\2000部 突破/「beの肩書き」本、好評販売中!

greenz people ロゴ

パーマカルチャーが土台にあったからこそ。ワクワクとインスピレーションを有機的に進化させた、ソーヤー海ならではの出版術。

ハロー! ソーヤー海だよ。今回は僕なりのパーマカルチャーの実践応用のひとつを紹介したい。

パーマカルチャーというと、生態系や土地に焦点を当てた農的な暮らしのデザインが原点だけど、「本」というメディアをデザインする時にも、パーマカルチャーの原則や世界観を使うことができるんだ。それを「ソーシャルパーマカルチャー」と僕は呼んでる。

この記事で紹介したけど、オーカス島のブロックスで学んだパーマカルチャーの技術や想像力を試すために、僕は2011年から東京でパーマカルチャーを実践し始めた。とりあえずベランダのプランターで苗を植えたり、近所のゴミだらけの空き家の1㎡ぐらいしかない場所で苗を勝手に植えたり(思えばこれが僕にとって初めてのゲリラガーデンだった!)。

でもオアシスみたいなブロックスの農園と東京はまるで正反対の世界。東京では土地にアクセスするのが難しいし、サポートやコミュニティもあまり感じられないし、ゲリラで何かやると人を安易に誘えないし、ちゃんとやろうとするとお金の管理や関係性とかの難しい要素が増えるし……。という感じで負の要素しか最初は見えなかった。

パーマカルチャーの実践者は日本にもいたけど東京ではパーマカルチャーを認識していた人はほとんどいなくて(いまでも?)、ほとんどゼロから自分で始める体験だったんだ(後から気づいたんだけど、実は日本のパーマカルチャー土壌を育ててきたパーマカルチャーセンタージャパンPCCJの設楽さんや、オシャレなパーマカルチャー魔女のセシリア・マッコーリー、僕のパーマカルチャーブラザーのフィル・キャッシュマンたちがすでに東京で活動していたんだけどね)。

そこで、まずはパーマカルチャーのワークショップをしながら仲間を増やして文化の土壌を育てようと思ったんだ。「まずは土づくりから!」って。森のように土壌が肥えていると勝手にいろいろ育ってくるからね。明確なプランはなかったんだけど、そのうちに、何かをやると別の何かにつながって……みたいに広がっていったんだ。

四谷三丁目にある「One Kitchen」で毎月ワークショップさせてもらったのもそのひとつ。ある日、One Kitchenのオーナーが「海くんがワークショップで広めてきた情報を本の形にして残そうよ」って言ってくれたんだ。だけど僕は本なんて一度もつくったことがないし、簡単につくれるとも思わなかったし、そもそも日本語で文章を書くのが超苦手! 誰かを雇ったり自費出版したりするお金もない。だからどこから何を始めたらいいか全然わからなくて、妄想のまま一年が経った。

そこで、ワークショップで仲間を募り始めたんだ。謳い文句はこんな感じ。

「田舎でやる農的暮らしではなく、これまでやってきたワークショップのことも入れて、都会で楽しくポップに展開するパーマカルチャーを紹介するZINEをつくりたい!」
「みんなが消費者から創造者になりたくなる魅力的な招待をしたい!」。

このとき大事にしていたのが、「お金や大きな出版社に頼るのではなくて、パーマカルチャーのデザインでパーマカルチャーの本を試みる」ということ。つまり、身近にある資源をうまく生かしながらつくるという、パーマカルチャーの原則を実践したかったんだ。

そうしたら、ワークショップに参加していた近藤ヒデノリさんと、さなさんという、雑誌の編集長経験者が2人も「面白いね、やろう!」って関わってくれたんだ。

それで何度か熱く語っていたら、「せっかくやるなら、ZINEじゃなくて、(アメリカの雑誌)『WHOLE EARTH CATALOGUE』みたいに僕らの新しいバイブルになるような『アーバンパーマカルチャーガイド』をつくろう!」って盛り上がってきて、ライターの吉田真緒さんやマツーラユタカさん、末澤寧史さん、スープデザインの尾原史和さんなど、本づくりの知識や経験がある人たちが少しずつ集まってきて、最終的には30人くらいの大プロジェクトになったんだ。

だけどみんなほぼボランティアだから、ほかの仕事をやりながら生計を立ててたりしていて、忙しくなって連絡が取れなかったり、勢いが途切れてやる気が落ちたり。最初は「楽しくやろう!」みたいな感じだったんだけど、だんだん大変になってきて、「やらなきゃ」というエネルギーになったりもした。だからできるだけそうならないように、関係性を育む工夫を実践して、できるだけみんながそれぞれの得意分野とギフトしたい部分を持ち寄りながら、進めていったんだ。

これが意外と難しくて、離れていく人もいたりして、どうしたらいいのかわからず何度も落ち込んだ。でも、すべては学びのプロセスで、問題が現れてはみんなで創造的に解決策を編み出していったんだ。これってパーマカルチャーの視点のひとつ、「the problem is the solution」というやつなんだよね。

だから実は、「自分の本をつくる」というよりは、できるだけ自分を含めたみんなのニーズに応えようとしていたんだ。僕は本づくりに集まった人たちにほとんど委ねて、「僕はこういうことをやりたくて、コンテンツはいくらでも提供できるけど、日本語が苦手だから、あとは任せた」みたいな(笑)

だからつくるのにすごく時間がかかったんだけど(2年以上!?)、つくっているのは本じゃなくって、ともに何かをつくる生態系のようなものになっていった。ここが、パーマカルチャーの定義として僕が使っている「生かし合う関係性のデザイン」の実践どころ。報酬や外発的な動機ではなく、みんなのワクワクやインスピレーションから有機的に進化していった、創造的なアートなんだ。

こうして少しずつ前に進みはじめた! というところで、この後、最後の難関、印刷費=お金の問題が発生するんだけど……それはまた次回お話しするね。

(編集: 岡澤浩太郎)

ソーヤー海さんへの質問を募集しています

ソーヤー海さんに、質問してみませんか? 質問がある方は、この画面をずーっと下の方に移動して、「感想/お便りを送る」から送信してください。今後公開されるソーヤー海さんのコラムで、質問への回答があるかも?