greenz.jpの連載「暮らしの変人」をともにつくりませんか→

greenz people ロゴ

「寄付会員制度からコミュニティへと進化します!」“寄付=みんなの想い”で支えられているメディアgreenz.jpとgreenz peopleの可能性を考えてみた

みなさんは誰かの活動を寄付で応援したことはありますか?

NPOの活動や、NGOによる途上国支援などはもちろん、ミュージシャンのファンクラブなども、こうした支援のひとつと言えるかもしれませんね。

グリーンズには「greenz people」という寄付会員制度があります。2013年2月にスタートしたgreenz peopleは今年で5年目を迎え、現在830名の方にご参加いただいています。

通常、「寄付」はお金を払うことで完結するもの。それは社会課題の解決のために、NPOにお金を託すことだとも言えます。

一方でgreenz.jpは、ただお金を託してもらうだけではなく、「greenz people」と共に未来を育みたいと考えています。いただいた寄付を原資にgreenz.jpの記事や連載を制作し、世の中にソーシャルデザインのヒントを発信していく寄付制度という大事な側面もありますが、「ほしい未来をつくる仲間たち」が集まるコミュニティという側面もあるのです!

「仲間」であるがゆえに会員同士のつながりが生まれ、育ち、それがグリーンズの営みや、greenz peopleの活動自体を豊かにする。そんな循環が生まれはじめています。

今回は、greenz.jpのライターであり、編集デスク、そしてgreenz peopleのひとりでもある私が、まずはgreenz people制度の現在地を紐解いてみます。さらに、先日行われたイベント「ピープルサミット!2017」への参加を通して、寄付で支えられているメディアの可能性について考えてみたいと思います。

greenz peopleの現在地
編集部と共に育て合う連載とは?

まずは現在のgreenz people(以下、ピープル)制度について、そのお金の使い道からご紹介します。

ピープルからいただいた寄付金は、greenz.jpのライターへの原稿料や取材経費、出版の印刷費などに活用し、グリーンズにとって欠かせない運営資金となっています。(ピープル原資の記事一覧はこちら

寄付金から生まれた人気記事のひとつ。日付の横に「supported by greenz people」とあるものは、取材経費を寄付で賄っています

単発の記事の他に、ピープルの原資でできている連載もあります。「消費されない生きかた」や「世界と日本、子どものとなりで」のほか、「greenz peopleの狼煙(以下、狼煙企画)」もそのひとつ。greenz.jpの寄付会員であるピープルのみなさんを取材し、彼らの等身大の想いやニーズをお届けするこの連載は、ピープルが誰かとつながり、次なる一歩を踏み出すきっかけをグリーンズが後押しできたら、という想いで始まりました。

実際にこの狼煙企画に登場した佐藤真実さんは、記事掲載後、活動に共感する方からのメッセージが届いたり、イベントへ遊びに来てくれる人がいたりしたほか、なんとテレビにも取材されたとか!

まさに「ピープル(の寄付)による、ピープルの(活動を応援する)ため」の連載として、編集部とピープルが共に育て合っているのです。

狼煙企画に掲載された、佐藤真実さんの記事

そもそもgreenz.jpは、お金を払わなくてもほぼ全ての記事を無料で読むことができるメディア。そんなグリーンズに届く寄付は、活動を応援したいと思ってくださるみなさんの「想い」なのだと感じています。

グリーンズが活動を続け、新しい挑戦ができるのは、ピープルのみなさんの応援があるからこそ。グリーンズ一同、日々感謝の思いでいっぱいです。

会員同士のリアルなつながりが生まれるオフ会

では、ピープルになるとどんな面白さがあるのでしょうか。ブックレーベル「People’s Books」から限定本が届くほか、Facebookを利用したオンラインコミュニティやピープル限定オフ会への参加、イベントやトークの限定配信などがあります。

