経済的にはかなり世知辛い世の中になってきた。就活中の学生も、リストラされた人も、これから転職を考えている人も、一体どんな仕事に就けばこの先安泰なのか、誰にも分からないような時代である。そんなご時世に、この先10年で“来そうな”グリーンなお仕事を、アメリカの例を上げてご紹介しよう。
■農家
アメリカにはたった200万人しか農家がおらず、しかも彼らの平均年齢は55歳である。オーガニックやエネルギー削減、フードマイレージなどを考慮すると、大規模展開が難しいところではあるが、そこをクリアできれば怖いもの無し。
■森林学者
世界銀行によると、およそ16億人の人が何らかのかたちで森林に頼って生活をしているらしい。森林に関するプロジェクトは、環境的な問題だけでなく、経済的な問題も複雑に関わった大規模なものになるため、スペシャリストが必要なのだろう。
■太陽光発電設置業者
これからのグリーンなエネルギーとしては欠かせない太陽光。世界にすでに77万もの関連会社があり、給与も比較的高額だが、2016年までは右肩上がりと予想されている。伸びしろはまだまだありそう。
■エネルギー効率建築業者
アメリカのエネルギーの48%をビルが使用し、温室効果ガスを放出している。エネルギー効率の改善については、オバマ大統領とアメリカ政府が明確にその必要性を打ち出しており、しばらくは安泰と見られる。
■風力タービン製作業者
代替エネルギーの中でも、今一番伸びているのが風力発電で、世界中に30万以上の仕事がある。アメリカでは5万人が従事しており、2007年には更に1万人増えたと言われている。転職するなら狙い目かも。
■自然保護生物学者
世界中の生態系の保護をし、政府や非営利組織、民間企業のために、その調査結果を生かしたり、専門的な指導をする。今後は、研究や調査に関する政府のサポートを増加すると言われており、オバマ大統領政府にもお約束された分野。
■グリーンMBA(経営学)とアントレプレナー(企業家)
ビジネスを合法化し、研究し、コンサルティングしていくことが、40万以上もあると言われるグリーンな仕事の大半を占めている。マーケティングからロハスの分野まで、企業をサスティナブルかつグリーンにしていくために必要な素養であり、人材である。
■リサイクル業者
アメリカにはリサイクル関係の仕事が100万以上ある。紙やプラスチックのリサイクル市場は、景気失速のため減退したが、鉄鋼のリサイクル需要はまだ高い。二次鉄鋼生産のために働いている人は、世界中で20万人以上。新しい法律では、電子廃棄物、衣料、ポリ袋、建築廃棄物などを、リサイクルで完結できる専門的な会社の必要性について言及されている。
■サスティナブルシステム開発者
風力発電所などの、グリーンな経済や社会に必要なシステムを設計、構築、メンテナンスできる、専門的なソフトの開発者やエンジニアの、幹部的な人材が求められている。大規模なリソースを使ったプロジェクトでの経験があるコーダーや、オープンソースやweb 2.0のアプリを開発できる人材は、この業界で強いだろう。
■都市計画プランナー
都会でも地方でも、都市計画がCO2排出量を減らすための一番の肝である。スプロール現象の制限、大量輸送機関の強化、自転車利用の奨励などは、これからの時代、非常時の災害対策と同じくらい重要になってくるだろう。地方自治体での仕事が多く、2016年までには15%雇用が増えると予測されている。
[via: FAST COMPANY]
アメリカの例は分かったけど、日本ではどうなのよ?というのが聞きたいところだろう。
まずは、この先10年を考える前に、今までの10年を考えてみよう。
10年前に、これから来そうな業界・分野と言えば「IT業界」だった。インターネットやパソコン、携帯、ネットに関わる諸々は、これからの生活に欠かせないものになるだろうという兆しが確実にあった。ITバブルなんて言葉もあったし、実際に出ては消えた仕事も会社も沢山あるけれど、インターネット関連の仕事、パソコンを使う仕事は、この10年でスタンダードになったと言っていい。
今の時代では、それが「グリーン業界」になるのだろう。ビジネスが伸びそうな分野や業界が見えていれば、あとはその方向に進むだけ。具体的な職種や実際の仕事は、その業界の枝葉のようなものだから、グリーン業界が伸びれば、自然と仕事の選択肢も増えるし広がりを見せる。
今はグリーンな業界とは全く異業種だったとしても、自分の仕事の領域でグリーンな仕事をクリエイトしてみる。自分の仕事をグリーンな方向に広げることはできないかと考えてみる。そうすれば、ここで紹介した仕事に就かなくても、この先10年グリーンな仕事をしながら楽しんで働けそう。
グリーンだからって「木を見て森を見ず」にはならないように、自分に与えられた能力を生かしながら、社会に貢献していきたいものだ。
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