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節約だけじゃない!ルームシェア専門「シェアノサイト」に見る、シェア生活の魅力とは?

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シェアノサイトが手がけるシェア物件「阿佐ヶ谷A-CAMP

ここ最近、“シェア”という言葉を耳にすることが多くなった。
カーシェアリング、シェアオフィスなど、共有することにより経済的メリットを享受できることや利用の手軽さ、環境意識の高まりから、徐々に世の中に浸透しつつある。

そんな中誕生したのが「シェアノサイト」というシェア物件専門の賃貸情報サイト。一見普通の不動産サイトなのだが、シェア物件のみを扱うという性質上、またそこに込められた想いから、様々な箇所でちょっと違う様相を見せている。このサイトを立ち上げた各務さんと、運営を担当している山崎さんにお話をうかがいながら、シェアノサイト、そしてシェア生活の魅力を探ってみた。

サイトを見てまず気がつくのは、不動産サイトにありがちな地域選択が見当たらないこと。その代わり、ここでは「仲間で住む家」または「1人で住める家」のどちらかを選択することから、物件検索がスタートする。

ずらりと並ぶシェア向き物件の中から気になる情報を選択すると、通常の賃貸情報サイトに見られる間取りなどの諸条件の前に、10枚にも及ぶ写真がずらりと並ぶ。

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そして、スタッフによる物件紹介文へと続くが、これが通常とはちょっと違う。例えばこんな感じ。

この家はどんな人にも好かれる家だと思います。
まず一軒家、ほんとに一軒家。駐車場&物置2つつき。うん一軒家って感じです。
いい感じに古いし。気張らなくていい。
そしてリビングがかっこいい。ちょっとアメリカンな感じ。・・・(後略)

うらやまはうす」の紹介文より

気取らず、そして愛情溢れる文章が親しみやすく、ワクワク感を誘う。スタッフが楽しんで運営している様子がにじみ出ているシェアノサイトなら、今後の生活を思い浮かべながら、楽しく物件検索ができそうだ。

一つ一つの物件にオリジナルのコメントやたくさんの写真を添えるのは大変な労力を伴うと思うが、各務さんと山崎さんはそのような苦労を微塵も感じさせない笑顔でこの仕事を楽しんでいる様子。その原動力となっているのは、シェア生活の楽しさと意義を多くの人に伝えたいという強い想いだ。

彼らを突き動かすシェア生活の魅力とは、いったいどのようなものなのだろうか。その一端は、サイトの1コーナー「シェアコラム」で垣間見ることができる。このサイトを通じてシェア生活を始めた人々の取材記事のコーナーなのだが、様々な形態のリアルなシェア生活の様子が余すことなく表現されていて、実に面白い。シェアに至った経緯、生活の中のエピソード、本音、目標……。もちろん生活なので楽しいことばかりではないが、シェア生活が彼らの考え方や価値観を変えるほどの影響力を持っていることがひしひしと感じられる。そして、なんといっても同じ空間を共にするものの連帯感、仲間意識から生まれるとても温かい空気が伝わってくる。

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シェア生活の様子がリアルに描かれる「シェアコラム」は必読!

学生時代に4人でシェア生活をした経験がある各務さんは、シェア生活における“シェア”は、「分け合う」だけではなく「共有する」「補完する」ことを意味するという。各務さんの生活では、それぞれ違う仕事を持つ4人の世界観を毎日の暮らしの中で共有したことが大きな刺激になったという。“1+1=2”ではなく、一人では絶対に生まれないものがそこから発生し、お互いの足りない部分を補完しあう。毎晩のように語り合う楽しさと、誰かがいるという安心感は、いつしか各務さんの行動を変え、新たな価値観を作っていった。毎日のように早く帰って語り合い、そして、この楽しさを伝えるため、仲間と「シェアノサイト」を立ち上げるに至ったのだ。

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各務さんは、シェア生活の魅力を図示しながら説明してくれた。これは、4人の共同生活から数え切れないネットワークが生まれる図式。

考えてみれば、ルームシェアは数あるシェアリングにおいて最もハードルが高いものかもしれない。生活空間の一部を共有することにより、日常交わらざるを得ない時間や空間が生まれる。「所有しないで共有する」というだけで、個々の時間は閉じているカーシェアリングなどとは、その点で全く異なるといってよいだろう。

しかし、それだけに得られるものは大きいようだ。「日本人は、食べるものを取り分けたり、着るものを貸しあったりするのは抵抗なくできているのに、衣食住の「住」だけできないのはなぜなんでしょうか。昔は絶対そういうつながりがあったはず。」と各務さん。昔の日本にはあった共同体の生活からプライバシーを最重要視する個の生活形態に変わっていった現代の住環境。シェアという生活形態は、切れてしまった人と人とのつながりを再びつなぎ合わせるためのきっかけとなるのかもしれない。

さて、シェア生活の魅力もわかるし、興味はあるけど不安もいっぱい、という人もいるだろう。そんな方はまず、シェアノサイトの運営スタッフがあなたの不安や疑問に応えてくれる相談会「シェアノカフェ」に参加してみてはいかがだろう。シェアノサイトのスタッフは、サイトの運営だけではなく、物件の仕入れ、下見、同居人の引き合わせ、引渡しといった全ての過程を一貫して担当し、お客さんとの対話を大切にしている。「お客さんとスタッフはとても仲良しで、入居後も頻繁に連絡を取って食事をしたり、時にはお客さんを集めてパーティをしたりもするんです」と山崎さん。サイトを通じて知り合えるスタッフとのコミュニケーションにより、シェア生活をより身近に感じることができるはずだ。

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不定期で開催される「シェアノカフェ」に参加してみるのもオススメ

最近の事例では、物件ではなく人から始まるシェア生活で面白い動きがあるらしい。たとえば、ウェブ系エンジニアやクリエイターが集まる「ギークハウス」や、庭に野菜を植え、鶏を飼育しながら新宿でハウスシェアをする「やかまし村」では、そのコミュニティから既に様々なプロジェクトが生まれている。また、何組かの夫婦や、一人暮らしのお年寄りなど、同じ境遇を持った人によるシェア生活にもニーズを感じている、と山崎さん。ただの共同生活にとどまらない、シェアの新形態が次々に生まれつつある。

しかし一方で日本の現状を見てみると、不動産物件の約6割はまだシェアリング形態を可としてないし、北欧諸国のように国がコミュニティに対して投資していくような施策もまだ見られない。普及環境が追いつかない状態ではあるが、シェアノサイトのようなコミュニティから生まれるムーブメントが徐々に広がっていくのも時間の問題かもしれない。

シェアノサイトを通じて見えてきたシェア生活という古くて新しいライフスタイルの現状と未来。あなたの住まい方の選択肢のひとつに、加えてみてはいかが?

シェア生活したい人もそうでない人も!まずはサイトを見てみよう。