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「地域でヒト・モノ・コトをつなぐ人」の可能性は、この町で花ひらく。Next Commons Lab岡山県美咲町のコーディネーターという仕事 #仲間募集

この求人の募集期間は2022年6月10日(金)〜7月8日(金)です。
募集要項は記事末をご覧ください。

今、各地で地域コーディネーターを求める声が増えています。

地域で住民と移住者、自治体と企業、住民同士をつなげるコーディネーターの存在感は年々増し、肌感覚ながら、地域コーディネーターを名乗る人と出会うことも増えました。

境界に捉われることなく、地域内外の人や資源をつなげる存在として期待されるコーディネーター。その仕事に興味を持っている人におすすめのフィールドが、今回ご紹介する岡山県美咲町です。

2022年4月、美咲町は「ポスト資本主義社会を具現化する」をテーマに活動する「Next Commons Lab(ネクストコモンズラボ、以下NCL)」と連携し、「NCL美咲(ミサキアエル)」を立ち上げました。

ここで今回、新たにコーディネーター2名を募集します。
コーディネーターは、地域住民と起業家のハブとなることを目的につくられた「ミサキアエル」を活動拠点に、地域と起業家の橋渡し役となり、「NCL美咲」の運営を推進していく役割を担います。

「ポスト資本主義社会を具現化する」とは?
美咲町ってどんなところ?
どんなプロジェクトが生まれそう?
NCL美咲(ミサキアエル)のコーディネーターって、どんな仕事?

など、気になる疑問を、一般社団法人Next Commons Lab事務局長の高橋邦之(たかはし・くにゆき)さん、美咲町役場の宇佐見卓也(うさみ・たくや)さん、そしてNCL美咲(ミサキアエル)で一足先にコーディネーターとして活動する大橋佳奈(おおはし・かな)さんに伺いました。

業界や業種の境界に捉われず、手を取り合って地域のより良い未来をつくっていきたいと考える方にとって、NCL美咲(ミサキアエル)のコーディネーターの仕事はぴったりの機会になるかもしれません。

JR津山線「亀甲駅」から徒歩数分。元酒屋さんをリノベーションした建物に誕生した、NCL美咲の拠点「ミサキアエル」にて、取材を行いました。

NCLが目指す「ポスト資本主義社会」の現在地

NCLのミッションは「ポスト資本主義社会を具現化する」。現在、資本主義という大きなルールの中で生きている私たちは、サービス向上や多様性の広がりなど様々な恩恵を受けています。

一方で、資本主義社会は経済格差や貧困など多くの歪みを生んでいるのも事実。そうした背景を踏まえながら、NCLは今の社会を否定するのではなく、うまく活用しながら誰もが生きることを楽しめる新しい社会をつくろうとしています。

NCLの考える「ポスト資本主義社会」は、国家や資本主義社会を否定するのではなく、そのうえにつくられるもの(画像:NCL提供)

壮大なビジョンを掲げ、活動するNCL。その輪は立ち上げから少しずつ広がり、今や北海道から福岡まで13拠点と22のネットワークをもち、総勢約100名以上が関わるまでになりました。しかし、「まだまだ僕らが目指している社会とはギャップがあり、みんなで一歩ずつ山を登っている途中です」とNCL事務局長の高橋さんは話します。

では、具体的にどのように理想とする社会に向かっていくのでしょうか。高橋さんは、このように話します。

高橋さん NCLが大きな課題意識を持っているのは、「格差の拡大」「社会的孤立」「環境」の3つです。

「格差の拡大」に対しては、新しい経済の枠組みづくりが必要です。また、「社会的孤立」「環境」には、行政サービスが縮小するなかで「公助」でも「自助」でもない「共助」の仕組みが必要だと考えています。そのため、NCLでは、ローカルベンチャー事業を展開し、地域の課題や資源をうまくいかした事業創造につなげ、「共助」の仕組みによる新しい地域社会のあり方を模索しています。

このようにポスト資本主義社会は少しずつ広がっていますが、社会全体に実装するためにさらにみんなで頑張っていこうよと提案しているのが、僕たちNCLです。

一般社団法人Next Commons Lab事務局長 高橋邦之さん

ポスト資本主義社会を実現するための手段の一つが、全国各地の自治体と協働し、その地域の資源や課題をもとに事業づくりのためのプロジェクトを企画・運営するNCLのローカルベンチャー事業です。地域おこし協力隊の制度を活用し、起業家を目指す人材の誘致と育成を行いながら、行政や地域住民、企業などと地域の未来をともにつくっています。

