約1年前、“自分をいかす仕事に出会う”をテーマに誕生したトランジションコミュニティ「グリーンズジョブ」。実は、2022年10月20日から、オンラインコーチングスクール「THE COACH Academy」との提携を開始しました!
これまで400人以上が参加し、“人生のトランジション”を応援してきた「グリーンズジョブ」ですが、コーチングマインドを社会に広げるTHE COACHと手を組むことで、より深い対話と自己内省の機会を生み出していきます。
今回は提携を記念して、株式会社THE COACH 代表取締役の岡田裕介(おかだ・ゆうすけ)さんと松浦瞳(まつうら・ひとみ)さん、NPO法人グリーンズの共同代表 植原正太郎(うえはら・しょうたろう)、「グリーンズジョブ」のコミュニティマネージャー長田涼(ながた・りょう)の4名に話を伺いました。
一人ひとりが、より自分らしいキャリアや人生に出会うためにーー。
働き方や暮らし方の選択肢が多いいまだからこそ、人生のトランジション期に必要なこととは何なのか。そして、トランジションとコーチングの掛け合わせが起こす化学反応とは?
新卒でパーソルキャリアに入社後、転職支援・採用コンサルティングに従事。その後、オルタナティブスクールを運営する教育系の社団法人を共同設立、副代表理事に就任。独立後は、認定プロフェッショナルコーチとして、スタートアップ企業の経営者・CxO・マネジメントクラスを中心にコーチングを提供。その他、自治体と提携したローカルベンチャー支援事業に従事。THE COACH創業期に取締役として就任。主にコーチング理論の確立やカリキュラムの研究開発を管掌、THE COACH Academyを開発。2022年10月より代表取締役。その他、茶道裏千家にて茶の湯とコーチングの交点を探究。
日本ロレアルに入社後、コンサルタントに転身し、シンガポールオフィスを立ち上げ。東京・シンガポール両オフィスに所属するコンサルタントとして、マーケティング・ブランド戦略の立案などに従事。その後、資生堂の経営戦略部を経て独立。独立後は、戦略コンサルタント兼コーチとして活動。2020年11月からTHE COACH に参画し、THE COACH Academyの立上げ、採用、組織づくり、マーケティング・ブランディングなど幅広い領域に従事。2021年6月に取締役に就任し、2022年10月より代表取締役。1児の母であり、プロコーチでもある。国際コーチング連盟認定 PCC。
1988年4月仙台生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。新卒でSNSマーケティング会社に入社2014年10月よりWEBマガジン「greenz.jp」を運営するNPO法人グリーンズにスタッフとして参画。2021年4月より共同代表に就任し「いかしあう社会」を目指して健やかな事業と組織づくりに励む。同年5月に熊本県南阿蘇村に移住。暇さえあれば釣りがしたい二児の父。
スポーツ大学を卒業後、ユニクロ→スポーツイベント会社→IT企業を経て、2018年にコミュニティフリーランスとして独立。現在コミュニティマネージャーとして関わっているのは、私たちの”はたらく“を問い続ける対話型コミュニティ「Wasei Salon」、トランジションコミュニティ「グリーンズジョブ」。また、コミュニティで生きる人の対話の場「コミュニティのカレッジ」のコーディネーター、複数社コミュニティアドバイザーも務める。2022年に東京から鞆の浦へ家族で移住。
話を聞くことで、その人らしい人生を応援する。コーチングスクール「THE COACH Academy」とは?
