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欧米の子ども向け食品広告規制から考える、広告との新しい付き合い方とは?

Creative Commons: Some Rights Reserved. Photo by apdk.

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テレビCMに新聞・雑誌・インターネット、街の看板に至るまで、私たちの日常は広告で溢れています。もちろんこれらは、私たちに新しい製品やサービスを知るきっかけを与えてくれていますが、一方で、極端な先入観や真実とは異なるイメージが植えつけられてしまうおそれも…。近年、欧米では、子どもをターゲットとする食品広告の弊害が指摘され、一定の規制を設けるなどの取り組みが進んでいるそうです。そこで、こちらでは、このテーマについて採りあげた社団法人日本アドバタイザーズ協会主催「国際委員会特別セミナー」での「World Federation of Advertisers」(世界広告主連盟・WFA)ディレクター・Will Gilroy氏の講演についてレポートしてみたいと思います。

欧米では、2000年頃から、一部の学術専門家や消費者団体の間で「食品に関する広告が、子どもの心身の健康に悪影響を及ぼしているのではないか」と指摘されはじめました。メディアでもこの問題を広く採りあげるようになり、次第に、多くの親たちが「子ども向けの食品広告に対して何らかの規制をすべきだ」と考えるようになったそうです。

この動きに対して、欧米の食品業界や「World Federation of Advertisers」といった広告主団体では、子ども向けの広告コミュニケーションにおけるフレームワーク(以下画像)や自主規制を策定し、主体的な運用をスタート。取り組みのプロセスや成果を定期的に情報公開するほか、第三者機関からの監査などを通じて、信頼性の担保にも努めています。たとえば、EU(欧州連合)では、「Burger King Europe」や「Danone(ダノン)」「Coca-Cola(コカ・コーラ)」、「Nestlé(ネスレ)」などのグローバル企業も参加し、「特定の栄養基準を満たす食品を除き、12歳未満に向けた食品広告は、テレビ・印刷物・インターネットで一切行わない」といった広告基準「EU Pledge」を運用しているとか。同様の取り組みは米国カナダオーストラリアなどでも行われており、一定の効果も徐々に表れてきました。最近発表された「Accenture Marketing Sciences」の調査によると、「子ども向けのテレビ番組で、栄養基準を満たさない食品に関するテレビ広告が93%も減った」ことが明らかになっています。

Copyright (c) 2010 Responsible Advertising and Children. (公式ウェブページより抜粋)

Copyright (c) 2010 Responsible Advertising and Children. (公式ウェブページより抜粋)

もちろん、子ども向けの広告は、食品だけではありません。Gilroy氏によると、同様の課題は、アルコール飲料や化粧品・玩具など、子どもを取り巻くあらゆる製品・サービスに存在し、今後、幅広い業界・地域で広告主が考えていくべき問題だとか。そして、この問題を取り組む際、広告主が心がけるべきポイントとしては、個々の企業だけでなく業界全体で共通の課題認識をもった上で明確な行動基準やフレームワークを策定し、これを運用すること。さらには、定期的な情報公開や第三者からの監査受け入れなど、広告主としての説明責任を果たすことが重要だと指摘しています。

広告は、製品・サービスを世に送り出す企業と消費者との「コミュニケーション」のひとつ。私たち消費者も、広告との付き合い方を見直す必要があるかもしれません。企業から一方的に発信される広告をなんとなく無防備に受け入れてしまうのではなく、その製品・サービスの本質をきちんと見極める「目」を養うことが、なによりも大切でしょう。また、欧米の食品業界での事例でもわかるように、企業が自主的に取り組んでいる広告規制などの動きに対して、より多くの人々が関心を持つことが、企業と消費者との間に健全な「緊張感」が生み、お互いにとってよりよい広告のカタチを育てていく第一歩になるといえそうです。

子どもをターゲットとする広告に対して取り組む広告主団体「Responsible Advertising and Children」について調べてみよう。