世界中のホームレスがミニサッカーで世界一を競う「ホームレス・ワールドカップ」についてはgreenzでも何度かお伝えしてきましたが、今年2011年の大会はパリで8月21日から28日に開催されます。2009年に大会初参加を果たした日本代表「野武士ジャパン」も大会に向けて練習中!日本代表がどんな活躍をしてくれるのか楽しみですね。
しかし、まだまだ「どうしてホームレスがワールドカップなんかやるの?」と思う方も多いでしょう。そんな方はまずはこのホームレス・ワールドカップを題材にしたドキュメンタリー映画、その名も『ホームレス・ワールドカップ』を見てみてください。この作品は2006年の南アフリカ大会に出場したホームレスたちを追ったドキュメンタリー映画。昨年DVDも発売され、目にするチャンスが増えました。これが映画としても非常におもしろく、なぜホームレス・ワールドカップなどというものをやるのかということも見ればわかるのでまずはこの映画について少し説明していきましょう。
この映画がおもしろいのは「人」に焦点を当てているから。この映画には何人かの主人公がいます。アイルランドで薬物依存と戦うダミアン、ケニアのスラムでプロサッカー選手になることを夢見るアレックス、難民として長い年月を過ごした経験を持つアフガニスタン人のナジブなど。そして、その主人公たちのこれまでの人生と、このワールドカップに想いを丹念に描いていきます。そうすることで、そこに物語が生まれ、観る者は彼らに肩入れするようになるのです。
そして、それによってその主人公たちのチームを応援するようになるし、同時に彼らが立ち向かおうとしている人生の課題がどう解決されていくのか(あるいはされないのか)にも興味がわくという仕掛け。その典型的な例はアメリカチームのクレイグです。彼らは子供のころから家族にないがしろにされ、怒りを抱えたままストリートで暮らすようになりました。その攻撃的な性格はストリートで生き抜くには必要でも、サッカーの試合では警告や退場の原因となってしまう。案の定、試合中に怒りを爆発させた彼は退場になってうわけですが、果たしてクレイグは怒りを抑え活躍できるのか…
このようなドラマがいくつも積み重ねられてこの映画はできています。このホームレスワールドカップの目的はホームレスの生活の向上と、周囲の意識の変革にありますが、この映画を観て強く感じるのは、彼らも同じ人間だということです。それは当たり前のことだけれど、「ホームレス」という言葉には(難民などは別にして)どこか差別的な意味が込められていて、そこに少なからず「違う人間」だという意識が忍び込んでくる。街角で出会ってもついつい避けてしまう、応援したい気持ちはあるけれど関わりたくないと思ってしまう。そんな気持ちをついつい抱いてしまうがちではないでしょうか?
この映画はそんな想いを拭い去ってくれるくらいに主人公たちを魅力的に描いています。そして、チームとして大会に参加することでホームレスの人たちの意識が確実に変化していることも見て取れるのです。
この映画を見たらきっとホームレス・ワールドカップを応援したくなります。野武士ジャパンを応援するのはもちろんですが、参加したすべての人たちがよりよい人生を送れるようになって欲しい、そんな思いで大会を見つめられるようになるはずです。
今年のパリ大会にはすでに過去最高の64ヶ国が参加を表明、ますます白熱した戦いが繰り広げられることでしょう。応援したい!と思ったら、Facebookやtwitterから応援メッセージを送ることもできますし、寄付を通じて支援することもできます。もちろんパリまでボランティアをしに行ってもOK!今回はどんなドラマが展開されるのか、本当に楽しみです。
ホームレス・ワールドカップ2011を応援する!