Facebookのコミュニティは、地域ごとのグループもつくられ、活発なやり取りがされているとか。各地方でもgreen drinksのようなピープルの分科会が開かれ、ピープルの地域コミュニティが生まれている場所もあるようです。

ピープルの佐藤真実さんが立ち上げた、green drinks Saitamaの様子

また、オフ会から発展した遠足も盛り上がりを見せています。これまで訪ねたのは、神奈川県の藤野エリア、東京都の谷根千エリア、愛知県の津島市など、greeenz.jpに掲載された取材先。そこでしか聞けない話を聞くことができるこの遠足は、ピープル同士がリアルにつながる場にもなっています。

東京のひばりヶ丘団地もピープルの遠足で訪ねました

今年初のピープルサミット開催!

こうしたつながりが育ってきたところで、「ピープルにとってより価値のあるコミュニティにしていきたい」と、満を持して開催されたのが全国のピープルが一同に介するイベント「ピープルサミット!2017」です。ピープルの“これから”を話し合い実現していくためのアイデア会議の場として今年9月、会員制度5年目にして初めて開催されました。

「ほしい未来をつくる」メディアに関わるコミュニティにはどんな人々が集まり、そしてどんな話し合いがされたのでしょう。ここで少し、当日の様子を覗いてみましょう。

greenz people、コミュニティ宣言!

会場となったのは入谷のイベントスペース、SOOO dramatic!。以前「狼煙企画」で取材させていただいた、今村ひろゆきさんが運営するスペースです。

関東圏を中心に、遠くは北陸地方から、約50名のピープルが集まりました。

ピープルによるマーケット「ミドリ市」も同時開催。全国各地から選りすぐりの商品を持ち寄って出店していただきました

サミットは、greenz people事業担当スタッフ、植原正太郎のイントロからスタート!

なぜこのようにピープルが一同に集まり、アイデアを持ち寄るような会議が開かれたのか。スタッフ正太郎がピープル担当をして抱いた想いが語られました。

正太郎 greenz peopleの担当になってこの3年間、たくさんのピープルにお会いすることができました。本当にひとりひとりそれぞれの地域、暮らし、専門の領域でほしい未来をつくろうとしている人ばかりだということを実感したんです。

そんな人ばかりが800人以上いるのだから、日本全国のほしい未来をつくる仲間がつながり支え合ったら、社会を動かすようなムーブメントが生まれるんじゃないかなと。そんなことを僕は真剣に思っています!

ピープル事業担当の植原正太郎

私自身、グリーンズのアニュアルレポートをつくる過程や、「狼煙企画」でライターとして取材をする中で、ピープルの方に接し、 ユニークでアツい思いがある人たちばかりだなぁということを実感していました。「ひとりひとりがつながったら社会を動かすようなムーブメントが生まれる」という言葉に深くうなずきます。

greenz peopleは「ただの寄付会員制度」から「ほしい未来をつくる仲間たちのコミュニティ」へと進化していくことが力強く宣言され、「greenz people2.0をみんなで考える会」の幕開けです。

「ピープルの、ピープルによる、ピープルのための」
大作戦会議!

いよいよメインイベントのひとつ「ピープル大会議」。

ピープルの活動を支え、お互いにつながり合うコミュニティへと発展させていくために、実はグリーンズでは様々な施策が始まっています。例えばイベントの割引やオフィスの利用などをはじめとしたピープルの活動を支援する制度「Power to the ピープル」。部活動やピープルのプロフィール紹介ができるウェブサイト「ピープル図鑑」など。

そうした活動をより発展させていくためには、ピープルの知恵とアイデアと参加が必要!ということで、5つのテーマの中から、ピープルがそれぞれ関心のあるテーマに分かれて、ブレスト&作戦会議が行われました。

5つのテーマはこちら!

