コンクリートの壁やお店のシャッター・電車の車両など、けして好ましいことではないが、世界の至るところで見かける落書き…。では、こんな発想の転換はどうだろう?こちらでは、汚れた壁をキャンバスに、この汚れをキレイに落として絵にするという逆発想のらくがきアート「Reverse Graffiti」をご紹介しよう。
南アフリカ共和国のダーバンに現れたこの“壁画”。南アフリカの学生Martin Paceらのプロジェクト「SCRUBBERS」が制作した「Reverse Graffiti(逆らくがき)」の作品だ。
「Reverse Graffiti」のパイオニアPaul CurtisからインスパイアされたMartinたちは、「Durban Vega Brand and Communications School」の創作プロジェクトとしてこれに取り組んだ。壁をブラシでゴシゴシこすって汚れを落とし、絵に仕立てていったという。
こちらは、地元ウェストビルのフリーウェイの壁に描かれたもの。17メートルにもわたるこの作品では、ウェストビルの建築の変遷が表されている。
また、彼らの作品は、ダーバンの木々など、自然をモチーフにしたものも多い。以下の作品では、「イワシの群れ」がダイナミックに表現されている。
日本でも、景観と治安維持のため、「落書き消去キャンペーン」など、落書き対策が実施されているが、これらの活動に「Reverse Graffiti」がうまく採り入られると、キレイな街づくりに、クリエイティブな楽しさがプラスされるかもしれない。アートというと、何かをベースに「加える」ことで生み出されるもの、と思い込みがちだが、「Reverse Graffiti」は「引く」「取り除く」という、従来とまったく逆のアプローチから生まれたユニークなアートといえよう。
「Reverse Graffiti」の祖Paul Curtisの作品制作の様子をみてみよう。