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捨てるなんてもったいない。じゃあ、食べちゃえ! ニューヨーク発”食べられるストロー”「LOLISTRAW」開発の裏にあった、当たり前に違和感を持つこと。

最近、プラスチックゴミがもたらす海上汚染や動物への悪影響について耳にすることが増えました。スターバックスやマクドナルドなどを筆頭に、プラスチックストローを廃止する企業の動きも活発です。

ところが一方で、2018年に紙ストローを導入したイギリスのマクドナルドでは、「プラスチックのストローに戻してくれ!」という署名が3万人以上も集まりました。どうやら、「紙ストローでジュースを飲むとふやけて気持ちが悪い」「シェイクを飲んだらストローが溶けてしまった」といった、紙ストローへの不満が原因のようです。

そこで今回ご紹介するのは、海藻からつくられたストロー「LOLISTRAW」。見た目も機能もプラスチックのストローそっくりですが、燃えるゴミとして出すことができます。そしてなんと、食べることも!


ただ食べれるだけではありません。グルテン、糖、遺伝子組み換え不使用の100%植物ベースでつくられている「LOLISTRAW」。もし捨てられて海に流れてしまっても、たった数週間で生分解されてなくなるんです。さらに、原材料に使われている海藻はCO2をよく吸収するエコ資材。「LOLISTRAW」をつくるためにはこの海藻を育てなくてはいけないので、「LOLISTRAW」は、使えば使うほど地球に優しいストローというわけです。

「LOLISTRAW」の原材料となる海藻

使い勝手も紙やプラスチックのストローに負けていません。紙のストローは使っているうちにふやけてしまいますが、「LOLISTRAW」はドリンクに入れて17時間は使い続けることができるのだとか! そして、食べられるにもかかわらず保管期限は2年間と長め。将来的に紙のストローと同じくらいの値段を目指しているそうで、プラスチックストローの代替品として注目されているのにも納得です。

野菜や炭などで色つけされた「LOLISTRAW」。フレーバーや栄養があるものも。

「LOLISTRAW」を開発したのは、ニューヨークに拠点を置く「LOLIWARE」という会社。以前、greenz.jpでもご紹介した”美味しすぎて食べられちゃう”カップを開発した会社で、今では、毎年世界中で使われる約3,600億本のプラスチックストローをすべて「LOLISTRAW」に代用することを目指しています。

創業期からクラウドファンディングで開発資金やスポンサーを集め、MarriottやCarpe Diem Beach Resort & Spaというモルジブのリゾートホテルなどが次々と「LOLISTRAW」の採用を決定。2020年末には、ヨーロッパに年300億本の「LOLISTRAW」を生産する工場を開設予定だといいます。

長持ちなんてしなくていい。消えるようにデザインした。

「LOLISTRAW」を生み出すきっかけとなったのは、創設者の1人、Chelsea F. Briganti(以下、チェルシーさん)が、「全てのものは長く使えるものであるべき」という世の中の当たり前に疑問を持ったこと。

現在、毎秒推定1,000万トンのプラスチックが生産されています。また、これまでに製造されたプラスチックは消えることがありません。すべてがまだこの世に残っています。その結果が、私たちの海に漂う約5兆個のプラスチック片なのです。私はプラスチックこそ、長持ちするようにではなく、消えるようにデザインすべきだと考えました。

共同創設者のChelsea Brigantiさんと Leigh Ann Tuckerさん

プラスチックはどうあるべきなのか?
代用品を使うことで誰かが妥協していないか?

チェルシーさんは、「全てのものは長く使えるものであるべき」という当たり前を疑い、自分の中に生まれた違和感にしっかり耳を傾けました。だからこそ彼女は、わたしたち消費者の行動を大きく変えることなく、また、不快な思いや我慢を強いることもなく、地球規模のプラスチック問題に対しての解決策を考え出せたのではないでしょうか。

本気で解決したいことがあったら、みんなが「当たり前」だと思っていることをあえて疑うことから、始めてみませんか?
ちょっとした違和感の先に、大きな糸口があるかもしれません。

[via LOLIWARE公式HP, FastCompany, Kickstarter, positivr.fr]

(Text: 會田貴美子)