ブリティッシュ・カウンシルとロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド(LRQA)が、若いエコ社会起業家たちを応援するために共同開催している「E-idea コンペティション」。昨年日本で行われた第一回目では9名の環境リーダーが各賞を受賞し、それぞれのプロジェクトにとって大きな飛躍のチャンスをつかみました。(昨年の様子はこちらの記事をチェック!)
そして今年、第2回「E-idea コンペティション」の開催が決定しました。今年は一気に規模を拡大し、アジア太平洋地域の7カ国での開催です。国籍や文化の異なる若者向けプロジェクトで数多くの実績を持つブリティッシュ・カウンシルならではと言える国際色豊かなコンペティション、いったいどんな展開が待っているのでしょうか?
E-idea コンペティションが募集しているのは、学生・社会人問わず、18歳から35歳までの若者たちによるグッド・アクション。特に、各国の持続可能性に関する課題に焦点を当て、その地域の将来の環境に大きな貢献をもたらすプロジェクトの参加を求めています。まだアイデア段階のプロジェクトでも、すでにビジネスとして動き出しているものでも、どちらでもOK。新しいアイデアには「スタートアップ賞」(助成金40万円)、既存プロジェクトの拡大には「ステップアップ賞」(助成金60万円)が、それぞれ最大3つのプロジェクト、計6プロジェクトに贈られます。
そして、受賞後に参加可能となる多様なプログラムが用意されているのも、E-idea コンペティションの大きな魅力。受賞者は、その他の参加国の受賞者と共に、海外での研修やネットワーキングに参加することができるのです。さらには、それぞれのプロジェクトに合わせたメンタリングサポート(※)も提供されます。同じ志を持った海外の若手社会起業家たちとの交流、そしてきめ細かなサポートは、その後のプロジェクトの拡大にプラスになること間違いナシ。受賞者には助成金だけではなく、このような大きなチャンスも用意されているのです。(※)状況・フェーズを見極め、適した専門的なアドバイスやサポートを継続的に行うこと。
応募締め切りは、7月3日(日)。みなさんのE-idea(いいアイデア!)、このチャンスにぜひ、応募してみてはいかがでしょう?募集要領はこの記事の最後に。チェックをお忘れなく!
昨年受賞者レポート:川瀬暁子さん
さて、ここからは1年前のE-idea コンペティションの受賞者の気になるその後をレポートします。
今回ご紹介するのは「廃タイヤのリメイク・サンダルによるエコビジネス」で3位を獲得した川瀬暁子さん。国際協力のボランティアスタッフとしてケニアに滞在経験を持つ川瀬さんは、廃タイヤと古着やバッグの皮でサンダルを作っている青年との出会いから、その商品を日本で販売することによって生産者を支えるグローバルビジネスで、E-idea コンペティションに参加しました。当時、プロジェクトはまだ個人ベースで販売している段階で、ビジネス化には至っていませんでした。しかし、受賞を機に助成金を活かして念願のケニアへ渡航し、約半年に渡る滞在で、プロジェクトを大きく成長させることができた様子です。帰国後の川瀬さんに、ケニアでの活動について聞きました。
2010年7月より2011年2月の間は、ケニアを拠点に活動しました。生産面の強化のために、サンダルをつくる職人と材料調達、現場づくりなど、試行錯誤を繰り返し、リサーチを続ける期間でした。定期的な販売会を開いて直接お客様の声を聞き、ケニアでの売上げは順調に伸ばすことができたといえます。
廃タイヤを使ったリメイク・サンダルは、現地に住む日本人、旅行客などからも高評価を得て、現地ではリピーターも増え、知名度を高めることに成功したとのこと。サンダルには「世界中を1000マイル以上も走り回ってきたタイヤから世界を考えたい」という想いを込めて、『Genuine10000miles』と名付け、プロジェクトのホームページも作成。プロジェクトの発起人でありパートナーの山本順子さんと2人で、ビジネス化に向け順調に歩みを進めているようです。
でも、一番の目的である生産面の強化では、何度も壁にぶつかりました。サンダルをつくる職人は、アーティストといえるほど発想力に富み、芸術性が高いのですが、基礎教育の部分が非常に弱いのです。基礎教育をしっかりと受けていない彼にとって、どんなに生産能力が高くとも、金銭の管理ができない、字が書けないため契約書が結べない、金銭を周りから要求される、何より、自分の分からないことへの恐怖心が彼を苦しめました。私たちと仕事を大きくしていくという目標が、過剰な期待をうみ、生産性向上へのブレーキとなってしまったのです。
