新型コロナウイルスの感染拡大で、たくさんの学校や塾が休校になりました。子どもの学びがとつぜん家庭に任されて大変だった、という人は多いのではないでしょうか。
そこで、「子どもとのかかわり方」や「子どもの学び」についてのヒントがほしい。そんなあなたに向けて、従来の公教育とはちょっと違う、子どもと社会にフォーカスした学びの場についての記事をまとめてご紹介します。
日本の公教育は、こんな学校から変わっていくのかもしれない。2020年開校。異年齢・自己主導で学ぶ幼小中“混在”校「軽井沢風越学園」が目指す“新しい普通の学校”とは by 池田美砂子さん
何十年も続く“普通”を捉え直し、“新しい普通の学校”をつくる動きが、長野県軽井沢町の豊かな自然の中で、産声を上げました。
発起人は、元楽天副社長で「森のようちえん ぴっぴ」の保育者でもある本城慎之介さん。22年間、公立小学校教諭として既成概念にとらわれないさまざまな教育の実践に取り組んできた岩瀬直樹さん。「教育とは何か?」を追求し続け、『教育の力』等の著書で知られる教育哲学者・苫野一徳さんの3人。
風越学園では、“普通の学校”像はすべてがらりと変わるよう。みんなが真似したくなる、真似できる“新しい普通の学校”とは? なぜ今、どのように“新しい普通”をつくろうとしているのか?
本城さんと岩瀬さんのインタビューを通して、3年後には子どもたちの学び舎となる風越学園の情景を覗き見てみましょう。それはひょっとしたら、「20年後の社会」を見に行くこと、なのかもしれません。(⇒続きは、こちら)
理想が実現しているわけではない。でもここには、“未完成の希望”がある。「生活即教育」、「自労自治」。自由学園が100年間挑戦し続ける、次の社会をつくる教育とは by たけいしちえさん
例えば、生徒が山に向かい植林をすること。自分の使う机や椅子を自分でつくること。食事は生徒自らつくること。寮に大人はいないこと。
「生活即教育」「自労自治」という独自の考えをモットーに、自分自身のことは自分で、自分が属する社会は自分と仲間で、ともにつくる。
決して“理想郷”ではなく、理想に向かって子どもたちとともにぶつかりあいながら新しい社会をつくるチャレンジをしている生活と学びの場所、それが自由学園のようです。
自由学園には、人と人がつながり、社会をつくるヒントがある。そんな予感から、特集「いかしあうつながりってなんだろう?」製作にあたり、greenz.jp編集長・鈴木菜央率いるgreenz.jpライターチームで自由学園を訪れました。
100年続く自由学園のあり方から見えてくる、「いかしあうつながり」の育み方とは。
今回は自由学園学園長・高橋和也先生と、鈴木菜央が交わした様々な対話を1本の記事に凝縮してお届けします。(⇒続きは、こちら)
大人と子どもが、ともに「学びのサイクル」を回していくことが大事。探究型学習の塾「a.school」が、設立6年目のいま見えている景色とは by たけいしちえさん
子どもたちの「考える力」を育む、学び方のひとつとして「探究型学習」に注目が集まっています。探究型学習とは、主体的な取り組みを通して、自ら学びを深めていく学習のこと。たとえばある課題に対して、情報を集め、分析し、解決方法をプレゼンテーションするなど、社会に通用する力を養います。
今回登場いただく「a.school(エイスクール)」は、2013年から探究型学習に取り組んできた塾です。立ち上げから5年経ったいま、商いに挑戦する人々を応援する「Square」とともに、「a.school」代表の岩田拓真さんに改めて探究型学習の鍵を伺いました。(⇒続きは、こちら)
「認定NPO法人コクレオの森」では、子どもが学びの主人公。この学校の軸は“自分を大切に、人を大切に”と問い続けること。 by MizunoAtsumiさん
もし自分の思う存分に学べていたら、学ぶことがもっと楽しかったかもしれない。そんな”理想”の実現を目指している学校のひとつが、大阪の箕面市にある「認定NPO法人コクレオの森(旧称箕面こどもの森学園)」です。
この学校の最大の特徴は、“子どもが学びの主人公”であること。何をどのように学ぶかは、子どもたちに委ねられているそうです。その背景にはどのような考えがあり、どのようなカリキュラムで学べるのでしょうか? 校長を務める藤田美保さんにお話をうかがってきました。(⇒続きは、こちら)
子どもを真ん中に社会を見据えれば、基本的信頼も地域社会も取り戻せる。自由学園×自由の森学園×INEB。教育者たちの対話から見えてきた、現代の子育て・教育に必要な「3つのR」とは? by 池田美砂子さん
“生活即教育”“自労自治”を掲げ、生徒たちの手で食事づくりから学校運営まで行う「自由学園」。そして、テストや評価、不必要な管理をすべて排除し、子どもたちの“本物の感性”を育てる「自由の森学園」。
このような先進的でオリジナリティあふれる教育の話を聞くと、「うらやましい」「子どもを通わせたい」と考える方も多いでしょう。子どもの教育のために、理想の学校の近くに家族で移住するという話も耳にします。
でも私は思うのです。「それだけでは、社会は、教育は、変わっていかないのでは?」と。
経済的に余裕のある人、移住できる状況の人、教育感度の高い人など、ほんの一握りの人たちだけが素晴らしい教育を享受している状況では、理想の教育はいつまでも一部の人のものにしかなりえません。このような素晴らしい教育を、広く必要とする子どもたちに届け、日本の教育全体を変えていくためには、一体どうしたらいいのでしょうか?(⇒続きは、こちら)
答えは、オルタナティブ教育や学校にあるわけではない
これから徐々に学校が再開し、コロナ禍の新しいルールのもと学校生活が始まります。デジタルコンテンツを使った新しい学び方や、オンラインでの先生や友だちとのかかわりが増えることでしょう。その一方で、子どもたちが大きな声で一緒に歌う姿や、修学旅行の布団のなかでコソコソ話す姿は、もう学校では見ることができないかもしれません。
そう想像すると、家族で一緒に何かをする経験や、おうちで一緒に誰かと過ごす時間は、これからの子どもたちにとって、貴重な学びのチャンスなのではないでしょうか。
子育ての答えは、オルタナティブ教育や学校にあるわけではない。
子どもの「つくりたい」とまわりの大人の「つくりたい」の間にこそ、子どもの未来がある。
今回紹介した大人たちのアプローチは、おうちですぐに真似できるものではないかもしれません。でも、教育について社会に問いかけ、自問自答を続ける彼らの姿勢には、力強くもやさしい前向きな力を感じます。「大丈夫。誰しもが新しいルールにもがいるのだから」という応援メッセージが、彼らの記事から聞こえてくる気がするのです。
– NEXT ACTION –
(Text / Curator: あいだきみこ)