最近、映画館で映画を観ていますか?
スクリーンに映し出される大迫力の映像、高音質で鑑賞出来るのは映画館ならでは。しかし、ホームシアターなど自宅でも手軽に観れるようになり、このところ、映画館離れが叫ばれています。Cinema Todayの調査によると、1年以内に映画館に行った人はなんと全体の5割弱だったんだとか。
そんな今だからこそ、ただ大画面・高音質なだけじゃない、新しい“映画館ならでは”を生み出すための画期的な取り組みが続々生まれています。
以前、greenz.jpで本格的な食事が出来るレストラン付き映画館を紹介しましたが、今回紹介する「edible cinema」は名前の通り、映画の中に出てくる食べ物がその場で食べられるという“食べられる”映画館です!
まるで主人公?同じものを食べて体感出来る「edible cinema」
ロンドンのエレクトリックシネマが始めた「edible cinema」の仕組みは至ってシンプル。まず、上映前に番号のついたスナックやドリンクのセットを観客に配ります。そして、上映中に特定のシーンになると、スタッフが大きなプラカードを掲げ、観客はその番号のものを食べる、というもの。
初回に選ばれたのは、ファンタジー映画「パンズ・ラビリンス」(予告編)。
想像してみてください。観客を森の中へ連れて行くのは、松の薫製の香りのポップコーン。主人公が禁止されていた魔法のブドウを食べてしまったせいで、眠っているモンスターを目覚めさせてしまう!その瞬間、ブドウの炭酸ジュースを飲んだ観客は今まで味わったことのない恐怖感に包まれます。主人公と同じくブドウの香りが口に残っているのですから。他にも全部で8つのシーンに合わせ、さまざまな食べ物が用意されています。
映画館と一緒に企画したのは、”エクスペリエンス”オーガナイザーのPolly Bettonさん、フードデザイナーのAndrew Stellitanoさん。
1番に考えているのは、面白くすること!そして、味はものすごく観客の気持ちを高めるんだ。映画と食べ物を組み合わせることによって、ぐっと距離を近づけるんだよ。
と彼らは言います。
映画と食べ物の組み合わせによって、五感をフルに活用し体感する映画エクスペリエンス。これはSmell-o-Vision と呼ばれ、なんと50年も前から言われていた考え方なんだとか。こんなふうに周りの観客とだけでなく、映画とも一体感をもって鑑賞出来るのは、新しい”映画館ならでは”ですよね。主人公と同じものを食べているというだけで、まるで自分も映画の中に居るような感覚になりそうです!
このような食と映画の組み合わせた取り組みは、日本でも行なわれています。例えば、複合型イベント「東京ごはん映画祭」では、映画を観ながら食べることをイメージしたレシピ提案や、ペルー料理を食べながら観るペルー映画上映会などが行なわれています。
また、最近では日本の美しい地域を舞台にした映画も増えています。それに合わせ地域の特産物を使った映画館限定メニューを提供すれば、映画を通した地域活性化にも繋がるかもしれません!
映画館での食べ物を通し映画を体感できる、新しい“映画館ならでは”の楽しみ方。そこに、“地域ならでは”や“映画のテーマならでは”という様々な特性を掛け合わせたら、他にもいろんなアイディアが浮かんできそうです。
今まで以上に映画の世界にどっぷり引き込んでくれそうな「これからの映画館」に期待したいですね!
(text : 鳥居真樹)
[via : spring wise]