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自分のまちは自分たちの手で照らそう。人と人、人と場所、人と自然をつなぐ“竹あかり”の灯火

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夏の夜を幻想的に彩る“竹あかり”。電気を使ったライトアップとは違う柔らかな光と、まっすぐに伸びた美しい竹のフォルムに、思わず見とれてしまいます。

最近ではお祭りやイベントだけでなく、表参道の街頭ライトアップなど、私たちの身近なところでも使われるようになったので、目にしたことのある方もいるのではないでしょうか。今、この竹あかりを作りながら全国をまわり、そこにある意義と想いを伝えようとしている人たちがいます。ただ美しいだけじゃない、竹あかりの魅力をご紹介します。

まずは日本のあちこちで夜を灯している、竹あかりを鑑賞してみましょう。

みずあかり・シンボルロード(熊本)

みずあかり・シンボルロード(熊本)

みずあかり・坪井川(熊本)

みずあかり・坪井川(熊本)

小豆島(香川)

小豆島(香川)

富士まつり(静岡)

富士まつり(静岡)

表参道イルミネーション(東京)

表参道イルミネーション(東京)

場所を変え、形を変えながら、竹あかりは旅を続けています。生の竹を使用しているため、長くて2ヶ月、夏場は1ヶ月ほどしか使えず、どこの場所でも期間限定。でもだからこそ、より一層美しく感じるのかもしれません。

これらを手掛けているのは、熊本県・阿蘇を拠点に活動する創作ユニット「ちかけん」。池田親生(ちか)さんと、三城賢士(けん)さんのふたりで、竹あかりの創作・プロデュースを手掛けています。夏はイベントで全国を飛び回っているという代表の三城賢士さんにお話を伺いました。

自分のまちを自分の作ったもので飾る“まつり型まちづくり”

おふたりが竹あかりに出会ったのは大学時代。竹あかりを使った“まつり型まちづくり活動”に関する研究を行っていたそうです。

地域の方々と竹あかりのまつりを実施しているうちに、まつりの効果が日常にも派生していることを感じ、この研究を始めました。通常まちづくり活動というと、日常の繰り返しの活動を指すと思いますが、「まつり」という年に一度しかない非日常の活動を中心に据えるまちづくりもあるのでは、という研究です。

僕らが提案するまつりとは、有名人を呼んできてやるのではなく、そこに住む人々が、自分をまちを自分の作ったもので飾ろうということ。その過程で、人と人がつながり、人と場所がつながり、人と自然がつながる。たった1日や2日のまつりですが、準備は1年中やっていますし、竹あかりは、人が一つ一つ手作りでやらないといけないものです。多くの人によって、まちのことや場所の歴史、雰囲気を考えながらオブジェのデザインを考え、自ら作り、並べる行為ができることが竹あかりの魅力だと思います。

竹あかりの魅力は、誰でも作れること!

とはいえ、これだけ美しい作品を作り上げるのは、かなり高度な技術が必要な気がします。“自ら作る”ことなんてできるのでしょうか?

竹あかりは誰でも作ることができます。竹あかり自体の美しさ・きれいさも魅力のひとつですが、自分たちで作り、自分たちのまちを飾ることができることも大きな魅力だと思っています。その作業は、めちゃくちゃ大変ですが(笑)。だから、僕らのノウハウやデザインはどんどん教えます。日本中でやってほしいです! そして、それぞれのまちのオリジナルな竹あかりが飾れるとうれしいですね。“日本といえば、竹あかり”みたいにしたいです。

自分のまちに似合う竹あかりを、自分たちで考え、自分たちの手で作ることができるように。「ちかけん」では、自ら作品を作るだけではなく、竹あかりの制作指導や、竹でつくるワークショップなども行い、そのノウハウを伝えています。

ワークショップでノウハウを伝授!

ワークショップでノウハウを伝授!

竹の魅力と“竹害”の問題

竹あかりの材料となるのは、私たちにとっても身近な素材である竹。でも今、この竹の生育環境に問題が発生しています。

竹はいろいろな作品を作れるし、竹かご、竹炭や竹堆肥、竹のフローリング材や竹消毒液など、様々な効果や利用法があって、使えない部分はありません。竹のこも食べれるし、最高です(笑)。ただ、今、竹のこが中国産におされたり、竹かごなんかを使わなくなったことで、竹山を管理する人がいなくなり、あちこちで竹が異常に繁殖する“竹害”が起きています。それを少しでも解決できたらと思い、「ちかけん」では循環型の活動をしています。僕らは年間に3m物の竹を1万本ほど使っていますが、それらは無駄無く再利用したいと思っています。

増え過ぎた竹山の間伐材を使用して作った「ちかけん」の竹あかりは、使い終えた竹は竹肥料や竹炭として再利用しているとのこと。さらにその竹肥料を使い、無農薬・無化学肥料で営む農業プロジェクトを立ち上げ、竹の循環型利用に取り組んでいます。

竹あかりを日本のあかりのベースに!

活動を続ける想いについても聞いてみました。

たまに、竹あかりは“流行ってるよね”みたいに言われる事がありますが、僕らとしては、流行り廃りで考えられるのではなく、日本のあかりのベースみたいになればいいなと思っています。花火が日本中で多くの人を楽しませているように、竹あかりも日本中に広がればいいなと。まずは作品を見て、あかりの美しさやロウソクの揺らぎによっての癒しや感動を感じてもらい、次は一緒に作ってもらいたいですね!

「ちかけん」の作品は、熊本だけじゃなく、7〜8月にかけては様々な地方で鑑賞することができます。8月26日には、東京・明治神宮でのイベントにも登場する予定なのだとか。詳しくは「ちかけん」公式ホームページにてイベント情報をチェックしてみてください。

電気を使わない、日本ならでは美しさを持った“竹あかり”。その灯火は、私たちに、自然のこと、まちのこと、人のことについて考えるきかっけを与えてくれているようです。

美しい作品が並ぶギャラリーも必見!