日本の製造業は長引く不況に苦しんでいますが、ここサンフランシスコではものづくりが復活の兆しを見せています。街を歩いているとあちこちで目にする「SF Made」のステッカー。その店がサンフランシスコのローカルプロダクトを扱っている印なのです。
仕掛人は地元メーカーをサポートするNPO「SF Made」。わかりやすいロゴマークとキャッチフレーズを旗印に、ローカルプロダクトをプロモーション。
“Buy Local”ムーブメントを盛り上げています。
「それでもSFでモノをつくりつづける」という意思表示
「SF Made」はサンフランシスコのメッセンジャーバッグブランド「Rickshaw(リックショー)」のファウンダーMark Dwight(マーク・ドワイト)が2010年に立ち上げました。設立のきっかけについてマークさんは次のように語ります。
食べ物の産地のように、プロダクトも製造された場所によるブランディングができるのではないかと思ったんです。人件費も地価も高いサンフランシスコに工場を構えるのは大変なこと。それでもサンフランシスコでモノをつくり続けるという意志を伝えたいと考えました。
市内の製造業の8割が参加!
当初12社から出発した「SFMade」は今では市内の製造業80%以上、約400社の地元メーカーが加盟し、商品を取り扱う店舗は100以上という一大組織に。メンバーには陶器メーカー「Heath Ceramic」からサードウェーブコーヒーブームを牽引する「Ritual Coffee」、ハンドメイドのシャツメーカー「Taylor Stitch」まで今をときめくブランドが名を連ねています。
会員に対しては、スタートアップを支援するビジネスインキュベーション、半年間の本格的なコンサルタントから、工場や販売店とのマッチングサービス、工場見学から同業者とのネットワーキングイベントまで、幅広いサービスを提供。クリスマス前にはホリデーギフトフェアを開催し、75組のメーカーを集めました。
また、サンフランシスコに拠点を置くアパレルメーカー「Banana Republic」は店内に「SFMade」のポップアップショップを設け、ローカルメーカーをサポート。2013年にはサンフランシスコ国際空港内にも「SF Made」のショップがオープンする予定と、ますます拡がりを見せています。
人件費の安い国にものづくりをアウトソーシングすることが当然となった時代に、東京並みに物価の高い都市、サンフランシスコで製造業が注目される理由は何なのでしょうか。一つには、コミュニティに貢献したいというローカルブランド購買意欲が挙げられます。
地元のものを買うことは、ローカルビジネスを助け、雇用を促進する。自分たちにとって健康的なコミュニティを育むことにも繋がるのです。
とマークさん。
二つ目は、テクノロジーの進化により、「Etsy」(ハンドメイドのマーケットプレイス)に代表されるオンラインショップやSNSを使い、メーカー自身が販路を持ち、販促できる力を持ったこと。
三つ目には、新しいアイデアを持った起業家が次々と会社を立ち上げる中で、新時代のメーカーはスピードを求めています。その際に、地理的にもコミュニケーションの距離も近い工場を持つことのメリットが見直されていることも考えられます。
2010年からサンフランシスコでは122の製造業が誕生しています。お互いのノウハウをシェアし、起業をサポートをする。こうしたコラボレーションにより、「SFMade」全体の知名度と価値を高めていく。このムーブメントは世界に拡がり、デンマークのコペンハーゲンでは姉妹組織「CPH made」が誕生するなど、各地で活動が始まっています。
日本でも地産地消やご当地プロダクトのプロモーションの参考になるのではないでしょうか。
アメリカのメイカームブメントについて調べてみよう。