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私たちのお金を戦争に使わないで!NGOの提言にメガバンクが動き始めた!

Creative Commons, Some Rights Reserved, Photo by nodoca

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あなたは、銀行をどのように選んでいるだろうか。安定性?利率?もちろんそれも大事な指標だが、お金の流れを気にしてみると、ちょっと見方が変わってくる。

あなたが預けたお金を使って、銀行は企業や団体に融資を行っている。つまり、“銀行がどこに融資するか”によって、“預金者のお金が何に使われるか”が決まるということ。このため、あまり意識せずに選んだ銀行の融資先によっては、環境負荷の高い事業推進や、非人道的な兵器製造のために、あなたのお金の一部が使われている可能性もある。これは、紛れもない事実だ。

このような現実があったとしたら、あなたは黙っていられるだろうか?

今日は、こういった現状を伝え、あなたのお金を社会的に意義のあることに使うための貯金や投資の方法を教えてくれるNGOの活動を紹介しよう。

口座を変えれば世界が変わる

というメッセージを掲げ、私たちがお金の預け先を選ぶ手助けをしてくれる活動を続けているのが、国際青年環境NGO「A SEED JAPAN」エコ貯金プロジェクトだ。

経済の仕組みを環境によい方向にシフトしていくことを目的とし、2003年より、社会や環境にやさしい事業に融資している銀行を選んでお金を預ける“エコ貯金”を広めるための活動を開始した。

greenz/グリーンズ ecocho
エコ貯金プロジェクトのホームページ「エコ貯金ナビ

このプロジェクトが“エコ貯金”として定義しているものには、社会性の視点をもって銀行を選ぶことのほかに、NPOバンクなどへの出資や社会的責任投資(SRI)も含まれるが、まず初心者の私たちが知りたいのは自分の預けたお金がどのような使われ方をしているか、ということだろう。

そこで、エコ貯金プロジェクトが取り組み始めたのが、メガバンクに対する公開質問状の送付と回答の公開。多くの方がお金を預けている日本の3大メガバンク(三菱UFJフィナンシャル・グループ三井住友フィナンシャルグループみずほフィナンシャルグループ)に対し融資方針に関する質問状を投げかけ、このたび、3度目の質問状に対するメガバンクの回答をWebサイトで公開した。

投げかけられた質問には、

貴行は、環境・社会に配慮した取り組みを進める企業等に対しての何らかの条件を優遇した融資制度を導入していると伺っています。その環境・社会配慮型融資制度の適用条件をどのように定義されていますか?

といった社会的に意義ある企業への優遇策に関するものから、

貴行は、法令順守の融資審査/赤道原則遵守以外に、クラスター爆弾製造業のような環境・社会に悪影響を及ぼす事業や、それを実施している企業に融資を行わないための融資制限制度を導入していますか?

といった社会的にネガティブな影響を及ぼす企業への融資の姿勢を問うものまで、様々。私たちのお金の使われ方について、どれも気になる項目が並んでいる。

3回目となる今回の質問状に対する回答では、クラスター爆弾製造企業への投融資の問題について、三菱UFJFG、みずほFGが「検討中である」と回答し、大きな進展がみられた。具体的な取り組みについては、みずほFGは非公表であるが、三菱UFJFGは「内部における個別融資案件の資金使途チェックの1項目として検討し、一部で実施している」と回答しており、日本の銀行として先進的な取り組みと評価できる。10月にはクラスター爆弾製造企業への投融資についての国際的なキャンペーンがスタートし、日本の金融機関にも早急な対応が求められているため、今後の対応はさらに前進することだろう。

また、他の項目についても、「環境・社会配慮型融資の情報公開が進んでいること」や、「融資先の温室効果ガス排出量を計測するといった温暖化防止の具体的取り組みが進んだこと」が、ポイントとしてあげられる。

greenz/グリーンズ ecocho
エコ貯金ナビ」では、企業からの回答の全文(青字部分)が公開されている。

まだ発電事業に関する融資についての情報開示が進んでいないといった課題は残っているが、このようにメガバンクが少しずつでも動き始めているのは、A SEED JAPANが粘り強く続けてきた対話の成果だろう。

これまでA SEED JAPANでは、海外の社会的金融機関を招いた国際フォーラムや、市民と金融機関の対話の場となる「エコ貯金フォーラム」などを開催し、金融機関に対して提言を続けてきた。今回取材させていただいたエコ貯金プロジェクトの担当理事である土谷さんは、「メガバンクが社会的な方針にコミットすることで、企業が影響を受け、経済の流れ全体が社会的責任を意識したものに変わっていくと思います。そのために、これからも金融機関との継続的な対話が必要だと思います。」と、今後の活動にも意欲を見せている。

あなたがもしこの3大メガバンクのどこかにお金を預けているのなら、ぜひ一度、この回答を読んでみることをお勧めする。自分の選んだ銀行がどのような姿勢で社会と向き合っているか、おおよその考え方を知ることができるだろう。そして少しでも疑問を感じたら、“エコ貯金”を考えて見るのはいかがだろうか。

私たちの銀行を選ぶ眼が、社会を変える力になる得るのだ。
あなたのお金の使い道、もう一度考えてみませんか?