貧困の最大の原因ともいえる基礎教育の欠如が、プロジェクトにとって大きな障壁となってしまったようです。さらに、郵送インフラにおいても問題が勃発。日本へ送ったはずの荷物が届かず、半年後にようやく到着するなど、まだまだビジネス化に向けた課題は山積しているのが現状です。それでも、アクセサリーやバッグといった同一コンセプトの新商品開発にも意欲的に取り組むなど、川瀬さんは今後に向けて着実に成果を挙げています。
E-ideaの賞をいただき、現地での活動に即アクションがとれたからこそ、良いところも悪いところも、同時に学べた気がします。早い時期に学べて良かったんです。私たちの商品を欲しいと言ってくださる人がいるという確信はとれました。商品も着きました。これから日本の販路開拓に取り組んでいきたいと思います。
どんな困難にぶつかろうとも前向きに捉える川瀬さんの言葉からは、現地に足を運んで肌で感じた経験から来る確かな自信を感じることができました。E-idea コンペティションが、このビジネスにとって、そして川瀬さん自身にとっても、大きなジャンプ台になったことは間違いないようです。
さて、今年の「E-idea コンペティション」からはどんな環境リーダーが誕生するのでしょうか?これからの社会を担う、熱い想いを持ったみなさんのご応募をお待ちしています!
– 名称:E-ideaコンペティション
– 主催:ブリティッシュ・カウンシル、ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド(LRQA)
<募集要領(日本)>
– 賞:スタートアップ賞 (各40万円×3)、ステップアップ賞 (各60万円×3)
– 応募資格: 日本国籍を有する18歳から35歳までの学生および社会人
1. 18歳から35歳までの日本国籍の方
2. 応募者は個人のみとしますが、団体の代表者からの応募も受け付けます。
3. リーダーとしての経験やプロジェクトマネジメント経験を十分に持つ方。
4. E-ideaの気候変動や持続可能性に関連する活動プログラムに幅広く参加
できる方。
5. 応募者またはプロジェクトメンバーのうち一人が、他の国の E-idea 受賞者
とともに国際ワークショップやネットワーキングイベントに参加する際に
必要となる、英語によるコミュニケーション能力を持っていること。
– プロジェクト基準
1. 応募プロジェクトは、次の持続可能性問題のいずれかひとつ以上に取り組む
ものとします:運送・交通、ごみの削減、エネルギーの削減と効率化、サステ
イナブルデザイン、クリエイティブ産業向けの取り組み。
2. プロジェクトは、対象とする人々の行動に測定可能な変化をもたらすための、
明確かつ実践的な目標を提示することができる必要があります。
3. プロジェクトは特定の地域社会または産業を対象とするものとします。
例:近隣・郊外地域、大学、専門セクター、文化活動コミュニティなど。
4. プロジェクトは将来の発展が可能な構成であるものとします。すなわち、
ブリティッシュ・カウンシルとLRQAからの資金提供が終了した後も、持続可能
であり段階的な規模拡大が可能でなければなりません。
5. プロジェクトには明確なコミュニケーションプランがなければなりません。
6. 選定されたプロジェクトは、広報資料におけるE-ideaロゴの使用などの
コミュニケーション規定に従うことが要求されます。
7. プロジェクトは2011年10月31日までに着手するものとし、この時点での進捗
報告の提出が求められます。2012年9月30日までに、プロジェクト目標に対する
短期的成果を達成することが期待されます。
– 応募方法:規定の申請書を使用し、メールにて応募。
→申請書ダウンロード http://jp.e-idea.org/
– 応募締切: 2011年7月3日(日) 必着
– お問い合わせ先、応募先: Eメール:science@britishcouncil.or.jp
– 選考および結果通知方法:
書類審査を通過された方は2011年7月30日(土)、および7月31日(日)に面接
審査を行い、9月に最終決定します。
※募集要領は各国で異なります。
※詳細はウェブサイトをご覧ください。www.e-idea.org