サッカー、ラグビー、テニス、そして相撲など、スポーツはいつも多くの人の注目を集め、話題の的になっていますよね。
特に今年はリオデジャネイロでオリンピックが開かれることもあって、スポーツに熱い視線が集まっています。マスコミで派手に報道されるオリンピックやプロスポーツと比べて、どうしても地味になりがちなのが、障がい者スポーツ。
2014年にベルギーで行われた知的障がい者によるスポーツ大会、スペシャルオリンピックスのヨーロッパ夏季大会も、当初はなかなか注目が集まっていませんでした。そんな状況を打破するために「顔を変える」ことを決断したのが、ベルギーの人気サッカー選手、Kevin De Bruyne(ケヴィン・デ・ブルイネ、以下、デ・ブルイネ選手)。
この大会の親善大使も務めるデ・ブルイネ選手は、突然自らのTwitterやInstagramで、ダウン症の人の顔を合成した自分の写真を、「こんな風になっても、みんなファンのままでいてくれるかな?」という問いかけとともに投稿しました。
このツイートの12時間後、今度はスペシャルオリンピックスのクレジットがついた広告画像のかたちで、再び問題の写真が入ったビジュアルをツイート。その画像にはこんなコピーが書かれています。「これで、デ・ブルイネのサポーターは離れるのだろうか?」
「どうしちゃったの?」「不謹慎だ!」といった激しい反応も含め、これらの投稿は物議を醸し出し、大きなニュースとなりました。騒ぎの中、デ・ブルイネ選手はこう語りました。
みなさん、スペシャル・オリンピックスを観にきてください。知的障がいを持つアスリートたちの素晴らしいパフォーマンスには、素晴らしい観客たちが訪れる価値がある。私はこの大会の大使になったことを誇りに思います。
炎上覚悟でのSNS投稿の甲斐があったのか、スペシャルオリンピックスのヨーロッパ夏季大会には50,000人もの人が押し寄せ、開会式と閉会式のチケットは即日完売のプレミアムチケットに。
街でダウン症や知的障がいのある人を見かけたとき、どう反応していいのかわからず、正直、戸惑うことがあります。
内閣府の統計によると、日本には知的障がいのある人が約55万人も暮らしています。
ともにこの社会を生きる存在として目を向けてほしい。
そう願ったデ・ブルイネ選手の思い切った行動に、心の壁をとっぱらって、障がいのある人と向き合う気持ちが必要なのだと考えさせられました。
(翻訳アシスタント:スズキコウタ/「greenz global」編集部)
(編集: スズキコウタ)