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【Blog Action Day JAPAN(7)】日本発! 子どもの絵が世界を救う キッズ・アース・ファンド

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「Kids Helping Kids」という言葉のもとに、子どもが絵を描くことによって、心を解放し、自らの問題を解決する手伝いをしている「キッズ・アース・ファンド(子供地球基金)」というNPO法人がある。この活動は日本からはじまり、いまや世界各国の、多くは戦争などが原因の貧困に苦しむ子どもたちを助けている。恵比寿の東京本部を訪れ、話を聞いた。

greenz/グリーンズ キッズ・アース・カー

恵比寿の閑静な住宅街。この一角に「キッズ・アース・ファンド」の東京本部がある。入り口には、子どもの絵が描かれたクルマ「キッズ・アース・カー」が置かれていた。このクルマで、日本各地の小児病棟や児童養護施設などを訪れ、絵を描いてもらう移動ワークショップを行うこともあるという。

greenz/グリーンズ 子どもたちの絵

中に入ると、たくさんの子どもたちの絵……絵! この中には「キッズ・アース・ホーム東京」という、気軽に子どもが立ち寄って絵を描くことができる場もあり、ここでワークショップ(絵を描くイベント)なども行われているのだとか。この日は、たまたま子どもたちと会うことはできなかった。

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鳥居晴美さん

このキッズ・アース・ファンドを創設した鳥居晴美さんに、お話を聞いた。

―子どもたちが絵を描くことによって、どういう効果があるのでしょうか。そして、なぜ「絵」なのでしょうか。

「子どもたちの中には、自分から本当の気持ちを表現できない子も居ます。そういった子が画用紙と向き合い、黙々と絵を描いていくことによって、自分の心を解放し、やがて自分の本当の気持ちを言葉にして話しはじめます。

そうして、生きる力や希望を取り戻す手助けをするのが、このキッズ・アース・ファンドでしていることです。このキッズ・アース・ホーム東京のような場所でワークショップを開いたり、児童養護施設などに訪れて、絵を描いてもらったりもしています。文章を描いたりするのは、大きくなってからでないとできませんが、絵を描くことは、小さな子でもできますからね」

greenz/グリーンズ クロアチアの子どもの絵「爆撃」
クロアチアの子どもが描いた「爆撃」という名前の絵。ほかにも色があるにも関わらず、黒1色で描いている。こうして子どもたちは自分の内面を絵に表現することによって、自分を解放していく

―そもそも、どうして「子どもに絵を」と考えられたのですか。

「私の子どもがある日、絵を描いたんです。『自分にとって誕生日はとても嬉しい日だから、地球にも誕生日があるといいな』ということで描いたようで、子どもの優しさやパワフルさ、発想の素晴らしさに心うたれました。そして、子どもの絵は世界を変えるきっかけになるのではないか、と気づいたのです。
それから、私が経営していた幼稚園で少しずつ、子どもの絵を病院に貼らせて頂いたり、ごみ拾いをしたり……という活動をはじめたのがはじまりです」

greenz/グリーンズ HAPPY BIRTHDAY EARTH
鳥居さんのお子さんの絵をマグカップにしたもの。「HAPPY BIRTHDAY EARTH」と描かれている

ミッドタウンでの記念イベントの様子


―そのほかには、世界各地で子どもの絵の展覧会をしたり、貧困にあえぐ地域に衣服や医薬品などを届けたりされているんですね。活動の様子を伺っていると、日本発だとは気づかず、びっくりしました。この活動は始められて何年になるのですか。

「今年でちょうど20年になります。今年は東京ミッドタウンで、子どもたちと一緒に記念イベントを行いました」

―今度は「貧困」というテーマからお聞きしたいのですが、海外の貧困に対して、日本から、絵をテーマに活動している団体というのは珍しいですね。

「そうですね。十分に食べることができない人というのは、世界に何億人も居て、私も実際に何度もそういった地域に足を運んでいますが、まだまだ深刻な問題だと感じます。本当に……本当に食べれることがままならない。伝えようと思っても伝えきれない、そんな思いもあります。例えば、アフリカに画材を持っていっても、子どもは紙もクレヨンも見たことがないから、クレヨンを食べようとしたりしますね」

ルワンダの子どもたち

―ならば……、本当に飢えて死ぬかもしれない、そういったところに画材を持っていって「さぁ絵を描きましょう」というのは、違うような気がするのですが……。

「もちろん、私たちも絵を描いてもらうのではなく、実際に助けることが目的ですから、貧困にあえぐ地域に行く場合には、画材のほかに何が必要か、その土地が持つ問題に応じて、物資を持っていきます。薬が足りないときは薬を、服が足りないときは服を……。しかし物資も大切ですが、それと同時に人には生きる希望が必要ですよね。希望を持ち、そして生きる力へ変えていく心のケアとして、絵がとても重要なものであると思っています。それから何よりも、そうやって子どもたちが描いた絵をグッズ化したり、展示会をすることで、ほかの子どもを助けるお金に変えることができるのです。『Kids Helping Kids』とは、そういう意味でつけられた言葉でもあります」

実際に、キッズ・アース・ファンドでは、子どもの絵を使ったグッズを販売したり、企業とコラボレーションした記念グッズなども作っている。子どもの絵がお金になり、さらに画材や衣料、薬品になっていく……。子どもが自分たちで自分たちを助けられる仕組みが、ここにできあがっている。
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(左)各企業とコラボレーションした数々のグッズ (右)無印良品から、キッズ・アース・ファンドの絵をデザインしたエコバッグ

【お知らせ】
キッズ・アース・ファンド20周年記念画集発売
KIDS EARTH FUND
美術出版社・発行
岡本一宣氏アートディレクション

2008年12月出版予定
販売予定価格2,500円(税込)