地域おこし協力隊制度を活用し、移住と起業を支援するNCLのスキーム(画像:NCL提供)

NCLは、新たな拠点となる地域の支援を始める際、コーディネーター3名と起業家10名の受け入れをパッケージにしています。これは、NCLの経験則から導き出された数字だそう。

高橋さん 行動力のある人が一人来たら、イノベーションは起こりやすいかもしれませんが、自分のやり方や考えに固執するあまり、地域とハレーションを起こす可能性があります。一方協調性が高い人が一人来たら、地域にすんなり溶け込めるかもしれませんが、住民の意見を聞きすぎてイノベーションを起こしづらい側面があるんです。

だからこそ、行動力のある人や協調性の高い人など、いろんなタイプの人がいることで、地域に馴染みながらイノベーションを起こせるんです。

また、ある程度の人数がいないと地域での存在感を出しづらいので、チームとして地域に入っていくためにもコーディネーター3名と起業家10名というのは最適な人数だと考えています。

このスキームによって、滋賀県にある「NCL湖南」の地域では、9人の起業家が入って、地域住民の居場所となるようなカフェを開業したり、市民の挑戦の拠点となる私設公民館づくりの取り組みも生まれたりしました。

その中で、今回募集するようなコーディネーターは、起業家と地域住民の橋渡しを行う存在です。

コーディネーターの仕事は、地域をリサーチし、地域資源を可視化するところからはじまります。ビジネスのタネが見つかれば、それらをプロジェクト化し、起業家10名を募集。採用後は、起業家の支援をしていくと共に、地域住民とのパートナーシップを築いていく。まさに、事業全体の屋台骨となるような存在なのです。

棚田風景が美しい、岡山県美咲町

では、今回フィールドとなる岡山県久米郡美咲町とはどのような場所なのでしょうか。

美咲町は、岡山県の中央に位置し、岡山駅からJR津山線で約1時間の距離にある中山間地域。町の総面積の6割を森林が占め、駅前から少し車を走らせれば、「日本の棚田百選」「つなぐ棚田遺産」に選ばれた美しい田園風景が広がります。

駅前の街並み

美咲町西部に位置する大垪和地区の大垪和西(おおはがにし)棚田。標高400mの山間地に、360度すり鉢状に約750枚の棚田が広がります

また、卵かけご飯が有名で、専門店があったり、オリジナルの卵かけご飯醤油をお土産として開発・販売したりと、卵かけご飯による町おこしにも力を入れています。

第3セクターの地域商社「株式会社美咲物産」が販売する町の特産品

しかしながら、美咲町も全国各地の中山間地域と同じように、人口減少と少子高齢化に悩んでいる自治体の一つです。人口は、1980年には20,029人でしたが、2022年4月末時点では13,235人と、減少の一途を辿っています。

そこで町をあげて取り組もうとしているのが、NCL美咲(ミサキアエル)を中心に、地域おこし協力隊という“よそ者”とコラボレーションして町を再生すること。ここからは、美咲町役場の宇佐見卓也さんに、NCL美咲を始める背景や目指している町の姿を伺っていきます。

外の人と内の人の共創で、町の課題を解決する

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美咲町役場政策推進監の宇佐見卓也さん。様々な企業を経験し、内閣府の地方創生人材支援制度を通じて、2020年から美咲町在住

内閣府の地方創生人材支援制度を通じて、民間企業経験者として美咲町に来た宇佐​見​さん。現在役場側で、NCL美咲(ミサキアエル)との窓口を担当しています。

宇佐見さん 人口減少、そして少子高齢化という課題を抱える美咲町は、小規模多機能自治(※)による「自助」「共助」の拡大を推進しています。

今までの町の運営は、役場による「公助」が中心でした。しかし、人口減少が進むと役場が全てを担うのは難しくなります。そこで大切になるのが、住んでいる人自らが主体的に自治に関わる「自助」、そして地域の中で助け合う「共助」です。

(※)小規模多機能自治:概ね小学校区域において、目的型組織や地縁型組織等のあらゆる団体が結集し、地域課題を自ら解決しながら地域運営を行う仕組み。

そのため、美咲町では住民がより主体的にまちづくりに関わることで、町にある様々な可能性を掘り起こしていこうとしています。そこで今回NCLと連携。地域おこし協力隊の制度を使いながら、地域の人と課題解決に取り組み、町を元気にしていきます。