Power to theピープル – 「グリーンズがピープルの活動を、ピープルがピープルの活動を、サポートできることはなんだろう?」
部活動 – 「ピープルの学びと体験が育まれる大人の部活動の形って?」
図鑑 – 「ピープル図鑑を楽しく、有意義なものに育てていくために必要なことは?」
仮想通貨 – 「ピープル同士のスキルやリソースがシェアされるためには仮想通貨の仕組みが必要なのでは!?」
新企画 – 「ピープルコミュニティが面白くなるまだ考察されてない企画って!?」

作戦会議の後は、各チーム発表の時間へ。

私が気になったのは「部活動」チームと「図鑑」チーム!

「ビール部」や「エネルギー部」が活動を開始しているグリーンズの「部活」ですが、グリーンズオフィスを活用したプレゼン勉強会や読書会、美術部、運動部のほか、はじめての◯◯部、さらには自分のイチオシのものや人を紹介する推し(おし)部や、闇鍋部などの新しいアイデアが登場!

後日談ですが、ここで話し合われた部活動のひとつ「美術部」が動き出しました!

「図鑑」チームからは、お互いの顔を見ることができる人物図鑑として始まった「ピープル図鑑」というプラットフォームを元にして、コミュニティが活発になるためのアイデアが発表されました。

私がぜひ実装してほしいと思ったのは、日本全国どこにピープルがいるのかひと目でわかる「ピープルマップ」。旅行や出張で知らない土地に行ったときに、また近くに住んでいるピープルがいることがわかったら、ちょっと会いに行ったり、一緒に活動を始めたりできそうですよね。

こちらがピープル図鑑

来年のサミットでは、「あのとき言ったことがこんな風に実現されました」と発表されているかも!? 今後の展開に期待が高まります。

10人の愉快なピープルによるプレゼン大会!

最後のパート「People Drinks Deluxe!」では、ピープル10人による活動発表大会が行われました。「十人十色」の言葉どおり、ひとりひとりの取り組みがユニークだったのですが、ここでは私がプレゼンの中のメッセージにグッときた3人の方をご紹介します!

1人目は富山県の氷見市からやってきた、笹倉奈津美さん
以前は東京で働いていましたが、結婚を機に氷見へ移住しました。

笹倉さん いきなり地方でフリーランスをすることになって、やることがなくてどうしようかなと思っていたんです。そこで何が自分の心からしたいことだろうと改めて考えたときに「気の置けない友人とよい雰囲気の場所でおいしい食事を囲むこと」だなと思って。「ないならつくってしまえ」という精神で、色々とイベントを企画し始めました。

過去にはビアガーデンやウェディング、サウナ小屋づくりなどのイベントを開催したそう。現在は継続的な活動を始めるべく、夫婦でビルを一棟購入。「宿」「台所」「おむすび屋」などが一体となった場所をつくり、その中と周辺で面白い活動を起こしていこうというフェーズに入っているといいます。

「ないならつくってしまえ」とゼロベースから自分がやりたいものをつくり出して、その土地を120%楽しんでいる笹倉さんの取り組み方がとっても魅力的だなと感じました。

2人目はデニムブランド「EVERY DENIM」の山脇耀平さん
弟さんと兄弟でデニムブランドを立ち上げました。

もともとデニムが好きで、工場で働く職人さんたちを取材するうちに、自分たちが納得できるものを届けたいと製造販売を始めたのだそう。製品だけではなく、その販売方法にもこだわりがあります。

山脇さん 店舗を持たず、卸売もしていません。全国都道府県を回って、自分たちの声で直接届けるということを大切にしています。モノを愛着持って長く使ってもらうためには、そのモノとの出会い方も大事なんじゃないかなと思っているんです。

この夏クラウドファンディングを達成して、移動型販売車を購入することができるように。販売車の周りで、試着をしたり、ゆっくりお酒を飲んで語らったり、そんな届け方がこれからは可能になるそう。

モノだけではなく、その出会い方までデザインしている山脇さんの在り方がかっこいい! 販売方法が変わることで、また新しく生まれるコミュニケーションが楽しみです。

3人目は東京の賃貸アパートでオフグリッド生活をする、高橋緑さん
2年前にソーラーパネルワークショップでつくったパネルを導入し、現在は自家発電のみでほとんど家電を持たない生活しています。

