東ベルリンと西ベルリンを隔てていた”ベルリンの壁”が1989年11月に崩壊して以来、20年あまりが経過。東西ドイツ統一直後は一時的な混乱があったものの、近年、ベルリンは、ドイツ内外からアーティストやクリエイター・起業家らが多く集まり、欧州の中でもとりわけ活気あふれる街として注目されています。そんな古い歴史と新しいエネルギーを併せ持つベルリンの街で、ステキなコミュニティ農園に出会いました。
ベルリンのモーリッツ広場(Moritzplatz)にある「Prinzessinnengärten」は、2009年夏に設立されたコミュニティ型農園です。地域のボランティアの協力によって、50年以上放置されゴミだらけになっていた荒れ地が肥沃な農園へと見事に再生。地域住民が集い、野菜・果物を栽培しながらご近所同士のコミュニケーションも楽しめる”都会のオアシス”として、ベルリナー(Berliner・ベルリン市民)に広く親しまれています。
大きな畑では、この時期、キャベツ・ブロッコリー・カリフラワーなど、たくさんの冬野菜が栽培されていました。
プランター代わりの袋の中で栽培されているキャベツもこの通り、元気いっぱいに成長中です。
倉庫などの建物には、輸送用コンテナを再利用。カラフルに描かれたグラフィティがオシャレです。輸送用コンテナを活用した事例としては、スターバックスのドライブスルー専用コーヒーショップやクライストチャーチのショッピングモール「Re:START」などもありますが、耐久性や強度の十分な輸送用コンテナの再利用は、設置のためのコストと時間を節約でき、環境負荷の軽減にもつながるという利点がありますね。
「Prinzessinnengärten」内のカフェでは、コーヒーなどの飲み物やスイーツ、軽食もいただけます。作業の合間に、仲間とおしゃべりしながらお茶をいただくのも、楽しみのひとつかも。
「Prinzessinnengärten」は交通量が比較的多い道路に隣接しながら、一歩足を踏み入れると、都会の真ん中にいることを忘れてしまいそうなくらい、とても静か。私がこの地を訪れたのはちょうど晩秋の季節だったので、黄金に美しく色づいた木々を眺めて、すっかりリラックスできました。
都会の片隅で忘れられそうになっていた場所をコミュニティの力で再生させ、都市型の”地産地消”を実践しながら、地域住民のネットワーキングの場としても機能している「Prinzessinnengärten」の取り組みは、日本の都市部でも参考になる事例だと思いました。