目指すのは、まちのあちこちで、様々な“コト“が起こっている町。例えば、棚田や森の中に、ゲストハウスやレストラン、ブルワリー、本屋、カフェなどが点在していたり、魅力的な人やイベントが増えたり……。そうした“まちを愉しむ“人を増やしていくことで、住んだり訪れたりすることが幸せになる町にしていくことです。

実際すでに、首都圏から里山の古民家に移住し天然酵母のパン屋を開業しながら、棚田を一望できる場所にある古民家を新たに購入し、1日1組の宿屋のオープンを目指している夫婦、フィンランドのフィスカルスという地域のような木工をはじめ様々なクラフトマン(職人)が集まる“村”をつくることを夢見る起業家など、ユニークなプレイヤーが集い始めているそう。

宇佐見さん 地域の魅力は、そこに集う人々の関係性のなかにあるように思います。美咲町は豊かな自然には恵まれていますが、他の地域に比べて特に突出した特徴があるかと言えば、そうではないかもしれません。でも、美咲町ならではのユニークな人たちがいます。そうした人たちとのコラボレーションを楽しめる人がコーディネーターとして来てくれたら、確実に地域の魅力を増す原動力になってくれると思います。

移住後、自家製酵母と国産小麦でつくるパン屋「ココペリ」を開業したご夫婦(画像:NCL提供)

NCLの拠点を、地域間・多世代交流が生まれる場所に

今回募集するコーディネーターの任期は最長3年。地域おこし協力隊の制度を活用して採用され、地域商社の「株式会社美咲物産」に籍を置きながら、地域で起業家が立ち上げるプロジェクトのプランニングやコーディネートを担います。そうすることによって、ゆくゆくは滞在型観光で訪れる人や関係人口となる人がたくさんいる状態が生み出されることが期待されています。

また、経営的な視点を持ちながら、拠点を軸とした事業づくりや、起業家10名のマネジメントも期待されるほか、NCL美咲(ミサキアエル)の一員として広報や経理などの事務局業務まで、求められる業務は多岐にわたります。そのため、3名のコーディネーターでチームをつくり、役割分担をしながら進める想定です。

一人目のコーディネーターとして2022年4月から着任したのが、大橋佳奈さんです。美咲町に移住する以前は、岡山市内でソーシャルワーカーとして働いていたという大橋さん。「いろんなことが決まっていない分、余白が大きく、やりたいことができそうだ」と感じ、コーディネーターに応募したそうです。

NCL美咲(ミサキアエル)のコーディネーター大橋佳奈さん

大橋さん 着任してからは、役場の方に案内いただいて地域の方々にご挨拶をしています。今はリサーチ段階なので、プロジェクトでご一緒できそうな起業家やキーマンになりそうな人に会ってお話を伺う機会も多いですね。

地域住民とつながり、プロジェクトになりそうなタネを探した数ヶ月。現在はNCLの担当者と一緒にプロジェクトを組成中で、7月からはいよいよ10名の起業家の募集が始まります。

それまでに、大橋さんと一緒に働くコーディネーターをあと2名採用したいと考えています。

大橋さん 美咲町は平成の大合併の際に、中央町・柵原町・旭町の3つが合併してできた町です。そのため東西に長く、移動にも時間がかかります。地域のことを知るためにも、一度の挨拶で終わらせず、こまめに顔を出したいのですが、面積が広いため一人で網羅するのは難しいんです。

だから新しいコーディネーターが入ってきたら、担当エリアを分けて、それぞれの地域と関係性を深めていけるような動きもできたらと考えています。夏以降にやって来る起業家のフォローも、3人いたほうが丁寧にできますよね。

また、取材場所になっているNCL美咲の拠点「ミサキアエル」も、多世代が交流する場所に育てていきたいと構想を練っています。

大橋さん 美咲町には高校がないので、中学卒業後はほとんど町の外へ出ていってしまいます。だから、高校生になって以降も町に滞在できるように、学生に電車の待ち時間に寄ってもらったり、外から仕事に来た人が気軽に立ち寄れるコワーキングスペースとして活用してくれたりするといいですね。

キッチンもあるので、飲食で起業したい方がチャレンジできるような場所にするのもありかな。また、町が広い分、町内の情報が集約されている場所もあまりありません。ここに来れば、各地域の情報が集まっていて、地域間や多世代の交流が生まれるような場所にしていきたいです。

右下は、宇佐見さんと一緒にNCL美咲町(ミサキアエル」)の活動に取り組む、美咲町役場産業観光課の穐山政三さん

美咲町ならではのユニークなプロジェクトを立ち上げ!

