抗酸化作用や利尿作用、覚醒効果、ビタミンCなどなど、緑茶の健康効果に関するキーワードは広告などで見たことがある人も多いでしょう。では緑茶を飲む時に、元の「葉っぱ」を想像したことはあるでしょうか。
お茶もまた、土で育つ農作物です。栽培農家さんが丁寧に栽培して、気温が暑くなり始める頃に摘まれた茶葉がよく知るあのお茶に変わります。「夏も近づく八十八夜」と唱われる通り、通常は5月頃に茶摘みが行われますが、お茶の木は通年葉っぱが付いている常緑樹。そのため、実は冬の季節でもお茶づくりが可能でした。
寒い季節につくる「寒茶」
お邪魔したのは山梨県上野原市。造園家である矢野智徳(やの・とものり)さんの活動「大地の再生」に参加した際、同団体の皆さんが管理するお茶畑で冬の茶摘みをさせてもらいました。
寒い季節のお茶、その名も寒茶(かんちゃ)は、茶葉の栽培地域では昔から好んでつくる方もいるようです。季節柄、少し厚みを帯びて油分も多いために食味が良く、同時に、カフェインやタンニンが少ないのでお子さんや妊婦さんにも飲みやすく、飲む時間も選ばずにすむといった理由から好まれてきたとのこと。
確かに、緑茶のようなインパクトではなくあっさりとしていて、ハーブティーのような個性や主張もなく、それでいて甘味を含んだ味わいは飲みやすい。寒茶は、お水のようにごくごくと飲めるお茶です。
さっそく寒茶づくり
寒茶をつくるなら12〜3月上旬の間、お茶の木についた厚めできれいな葉っぱを収穫します。
1. よく洗う
2. 蒸す
家庭用の蒸し器で30分ほど蒸します。
3. 揉む
蒸した葉をザルの上に敷いたふきんなどに広げ、両手でしっかり揉んで柔らかくします。
4. 干す
葉が重ならないように干しザルの上などに広げて、天日または室内で乾燥させます。
雨などに当たらないよう気をつけながら、葉っぱ同士が重なるとカサカサと音がするくらいまでしっかりと乾かしましょう(目安は4〜5日間)。十分に乾燥したら、手またはミルなどを使って小さく砕き、完成です。
茶葉が大きいこともあって少し煮出すようにしてみたところ、とっても良く出ました。カフェインが少ないせいか、濃いめに煮出しても飲みやすさは変わらず。冷やして飲むのもおいしかったです。
両手のひらに乗る量だった茶葉から、高さ10cmほどの茶筒に収まる量のお茶ができました。職人さんがつくる丁寧な日本茶の味わいとは違うものですが、葉っぱから飲み物をつくれる楽しさは格別です。次の冬、茶摘みができるところを見つけられたらチャレンジしてみてください。