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都市にいながら地方と関わるパラレルキャリアをはじめませんか?「東北オープンアカデミー」が、現場をめぐり、議論し、地方から日本の未来を探るフィールドワーク参加者を募集中

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東北や全国各地で地域活動を行っているゲストたちと、約50名の参加者たちが初日に集まった。

「まちづくり」や「地方創生」というキーワードがあちこちから聞こえてくるようになりましたが、そうした取り組みに関わってみたいと思ったことはありませんか?

事実、それぞれの地域の課題に対し、思い思いのやりかたで取り組む魅力的な地方や人を目にすることも多くなりました。

こうした流れの中で、今、地方に魅力を感じ、地方に能動的に関わることで本業とは別の顔で活躍する人が増えています。

東京にいながら平日の退社後に地域の特産品PRを手がけたり、週末を使って地方の人と一緒に新しいプロジェクトを立ち上げたりと、「本業+αのもうひとつの働き方」(=パラレルキャリア)を選択できる時代になってきたのかもしれません。

移住もしない。転職もしない。

それでも、地方と関わり、多くの人と出会い、同じ目的に向かって歩むことは、仕事の可能性だけでなく、人生そのものの豊かさの可能性を広げることにもなるでしょう。

3月29日~4月1日に開催された、「東北オープンアカデミー」主催の「OPEN DIALOG WEEK」はまさにそんな「地方との関わり方」や「パラレルキャリアをどのように実践するのか」、ということを考える場となりました。

地方から日本を良くしていくためのメンバーシップ制コミュニティ

「OPEN DIALOG WEEK」を主催した東北オープンアカデミーは、「全国の人が手をつないで、本気で地方から日本を良くしていきたい」という思いから生まれた、東北をはじめ、全国で活動するプレイヤーが実行委員会となって立ち上げた社会実験プロジェクト。

フィールドワーク、カンファレンス、ラボラトリー、ファンドという4つのカテゴリーを軸とした、所属や立場の垣根を超えたメンバーシップ制のコミュニティを目指しています。
 
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フィールドワーク「取り戻したい、日本人の美しい暮らし」 (福島県いわき市)では、鍛冶職人の手仕事と暮らしを現場で体感。

東北オープンアカデミーでは、2015年5月末までに合計数十本の東北へのフィールドワークを予定しています。

このフィールドワークは、「まちづくり」「一次産業」「観光」「復興支援」などといったテーマが設定され、現場で活躍するリーダー(オーガナイザー)たちとともに各地を巡り、議論し、地方から日本の未来を探るというもの。2泊3日の旅程で「日本の地方でなにが起きていて、自分になにができるのか」を具体的に考えていきます。

フィールドワークに参加すると東北オープンアカデミーの登録メンバーとなり、各フィールドワーク参加者が一同に会するカンファレンスや、その後毎月東京で開催されるメンバー限定の集いやセミナーに参加できるようになるなど、地方で活動するための機会やネットワーク、支援の仕組みを活用できるようになります。
 
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フィールドワーク「世界中が注目する、グローバルな限界集落」 (宮城県石巻市雄勝町)では漁船に乗って漁を体験した。

さらに、参加者自身が日本全国の地方でプロジェクトをはじめる場合に活用できるファンドが用意されているのも大きな特徴。

ファンドは参加者が最初に支払ったフィールドワーク参加費の一部が積み立てられ、登録メンバー内でアイデアをプレゼンし合い「面白い、それやろう!」と決まったプロジェクトに対して支援金として充てられます。

しかもお金の利用使途は、東北に関わるプロジェクトに限りません。東北オープンアカデミーは、“東北を舞台として地方の課題解決を考え、より豊かな日本の未来を探る場”であるため、ここでの学びを全国のどこで応用して展開してもよいのです。

東北オープンアカデミーは、登録メンバー同士がお互いのスキルやアイデアを持ち寄りながら新しいチャレンジを日本各地で起こしていく場。地方での起業を志す人や、東京にいながら新しい働き方(=パラレルキャリア)を模索する人の実験場でもあります。

「わらじは2足以上履いたほうがいい」

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「日本の地方に関わりを持ってみたい人は?」という問いに、たくさんの参加者から手が挙がった。