7月の起業家募集まで、あとわずか。リサーチを重ね、まさに今、プロジェクトを組成している最中です。

今回募集するコーディネーターには、プロジェクトに加わる起業家に伴走し、起業家が地域住民と良いパートナーシップを築くための潤滑油になることが期待されています。外からやってくる起業家と中の人である地域住民の双方から信頼を得るためには、こまめなコミュニケーションと、様々な立場から物事を考えられる力が必要になります。

そうした背景を踏まえ、NCLの高橋さんは、「コーディネーターは翻訳できる人が向いている」と話します。

翻訳できる人とは、どういうことでしょうか。

高橋さん 僕はカンボジアでストールを織るプロジェクトに関わっているのですが、現地の織り手さんから、「いろんな織り方ができるようになりたい」と言われたことがあります。そこで僕は、東京藝術大学染織研究室の専門家をカンボジアに招いて、技術指導をしてもらいました。

織り手さんは「先生を連れてきてほしい」とは言っていませんよね。でも、僕はどうすれば織り手さんの望みを叶えられるのかを考えました。そんなふうに、相手が言語化できていないニーズを探りながら応えていくことこそ、まさにコーディネーターに求められる「翻訳」なのかなと思います。

町をあげて、起業家の受け入れ準備をしています

新たなコーディネーター像への挑戦

ここまでご紹介してきたように、コーディネーターに求められる業務や役割は多岐に渡ります。コーディネーターの経験がない方であれば、「私にできるだろうか?」と不安に思う気持ちもあるかもしれません。

しかし、NCL美咲では、コーディネーターをバックアップする体制と、最長3年の任期終了後もコーディネーターとしてキャリアを歩んでいける仕組みを準備しています。

高橋さん NCLは、2016年に始まった岩手県遠野市を皮切りに、現在は奈良県・奥大和や滋賀県湖南市など全国各地に13の拠点を構えるまでになりました。そのネットワークやノウハウは惜しみなくお伝えしますし、私たちも現地を訪れたりオンライン打ち合わせだったりで、密なコミュニケーションを大切にしています。

また、これまでコーディネーターとして関わってくれた人は40名ほどいて、任期終了後のキャリアは様々だそう。

高橋さん 任期後も地域に残ってコーディネーターとして活躍する人、起業家に転身して自らプロジェクトを立ち上げる人、やりたいことを見つけて転職する人など、様々な道を歩んでいます。コーディネーターにも生きたいように生きてほしいですよね。

だからこそ、任期後にもしコーディネーターとして地域で活動を継続することを望む方がいれば、そのキャリアを実現できるような方法を考えています。

高橋さん コーディネーターのイメージといえば、従来、伴走支援が強い。しかし今回コーディネーターとなる方と挑戦したいのは、拠点のある町の予算だけに頼るのではなく、都道府県や国の事業に町の中長期計画をマッチさせながら、事業をさらに推進していくことです。

例えば、ワーケーション利用や観光客の増加などを町の方針としているならば、それを都道府県や国の補助金・助成金も活用しながら、事業を成長させていくコーディネートができないかと考えていると言います。

高橋さん 起業家は自分の事業に集中する。コーディネーターは、たとえばお酒の事業をする人がいれば国税庁、農業の事業をするひとがいれば農林水産省などの補助事業を検討・活用、起業家と都道府県や国との関係をつなぐ。そのようなことができれば、プロジェクトをより大きな事業に育て、任期終了後もコーディネーターとして食べていくことができるのではないかと考えています。

NCL美咲(ミサキアエル)は、スタートを切ったばかり。すでに美咲町で活動を始めている先輩コーディネーターがいて、さらに全国各地にコーディネーターや起業家の仲間がいる環境は、これから地域でコーディネーターとして一歩を踏み出したい人にとって、とても心強いものです。

6/23(木)には、オンライン説明会も開催予定。もし地域内外の資源や人をつなげるコーディネーターの仕事に関心があるのであれば、まずは一度話を聞いてみませんか?

(撮影:水本光)
(編集:山中康司)

[sponsored by NCL美咲]

– INFORMATION –

6/23(木)に、オンライン説明会を開催!

6/23(木)にオンライン説明会「Next Commons Lab岡山県美咲町でコーディネーターとして働く」を開催します。今回の求人に興味がある方はぜひご参加ください。なお、当日参加が難しい方はアーカイブ動画の視聴も可能です。

イベントの詳細・お申し込みはこちら