「THE COACH Academy」とは、約2年前にはじまったプロレベルを目指せるオンラインコーチングスクール。基本的なコーチングのスキルやマインドセットを養っていく「基礎コース」、人生のさまざまなフェーズをじっくりと味わっていく「応用A、応用Bコース」、そして約半年かけて学びを実践していきながら、コーチとしての“器”を育んでいく「プロコース」の4つのコースが用意されています。
なかでも「プロコース」は、「自分の心の内側にある本当の願いとは何なのか」という問いに向き合い続けることで、受講生自身が変容を体感。さまざまな人生の問いに向き合うことで、他者の変容の兆しに気づき、寄り添っていく力が育まれていくプログラムです。
そこでの学びは、日常生活や仕事の場面での人との関係性にもいきてきます。プロコーチになりたい人だけのものでなく、「話を聞くことでその人らしい人生を応援したい」と願うすべての人に開かれたコーチングスクールなのです。
そんな「THE COACH Academy」のプログラムを開発したのは、現役プロコーチとしても活動している株式会社THE COACH代表取締役の岡田裕介さん。THE COACHがコーチングスクールをメイン事業として始めるきっかけには、「人の多様性を尊重したい」という想いが込められていました。
おかちゃん コーチングスクールが数あるなかで、THE COACHがやる意味って何だろうと、創業者であるこばかなと2人で話をしていました。そこで出てきたのが「多様性を願う」であったり、「ありのままのその人が認められる世界」という言葉たちです。
僕もコーチとしてさまざまなクライアントと向き合うなかで、その人が本来持っている可能性が開花する瞬間を目の当たりにしてきました。これらの言葉はすごくしっくりきたし、コーチングがより身近な世界になれば実現していけるかもしれないと感じました。
コーチングとは、気づきと行動が生まれるプロセスのこと
その人が本来持っている可能性が開花する。そんな力を持つコーチングとは、そもそもどんなものなのでしょうか?
おかちゃん 具体的に何をするかというと、「コーチがクライアントに問いを投げかけて話を聞く」という、いたってシンプルなものです。その時間を「コーチングセッション」と呼びます。ジャズの世界でも即興で演奏することを「セッション」と呼びますが、コーチングも同じ。何かを事前に準備するのではなく、その一瞬一瞬にクライアントの中で生まれた願いや感情にフォーカスしていくんです。
THE COACHでは、コーチングのことを「気づきと行動が生まれるプロセス」と定義しています。自分にとって大切なものに“気づき”、“行動”することで現実が変わっていく。そして、それらはクライアントの中に自然に“生まれる”もの。
コーチが恣意的にクライアントを変えるのではなく、クライアントが気づきたいように気づき、変わりたいように変わっていくことを応援する。それがTHE COACHが目指すコーチングのあり方=「コーチングマインド」なのです。
ひとみん 「コーチングマインド」という言葉を私たちは使っていますが、この中には“自由”と“つながり”というキーワードが含まれているなあと、よくチームで話しています。
気づきと行動のプロセスは、人生の中で何度もやってくるもの。一回やって終わりではないんですね。何度も繰り返していくなかで、自分の中で固定化されてしまった役割やラベルのようなものをひとつずつ手放して自由になっていく。「その人が、もっとその人らしくなっていく」という感覚でしょうか。
そういう自由な状態で人とコミュニケーションをとっていると、いままでとは違った関係性が生まれていきます。そんな温かな関係性で満たされた社会がどんなものか見てみたい。そんな想いを込めて、プロコーチを目指す人にも、そうでない人にも開かれたコーチングスクールであることにこだわっているんです。
「グリーンズジョブ」を通じて、体験セッションを受けることが可能に
そんな「THE COACH Academy」と「グリーンズジョブ」が手を組むことになった今回のプロジェクト。具体的には、「グリーンズジョブ」のコミュニティSlack参加者の中で手を挙げた希望者は、「THE COACH Academy」のプロコース受講生による体験セッションを無料で受けることができます。相性が合うコーチを見つけたら、2回目以降は個別で契約を行い料金が発生します。(※金額はコーチごとに異なります。詳細はこちら)
「変容」と「トランジション」。使っていた言葉は違えど、共通する価値観が見えてくる両者。ここからは、グリーンズジョブの植原正太郎と長田涼も参加し、なぜ両者が提携するに至ったのか、そして現代社会において「トランジション×コーチング」の可能性とは何なのか、座談会形式でお届けしていきます。
リニューアルから約1年。「グリーンズジョブ」が生み出してきたもの
ーー「グリーンズ求人」から「グリーンズジョブ」にリニューアルしてから、約1年が経ちました。採用支援のみならず、トランジションを応援し合うコミュニティとして、どんなことに取り組んできましたか?
