犬を飼っている仲間に知らせたところ、みんなで探してくれて「◎◎さんちの前にうんこがあって、大きさから言ってしげののはずだ」みたいな情報を寄せてくれたり、脱走した犬を探すコツを教えてくれた。数時間後、妻のバレーボール仲間が、6キロ先の隣町につづくトンネルの前で見つけて、保護してくれた。そのあと、犬を飼っている人に会うたびに、いろんな脱走話を聞いた。大変だったねぇ、とねぎらいあいながら。困ったことがきっかけで、近所の人との絆が深まった気がする。

そのあと1週間と経たずに2回脱走したけど、恥ずかしすぎて自分たちだけで探したよ…。(すぐに見つかってよかった)

犬を飼い始めると、わからないことだらけだ。不安で吠える、ごはんのこと、トイレのこと、病気など。だから、いつもパートナーと話し合って、あーでもない、こうでもないと試行錯誤を重ねている。うまくいけば「今日はこうだったよ」と話し、うまくいかなかった時は「なんでだろうね」と話す。家族で共通のチャレンジがあることで、家族の関係が深まるのは、とても良い。ケアしなくては生きられない弱い存在がいることが、周りの人の関係性を豊かにするのだ。

犬っていつから人と暮らすようになったんだろう。ぐぐってみた程度の浅さだけど、数万年前から一緒に暮らしているようだ。

犬の祖先は狼。最初は人間の集落に近づいてきて残飯をもらったり、狩りについてきて、獲物のおこぼれに預かっていたらしい。徐々に人間も狼の嗅覚、侵入者を追い払う能力、獲物を追う性質に気づき、お互いに恩恵を受けるカタチで関係性が深まっていったようだ。

そんな狼と人間の子孫である僕らは、今日ものんびりお散歩。野うさぎがいると、しげのも追いかけようとする。が、野うさぎが茂みに入っていった場所すら見つけられない。猟犬としては、まったく役に立たないようだ。では番犬として役に立つかといえば、知らない配送業者のおじさんにもまったく吠えず、しっぽを振って近づいていく。番犬としても、まったく役に立たない。期待していないけどね。

最近は、犬の散歩をしながら瞑想することを試している。自分の体、心の状態を観察して、叶えられていないニーズを探る。自分とのチェックインみたいなものだ。

体が冷えてる、
疲れが残っている、
のどが渇いている、
なんか不安がある……
そんな声が聞こえてきたら、それをケアする時間をその日のうちに取る。

瞑想は自宅でもできるけど、やること(パソコン、携帯、洗い物とか)が目に入ってくると、つい瞑想を後回しにしてしまう。だから散歩には携帯電話を持っていかない。犬の散歩は強制的に確保されるので、その状況を、健康のために活かしているのだ。

最近、犬の散歩をもっと有効活用できないか、考えている。梅雨時になったら、桑の実を集めよう。秋にはクリを拾って。くるみの木もたしか合ったはず。そのためには、樹木や植物について、もっと勉強したいな。もしかしたら、道端に落ちている枝を集めたら、薪ストーブの燃料になるんじゃないか? 今の家には薪ストーブがまだないので、これを機会に、薪ストーブをDIYするか……。

こうして、犬がいる生活を、さまざまな方向からできるだけつなげていこうと思っている。暮らしの中の豊かさ、幸せは、多様な「いかしあうつながり」の中にあるので。