3月29日。大手町にある日経ホールに集まったのは、東北や全国各地で地域活動を行っているゲストたちと、約50名の参加者たち。

冒頭では、東北オープンアカデミー運営委員の林篤志さんから「OPEN DIALOG WEEK」の企画意図が説明されました。

林さん このイベントのキャッチコピーは“わらじは2足以上履いたほうがいい”です。私自身、地方での活動が多いのですが、東京で仕事をしている人と関わることも多く、都市と地方がつながって目的に向かって一緒に取り組むことの心強さを常に感じています。

ぜひ「OPEN DIALOG WEEK」を通して、地方との関わりや、いろいろな働き方の選択肢を広げるきっかけにしてもらえたらうれしいです。

林さん自身が実体験として、パラレルキャリアを行うとのつながりによって活動を推進させているということからも、そうした働き方が求められているとことが伺えますが、では、パラレルキャリアの実践者とはいったいどんな人なのでしょうか。

「パラレルキャリアで、自分自身の理想的な社会との関わり方を実現」

続いてのトークセッションで登壇した柳沢紀子さんは、本業として外資系飲料メーカーで勤務する傍ら、食の魅力で東北を盛り上げてこうとする「一般社団法人 東の食の会」とも委託契約を結んで働く女性。

そうした働き方をするようになったきっかけをこのように話します。
 
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パラレルキャリアを実践する柳沢紀子さん(右から二番目)

柳沢さん 元々、震災の後になにかしら東北に貢献したいという思いがあり、前職の社長が「東の食の会」の理事を務めていたこともあって最初はボランティアとして関わるようになりました。

現在は本業と並行して、平日の夜と週末に自分自身のスキルを活かしてマーケティング業務を行っています。

しかし、パラレルキャリアを実践するということに対して、勤務先の理解はすぐに得られたのでしょうか。

柳沢さん 会社の規定では“兼業NG”なのですが、社員の中にはDJをしている人や、アーティストとしてCDを出している人などもいました。

そこで、“本業に影響がないことを前提にしていれば、音楽活動などと同じように、東北に関わる活動も問題ないのでは?”と会社に相談したところ、最終的に正式な了承を得ることができました。

では、本業がありながら、“もうひとつのわらじ”を履く理由はなんなのでしょう?

柳沢さん やはり、まったく違う意識を持ってまったく違う問題解決に取り組む人と出会えることの魅力ですね。本業だけではどうしても世界が限定的になるので、私にとってパラレルキャリアを選択することは、自分自身の理想的な社会との関わり方を実現するうえで、とても大切なことなんです。

柳沢さんの言葉からは、パラレルキャリアとして働くことと、“東京にいながら東北に貢献する”ということの充実感が伝わってきます。

「まちづくり」「伝統産業」「一次産業」…。東北の地域課題に取り組むディスカション

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柳沢さんも参加した、フィールドワーク「地域や業種を越えろ!フィッシャーマン、漁師たちの革命」。

実はそんな柳沢さんも、東北オープンアカデミーが今年2月に開催したフィールドワーク第一弾に参加したひとり。続いては、主に東北をフィールドとして活動するゲスト11人がプロジェクト内容とその背景となる“問い”をシェアし、それぞれのテーマごとのテーブルでゲストと参加者が一緒になってアイデアを考える時間が設けられました。

ゲストの方々は、全員が地域プロジェクトの当事者でもあり、東北オープンアカデミーのフィールドワークの各担当者でもあります。このため、ディスカッションは和気あいあいとしながらも本気モード。

ゲストは参加者から的を得たアイデアが出ると、「それいいですね、すぐにやれるかもしれない」と身を乗り出し、まわりの参加者たちにもその熱がどんどん波及していきます。

ではここで、各ゲストの持ち寄った問いと、参加者のアイデアのいくつかを見ていきましょう。
 
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「NPO法人アスヘノキボウ」の桑原光平さん。

震災後、人口減少率全国ワースト1位を記録してしまった宮城県女川町で、地域活性化のために活動する桑原光平さんの問いは「まちづくりに、外から若者たちを巻き込むには?」。

女川町では、桑原さんの所属する「NPO法人アスヘノキボウ」をはじめ、官民の連携によって、30~40歳代の若者のリーダーと、外から来たよそものによるユニークな施策でスピード感のあるまちづくりを行っています。

参加者からは、「学校や企業を誘致することも大事だけど、交流人口を増やすために自転車やバイクのライダー向けのシェアハウスをつくり、“人と人との出会う拠点”とすることで、クチコミで女川の魅力が発信される仕組みをつくっては?」などの具体的な意見が飛び交いました。