ながちゃん コミュニティメンバー自身が、好奇心のままに対話できる機会をあの手この手でつくってきた1年だったなあと。「こんなことを話したい」「こんなことに興味のある人とつながりたい」といった、メンバーの内側から出てくる言葉を大切にしてきました。
1年が経ったいま、「私が本当にやりたかったことってこれなのかも」と転職をしたり移住をしたり、新しいチャレンジをする人がちらほら現れ始めています。その人がなりたい自分に一歩近づくお手伝いが少しずつできているのかなあと。
正太郎 ながちゃんがやってきてくれた対話の場は、すごくコーチングに近いものを感じるね。「いまの職場や環境は自分が求めてるものと違うかもしれない」と感じたときに、そのことを家族や友人、職場の人に相談できない人が結構多いんですよ。
一方、「グリーンズジョブ」は、そんな変化の只中にいる人たちしかいないから、理解されないかも、という不安が少ない。初めましての人でも、自分の悩みを深いところまで吐露してくれる人が多いんです。「ナイストランジション!」って応援し合う文化がすごく心地いいよね。
「いかしあう社会」は、自分の内側を満たすことから始まる
ーー対話や安心できる場所。トランジションにとって必要かもしれないと思っていたものが、この1年で確信に変わりつつある感じがしますね。
正太郎 そうなんです。グリーンズはずっと環境問題や社会課題を取り扱ってきたけれど、その問題を生み出すのは人間の心そのものであって、人の内面に向き合わない限りは「いかしあう社会」は実現できないことに気づきつつあったんです。
そんなタイミングで僕自身も「THE COACH Academy」の基礎コースを受けたら、まさに人の心の内側の話をしていて、すごくシンクロしたんですよ。それで、何か一緒にできることはないかなあと、おかちゃんとひとみんと話して今回の提携の話が生まれていきました。
ひとみん わー! 嬉しいなあ。昔からずっとグリーンズの世界観が大好きで、ただただファンだったんですよ(笑) 一つひとつの記事に使われている言葉にも、THE COACHと共通する価値観を感じていて。
「自分をいかす」「人と人とのつながりをいかす」「自然や社会をいかす」という、3つのレイヤーがあると考えたときに、この3つは密接につながっているものだと思っています。やっぱり自分が満たされているから、他の人や社会にも目を向けることができる。
私たちがコーチングで一番力を発揮できるのは「自分をいかす」の部分だけれど、グリーンズと手を組むことができれば、この3つのレイヤー全体として、新しいチャレンジができるかもしれないとワクワクしています。
葛藤や悩みは、より自分らしい人生がはじまる合図。じっくり味わうことが大切
ーーコーチングを専門とするTHE COACHの視点から、「トランジション」をどんな時期だと捉えていますか?
おかちゃん 僕としては「自分がより自分らしくなっていく過程」だと感じています。トランジションって葛藤や悩みも多い時期だとは思うんですが、新しい自分に気づけるチャンスでもある。葛藤したり悩んだりするのって、その裏側に「こうありたい」という強い願いがあるからだと思うんです。葛藤や悩みは、より自分らしい人生が始まっていく合図のようなもの。だからこそトランジションはすごく大切な時期ですよね。
ひとみん サナギから蝶に生まれ変わる過程がトランジションをよくあらわしているなと思っていて。サナギって一度、中でぐちゃぐちゃになるんですよ。その過程は美しいとは言えないけれど、それがあるからこそ、きれいな蝶になれるわけです。
トランジションは早すぎてもダメで、その人にとってのベストなタイミングは自然とやってくるものだと思います。そこをいかに、焦らずじっくりと待つことができるか。1人では心細くて焦ってしまいそうになるところを、コーチやコミュニティの仲間といった他者の存在があることで、安心して時期を待つことができると思うんですよね。
ーートランジション期は早く抜け出すべきものではなく、味わうことが大切であると。
正太郎 僕らも「グリーンズジョブ」は“トランジションのゆりかご”でありたいという想いで始めたんです。すぐ転職しようとか、すぐ移住しようって話ではなくて、トランジションを安心して過ごせる場所にしたいなあと。揺れ動く自分をそのまま肯定してあげられる場所。