高橋さん この暮らしを始めた理由は、東日本大震災をきっかけに価値観が変わったのがひとつ。もうひとつは、単純にオフグリッドって楽しそう! と思ったんです。暮らしをつくる人たちの姿に勇気をもらって、飛び込んでみました。

「これは本当に必要なものだろうか?」。オフグリッドな生活は、ひとつひとつを見直して、暮らしをスローダウンするきっかけになったといいます。「”ほしい電気はつくろう!”未来に繋がるオフグリッド生活を楽しく始めてみませんか?」との呼びかけでプレゼンは締めくくられました。

家を購入したり、大きな工事をしたりしなくても、ほしい暮らしは手に入れられる!そんなメッセージを高橋さんのプレゼンから感じて、勇気づけられました。

この他にも、赤羽岩淵でシェアキッチン&コワーキングスペースを運営する「co-toiro」の織戸龍也さん、恵比寿を題材としたWEBマガジン「恵比寿新聞」を立ち上げた高橋賢次さん、自然栽培のビールを製造・販売する「鹿嶋パラダイス」の蓜島一匡さん、つくばでコワーキングスペース「Tsukuba Place Lab」を運営する堀下恭平さん。さらに以前「狼煙企画」にご登場いただいた、まちづくり会社ドラマチック代表の今村ひろゆきさん、「グレイスカイプロジェクト」の山本加容さんにもご登壇いただきました!

ちなみに私も「新編集デスクとしてこれから取り組みたいテーマ」というお題で発表したのですが、発表した後は同じテーマに関心のある方から声をかけていただけて嬉しかったです。

最後は交流会。誰と話しても話が盛り上がり、4時間の開催時間があっという間に終了しました。

会場を彩ったコズミックキッチンさんの美味しいケータリング

ミドリ市で提供された「鹿嶋パラダイス」の自然栽培ビールを片手に、おしゃべりがはずみます

4時間と長丁場でしたが、最後まで多くの方にご参加いただきました

たくさんの出会いがあり、つながりをつくることができた今回のサミット。私がピープルの集まりに参加する度に感じているのは、「グリーンズの活動に共感しているピープルである」という価値観を共有していることで、安心感があり、初対面の人でもあっという間に仲良くなれてしまうということ。

だからこそ、こうしてピープル同士が顔の見える関係になったことで、例えば、一緒にプロジェクトを起こしたり、地方に出かけた際には現地のピープルに会って案内をしてもらったり、ということがスムーズに実現できそうだなと感じました。

また何より嬉しいのは、イベントで出会ったみなさんとはこの場限りの関係ではなく、これからもつながっている仲間であるということ。

今後ウェブメディアgreenz.jpとしては、「狼煙企画」のように、ピープルと共につくる連載ができるほか、例えばピープルから取材先を提案してもらったり、一緒に取材に行ったり、ピープルが「読みたい!」と思う記事をつくってみたり。個性豊かなピープルのスキルやアイデアが加わることで、“コミュニティ”で支えられていることを最大限に活かした、greenz.jpにしかできないコンテンツ製作も可能になっていくのではないかと思いました。

寄付=想いで支えられているメディア、greenz.jpの可能性、みなさんはどんな展開がありそうだなと感じましたか。ぜひこの記事を読んだ方と、greenz.jpとピープルのこれからについてお話できたら嬉しいです。

– あなたも「greenz people」に参加しませんか? –

こちらの記事は「greenz people(グリーンズ会員)」のみなさんからいただいた寄付をもとに制作しています。2013年に始まった「greenz people」という仕組み。現在では全国の「ほしい未来をつくる仲間たち」が集まるコミュニティに育っています!グリーンズもみなさんの活動をサポートしますよ。気になる方はこちらをご覧ください > https://people.greenz.jp/