女川町は「女性の起業支援」に力を入れている町。フィールドワークでは女川町で起業した女性に参加者がインタビューを行い、その生き方やキャリアを考えるプランなどが用意されています。
 
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「テマヒマうつわ旅」を主宰する貝沼航さん

伝統産業をテーマとしたテーブルでは「商品や体験を通じて顧客との長い関係性を築いていくには」という問いをシェアし、福島県会津若松市で専門ガイドとともに漆器工房を巡る「テマヒマうつわ旅」を主宰する貝沼航さんを囲んでのディスカッション。

伝統産業の市場規模は、日本全国でバブルのピーク時に比べて1/7程にまで落ち込んでしまっているそう。「この現状をなんとかするためには、つくる人と使う人とが“商品を一回買って終わり”ではなく、お互いに長い関係を築いていくことが大切」と貝沼さんは力を込めます。

参加者からは、「長い間使うことで艶が出てきてより美しくなったり、塗り直しもできるとい会津漆器の魅力を伝えるために、“四季折々の漆器が届く贈答品”を提案したり、外国人を弟子として職人の元で研修させることで文化を外に発信できるのでは?」という意見も。

フィールドワークでは、会津漆器の製作の様子を見たり、職人と話し、現場を体感することを予定しているそうですが、この時の白熱したディスカッションを受けて、「参加することを決めました!」という人もいたほどでした。
 
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「株式会社ファミリア」の島田昌幸さん

仙台を舞台に、一次産業者の所得向上のために「株式会社ファミリア」を立ち上げて活動する島田昌幸さんの問いは「東北の新しい食・農業の担い手を増やすには?」。

「一次産業に関わろうという意識を持っている人たちが、現場を見て回るだけでなく、良いことも悪いことも率直に言い合うことで、その後関わらざるを得なくなるのでは?意見を言った人自身が巻き込まれてしまうような“言いたい放題ツアー”は?」という、ユニークでありながら説得力のあるアイデアに、島田さんが真剣に耳を傾ける場面も見られました。

5月末に行われるフィールドワークでは、いちごの栽培施設などを廻り、海外を視野に入れた地域発の産業づくりの可能性を模索していく予定です。
 
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「あと2時間話したい」という参加者の声も聞かれるほどに白熱したテーブルディスカション。

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参加者の書いたアイデアシート。自分の引き出しを元に課題に対するアイデアを考えていく。

ほんの一部を抜粋しましたが、世代もバックグラウンドも異なる参加者それぞれの得意分野とスキルを生かした自由な発想に、笑いが生まれたり、アイデアにアイデアが重なって議論が高まったりと、ひとつの課題に取り組むことで生まれる化学反応が各テーブルで起きていました。

「最初は好奇心でもOK。フィールドワークで1000人の人に東北に集結してもらいたい」

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この日の濃厚な出会いを象徴するように、再会を約束し合う姿があちこちで見られた。一緒に課題に取り組むことで仲間が増える。

東北は、震災によって地方の抱える課題がほかの地域よりも少しだけ早くあらわになった場所。東北を舞台として地方から未来を考えることは、これから先の日本の課題に取り組むことになり、ここでの学びはほかの地方でも応用できることでしょう。

そして、多くの仲間と出会い、東北を題材として地方の問題にラボラトリー的な場を持って取り組むことは、この先どんなキャリアや生き方を選択する場合にも、人生を豊かにするつながりが生まれるはずです。
 
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充実した時間を過ごしたことが伺えるこの笑顔!「世代も、職業も、得意な分野も違う人たちが一度に集まると、話が全然尽きない」。

林さん 実際、参加者のみなさん自身にとってなにができるかは現地に行ってみないとわからない部分も多いと思うんです。

“地方をなんとかしなくちゃ”と真剣に考えすぎると重くなってしまうので、まずは軽い好奇心で関わってみてもいいでしょうし、東北オープンアカデミーではそういった人たちも力強くサポートしていきたいです。

東北オープンアカデミーは、学んで終わりではなく、各自が自ら行動に移すことをファンドによってサポートしてくれるという、“出口”までも提示されているもの。2020年の東京オリンピックイヤーまでに1000人を東北や全国の地方に送り込むことを目標のひとつにしており、途中参加も可能です。

まずは、現在募集中のフィールドワークに参加して、地方と都市の未来、そして自分自身の新しい働き方のきっかけを探ってみませんか?

[sponsored by 東北オープンアカデミー]