ながちゃん 今回の提携によって、「トランジションの歩み方を知る」っていうのも大きなポイントかなあと思っていて。やっぱり歩み方を知らないと、ただ1人で暗闇の中を歩くことになってしまう。僕らも僕らなりに対話の機会をつくってきましたが、THE COACHに入ってもらうことで、トランジション期に必要な自己内省のやり方や対話のあり方がより明確になってくると思うんですよね。
ひとみん 安心感という点でいくと、今回コーチングを提供させてもらうのは、プロコーチではなく「THE COACH Academy」のプロコース受講生というところにもこだわりがあります。
プロコース受講生たちもトランジションを歩んでいる最中なんです。お互いがその過程にいるからこそ生まれる安心感や気づけるものがあるんじゃないかなって。場所は違えどトランジションに向き合う両者がセッションした先に何が生まれるのか、そういった掛け合わせの面白さを見つけていく、ある意味実験的な側面もあるなあと。
物質から精神的な豊かさへ。社会もトランジションを迎えている
ーー改めて、いまの社会になぜトランジションコミュニティとコーチングが必要だと思われますか?
おかちゃん いまは、生き方や働き方がどんどん多様になっていて、そのこと自体はすごく素敵なことだと思っています。ただ、選択肢が多いからこそ、「この選択で合っていたのかな?」と不安になることも増えるし、“やりたいこと迷子”にもなりやすい。自分にとっての正解を自分の力だけで見つけるのは難しいと思います。だからこそ、共に歩く仲間やコーチの存在がより重要になっていく。コーチングは、そのためのインフラのような役割を担っていく必要があるのではないかと感じています。
ひとみん おかちゃんが言ってくれたように、不確実性が高くて正解がわからない現代では、「問いつづける力」が大切だと思っています。次々にトランジションが起こっていく人生のなかで「自分が本当に求めていることは何なのか」を諦めずに問い続ける。トランジションもコーチングも、まさにその力を養っていくプロセスのようなものです。
ーー答えの出ない事態に耐えうる力をあらわす「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉にも、近いものを感じますね。
ながちゃん 焦っていたり不安定な時期は、特に「わかりやすいもの」に惹かれてしまいます。「これが正しいんだ!」という、わかりやすいメッセージって引力が強いと思うんですよ。そんなときでも「自分はもうちょっと考えたいぞ」と踏みとどまれる胆力や足腰の力を持てるかどうかがすごく大切で。コーチングやコミュニティの空間が、そういられるひとつのきっかけになってくれると嬉しいですよね。
正太郎 ながちゃんのいう、引力みたいなものは僕もすごく感じるなあ。ちょっと違う角度になるかもしれないけど、いまって社会が「物質的な豊かさ」から「精神的な豊かさ」へトランジションを遂げている最中だと思うんだよね。人の心の部分を満たしていこうとする動きが増えている。
でも、どうしてもまだ物質的な豊かさが持つ引力に引き戻されそうになることもあると思っていて。肩書きや名声、ブランドものとか、そういうわかりやすいものを持つことが「正解ですよ」と引っ張られそうになるけど、精神的な豊かさはきっとそこにはない。自分の力で見つけていかなければいけないものだと思います。難しいことではあると思うけど、寄り添ったり応援してくれる人がいることの心強さは、計り知れないものなんですよね。
「肩書きや会社名の大きさに縛られて、手放すのがすごく怖い時期がありました」
座談会の途中、ひとみんさんが自身のトランジションの話をしてくれました。
ここにいる4人もそれぞれ、わかりやすいものに引き戻されそうになった経験も、さまざまな葛藤の中で自分自身を変化させていった経験も持っています。
トランジションはいつでも、誰にでも起きることだから。
そんなときに、そっと見守ってくれたり、自分では浮かばなかった問いを投げかけてくれるコーチやコミュニティ仲間の存在は、より自分らしく生きる勇気を与えてくれるかもしれません。
(編集・撮影:山中康司)
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